遙かなる望郷の地へ-66◆「公国軍進撃6」
■ジョフ大公国/ジョフ平原
「了解です」
グランの指示に頷くと、マイラムはフレムとアルノに言った。
「ウチで警備は引き受けるぜ。いざという時の為に、そっちの部隊は休養しておいてくれ」
「いいのか?」
「無論だ。乱戦になって、本当に頼りになるのはフレム、お前さんのとこだからさ」
「判った。では、我が隊は休息させて貰うとしよう」
「大戦士様、ウチの部隊に指示を出してきます。それから、あの可哀相な兵の埋葬も行います」
マイラムの言葉にグランは重々しく頷いた。
「当然だ。弔いには俺も参加する」
グランは、黙って運ばれていく軽騎兵隊員の亡骸を見送った。
自分が戦うのは良い。だが、今後自分の采配で幾人もの妨害を見ることになるのだろうか。グランにとって、それは存外に辛いものだった。
「これもまた炎の定めか・・・・」
低く呟くと、その考えに舌打ちするように頭を振る。
「・・・」
空は、そんなグランの想いを反映してか、どんよりと雲が垂れ込めていた・・・。
☆ ☆ ☆
「大戦士様。大公女様に伝令を出しました。警備の方は、ウチの連隊で担当して、他は休ませています」
程なく戻ってきたマイラムがグランに報告する。
「大戦士様。今後の方針はどの様にされますか?」
フレムがグランに尋ねた。
「リェスの軽騎兵第一連隊援護の為に少数の分遣隊を派遣するとして、それが可能な実力を持つのはアルノのLAGのみです」
「フレムの装騎も、ウチの軽騎四も少数の部隊に分割されると戦力低下を招くだけです。無論、アルノの隊が欠けると、先頭の突貫力が大幅に下がりますが」
マイラムはそう言うと肩を竦めた。練度の順から言えば、LAG→装甲騎兵連隊→軽騎兵第四連隊となる。但し、単独でもそれぞれが戦える実力を有しているのは、親衛騎士団たるLAGのみであった。