遙かなる望郷の地へ-35◆「開戦前夜10」
■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋
話は出揃ったようだ。
グランは深く息をつくと、走り書きした自分のメモを見ながら一気に指示をだす。
「まず敵正面に布陣し、最も重要な任を帯びる部隊は
ジョフ公国軍装甲歩兵連隊 350名
コーランド北遣軍重歩兵第三連隊 1000名
コーランド北遣軍軽歩兵第六連隊 1000名
コーランド北遣軍軽歩兵第八連隊 1000名
総兵力3350名
次、HORNWOOD方面に布陣する機動軍
コーランド北遣軍重騎兵第二連隊 500騎
司令官:トリアノン・レスコー
次、OYDWOOD方面に布陣する機動軍
ジョフ公国軍LAG 17騎
ジョフ公国軍中央軍装甲騎兵連隊 120騎
ジョフ公国軍軽騎兵第四連隊 350騎
指揮は私が直接行う。
ジョフ公国軍軽騎兵第二連隊400騎は万が一に備え公都方面へ移動しておくこと。
後方及び総参謀長としてカイファートを任ずる。
ジョフ公国軍飛翔連隊 3騎はカイファートの配下とし、情報収集に努める。
さて、最大の問題だが一番の苦戦を強いられる敵正面守備隊の指揮官だが、我と思うものはいるか?」
「その任、わたくしが引き受けましょう」
澄んだ声には、欠片も迷いが感じられなかった。瞳に強い輝きを宿し、ジョフ公国大公女レアラン・ルーフィウス・ラ・ジョフはその決意を述べた。
「大公女の旗を戦線に掲げれば、兵にも公国民にも励みとなりましょう。そして、それは大公家の者の勤めでもあります」
そ の言葉には、意思の力が強く感じられた。聞いていたLAG筆頭騎士ジャン・バルトが一つ頷くと、口を開いた。
「大戦士殿。大公女殿下を補佐する為、LAGより当方を正面戦線に配置ください。お願い申し上げます」