表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/91

遙かなる望郷の地へ-29◆「開戦前夜4」

■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋


「・・・」


 無言で事態の推移を見守るヒラリーの耳に、静かな囁き声が届いた。


「唐突だね。なにやら焦臭いなぁ」

「思うところがあれば、皆に言うが良い」

「単なる勘所なんだけどね・・・」


 語尾を濁す相手に、ヒラリーは横目で厳しい視線を送った。


「はっきりと言え。」

「いやね・・・数を出しての陽動、だが実際の目的は別物って考え方もあるってことさ」

「根拠は?」

「無いさ」

「・・・」


 訝しげに向けた鋼の瞳に、酷薄な笑みが飛び込んでくる。


「冗談を言ってるのでは無いな?」

「“己の信ずるコトを為せ”──灰の預言者の言葉さ。久し振りに、その実践の時が来たってとこだね」

「・・・ならば、判った。我らは、独自に調べるとしよう」

「そう来なくちゃ」


 黙れ、と相手をひと睨みすると、立ち上がって全員に向かって言った。


「すまないが、想うところがあるので、我らは別行動とさせて貰いたい。ディンジル、行くぞ」

「はいはい。そう言うことで、ちょいと失礼しますよ」


 生真面目な麗人と、不真面目な不良青年は戸口から出て行った──いや、不良青年の方が振り返った。


「エリアド、ジャンニ。そう言うことだから、あんたらはお姫さんとグランの助力を頼むよ。ケインが来たら、彼にも教えて上げてね」


 小憎らしくもヒラヒラと手を振ると、慌てず騒がず、先に出て行ったヒラリーの後を追った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ