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遙かなる望郷の地へ-17◆「交錯する想い3」

■ジョフ大公国/宮殿/大広間→廊下→宰相の部屋前


 グランの呼びかけに軽く頷くと、レアランは相手にゆっくりと歩み寄った。

 自分より、有に頭一つは上背がある異丈夫を見上げてみる。精悍な顔つき、広い肩幅、どっしりとした雰囲気。


“この人の傍らにいると、不思議と安心感を覚えるわ・・・”


 最強の戦士、アルフレッド・グランツェフ。不器用だが、実直で優しい漢。何度出会っても、何処で出会っても、自分はこの戦士に心惹かれるだろう。そう思うと、レアランは自然に浮かんだ笑みを相手に向けた。


「先に、お部屋に入って残りの方々をお待ちした方が宜しいかと思いますの」


 如何でしょう、と振り返ってエリアドに聞くことも忘れない。

 本来は、ジョフ大公国の最高権威者なのだから、『中に入って待つ』と言ってしまえば良いのだが、最初の相手の意向を尋ねるところが、如何にもレアランらしかった。


               ☆  ☆  ☆


 レアランの自分に対する笑顔が眩く感じ、グランは内心赤面する思いだった。


“俺はこの笑顔に弱い、俺を殺るには刃物は要らんな”


 些か女性に対する免疫不全でも有るのだろうか――妙なところでうろたえる自分に、理解不能になる部分があった。


“いやいや、特別だよ。この女性にだけはな”


 取り敢えず現実に思考を戻すと。


「そうしようか」


 と出掛かった言葉を飲み込むとエリアドの意向を確認することにした。


               ☆  ☆  ☆


「・・・はて。ここはどなたの治める国で、この城の主はどなたでした?」


 グランとレアラン姫の問いかけるような視線に、エリアドは少しばかり皮肉っぽい微笑みを浮かべてそう応じた。


「私にそこまで気を遣う必要はありません。気を遣っていただけるのはありがたいことだと思っていますけれどね。

 けれど、あまり気を遣われてしまうと、こちらとしても、かえってやりにくい。昔のように友人だと思ってくれるのなら、あまり気を遣わないでください」


 嫌みにならないように気をつけながらも、エリアドはそのように続けて言った。

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