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遙かなる望郷の地へ-16◆「交錯する想い2」

■ジョフ大公国/宮殿/大広間→廊下→宰相の部屋前


「では、先導させていただきます」


 エリアドに微笑んで返すと、先に席を立って大広間を出る。

 宰相カイファートの執務室は、同じ階ではあるが、建物の別翼にあった。

 代々、ジョフ大公が住まうこの宮殿だが、奇跡的に先の大戦を生き延び、こうしてまた住まうことが出来るようになっている。宮殿は、いまだ復興途上にあるジョフ大公国民にとって国の象徴であり、大公家は心の拠り所であった。


 ──人々に安寧と豊かな暮らしを与えることが、大公家としての義務である。


 生前、常々父である先代の大公トーランスが述べていた言葉である。その言葉を、娘であるレアランは忘れる事がない。


“わたくしは、国と民と共にあって、はじめてわたくし自身であると言えるのですね”


 一途にレアランは想う。そして、その想いを支えてくれるグランと、その仲間達に心からの感謝を捧げていた。


「あ・・・」


 長い廊下を歩ききり、角を曲がると、正面の扉の前に巨躯の異丈夫が立っていた。その人物を見たレアランの表情には嬉しそうな笑みが浮かぶ。


「グラン・・・」


               ☆  ☆  ☆


 開け放たれたドアから中へ進もうとした時、後ろからの人影に気がついた。


「姫」


 レアラン姫の後ろに続く人影のこともあり、此処で姫を待っていたと思われるのも気恥ずかしい気持ちがこみ上げる。 


「どうも部屋を覚えるのは苦手でね・・・戦場では疾風を誇った俺も此処では形無しだ、でも部屋は間違わなかったらしい」


 どこまで本当か判らない下手な冗談でごまかしつつ、姫が歩いてくるのを待った。

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