天災姫と王子様の本当のお話
昔々、厳密には1008049年前に童輪王国と言う国がありました。
この国には魔女やドラゴン、海賊、山賊盗賊もいれば。
勇者や賢者、魔法使い、いろいろな人たちが暮らしていました。
しかしこの国の国王イーレオ・ダ・オーレはある悩みを抱えていました。
「1008049年後の未来は一体どうなるのだろうか…」
プロローグ
この童輪の国は歴史の中で六人の姫達が世界を滅ぼそうとしたとき以外は戦争も内戦も起こらず平和そのものだった。
しかし現国王イーレオ・ダ・オーレが気まぐれに城の最下層にある「禁書の館」へ入り隠しておいたへそくり(2389円)を取りにイチゴオーレ片手に向かっていた。
「ここに入れるのは吾輩と親友魔術師キーア・モトアキしか入れないからなへそくりを隠すにはもってこいだな」
イチゴオーレのパックに刺さっているストローを咥え半分あったイチゴオーレを一気に飲み干す。
「あ、なくなってしまったかじゃあ次のと…」
歩きながらベルトにかけてあったイチゴオーレのパックをとり手際よくストローを取り差し込む。
そうしているとへそくりの隠している固く厳重に保管されている封印されし六冊の本が置いてある棚の前にきた。
「さてまずは封印を解かんとな…えーと
我イチゴオーレと液晶型ディスプレイ投影遊戯をこよなく愛するものさっさと封印解けて
くれない?」
ガチャ
棚の戸が開き本の隙間からへそくりを取り出した。
「あったあった…この封印されてる本のタイトル気になるな…見てみようか」
興味が湧き六冊を近くのテーブルに並べた同じくイチゴオーレのパックも置いた。
「ほこりまみれだな…なんか拭くものないかな?」
あたりを見回すと雑巾が置いてあり取りに行こうとしたが…
バシャ
「あ…やべ…こぼした」
手にイチゴオーレのパックに当たり倒れそこに置いてあった七冊の本すべてにイチゴオーレがかかり封印が解けた。
本から黒い気体が飛び出し少しその場を漂うと一気に出口めがけ弾け黒い気体は消えていった。
「あわわ…ヤバイこれはマジヤベーよ世界を滅ぼしかけた六人の姫達が外の世界に出ちゃった」
茫然とし崩れ落ち膝立ちになりしばらく考えた末立ち上がった。
「そうだ万能魔術師キーア様に相談すっか」
満面の笑みを浮かべ立ち上がり急いでキーアに連絡を取った
急いで駆け付けたキーアに事情を説明をした。
「お前…なんてことを
災悪の姫 紅冃
誘惑の姫 稔禦姫
復讐の姫 神頽呬羅
死毒の姫 死羅幸姫
破壊の姫 過愚夜姫
怨念の姫 眠砺瀘森乃否汝
この国、いや世界を滅ぼそうとした六人の姫たち、「天災姫」達を解き放ったのか…」
明らかに深刻そうに語り始めた。
腕を組みうろうろし三分程すると何か思いだしたのか小走りで駈け出した。
「どこ行くんだキーア?」
「眼には目を歯には歯を姫には王子をってな」
キーアがイーレオの問いに答え目的の場所に着いた。
そこはこの城の最上階にありかつてこの六人の姫を封印した王子たちが封印された本がある「伝説達の館」があった。
「着いたハァハァ走りすぎた」
「ほんとだよキーア何年ぶりに走ったかなゼーハァゼー」
息を二人しばらくの間息を整え深呼吸をした。
キーアがポケットから鍵を取り出し扉を開けた。
中は神聖なふいんきを出しその部屋の中心に六本の柱が円状に立ちそこには日の光が差し込んでいた。
「久しぶりに来たねここ」
「ああ、三十年前だけどね」
そこには有名な名の人が書かれた表紙があった、ジャンヌダルクや伊達正宗、坂本竜馬、卑弥呼、シャクシャイン、ナポレオン、ガンジーなど。
しかし目当てはこれらの本ではなくその中心にある六冊の本
剛腕の狼男 ガルメスド・ウルフ
最果ての航海士 マリンソール
才貴の王子 ディーアノ・バ・オルテ
優楽の翁 加竹七緒
雪原の放浪者 奈雪多助
深森の狩人 サゼールフォーレス
「こうなりゃまた王子達を起こすか、
我名のもとに目を覚ませ王国の危機だから早く起きろ」
「相変わらずふざけた解除用の呪文だな」
ボンッ
六冊の本が一斉に煙を出し中から王子たちが出てきた。
「お久ぶりです王様」
「何かあったんですか?」
出てきた王子から口々に聞かれ答えるイーレオ。
「えーっと単刀直入に言う「天災姫」達が封印してた本から出た」
王子達はしばらく黙りこんで一斉にため息をついた。
「マジですか?冗談ですよね…」
「冗談でこんなことは言わん!」
満を持した表情で告げた。
それを聞き王子たちは本を開き中に戻り始めた。
「待て待てお前ら何で戻るんだ!」
すると王子一同本から顔を出し声を揃え言った。
「もう二度とあいつらとはかかわりたくない!」
そう言い残すと顔も引っ込め再び封印された。
残された王イーレオとキーアが頭を抱え悩んでいると目の前に才貴の王子ディアーノ・バ・オルテだけが残っていた。
「王様、僕もまた彼女と戦うのは嫌です、がその代り僕の力を貸す…いや相応しき者に後継するのならいいですよ」
「え?」
二人してオルテの声に疑問の声を上げたがすぐ理解した。
「なるほど後継…いや伝承の儀があったな」
伝承の儀、この国では有名な神話民話童話昔話に出てくる者の力を一度だけ人一人に授ける儀がある。
かれら六人の王子たちもそれぞれ
ガルメス・ウルフは「赤ずきん」マリンソールは「人魚姫」
ディアーノ・バ・オルテは「シンデレラ」加竹七緒は「竹取物語」
奈雪多助は「鶴の恩返し」サゼールフォーレスは「眠れる森の美女」
それぞれの童話昔話のプリンスの力を得ている。
そして三十年前にディザスターズガール達を封印し世界を救ったためそれぞれが童話となりこの部屋に保存されていた。
「確かにお前たちは童話の中の人間だから伝承も可能か…しかしどうやってその後継者を見つけるのだ?」
「それはもう決めています。そうだろみんな」
するとイーレオの後ろからごそごそと音をたて本の中に戻ったはずの王子達が出てきた。
それぞれの手には一枚の栞を握っていた。
「お前たちその栞は?」
「俺たちの意思と思いと力と願いを込めた栞ですよ王様」
王子たちがカードを掲げると天井から栞は飛んで行った。
「僕らの求める後継者、1008049年後の後継者のもとへ飛んで行ったんですよ」
「彼女たちも1008049年間はこの表世界には出てこれないからな」
栞が飛んで行った天井をその場にいた全員が見上げ皆同じ願いを願った。
(世界を救ってくれ)
そして1008049年後の春に至る。