第六十七話 夏の終わり
花火が終わった帰り道。またみうと手を繋ぐ。
感想は控えるが、心臓が爆発四散するのも時間の問題だった。あと二回ぐらい繋ぐと多分死ぬ。
神社に戻ってきた俺たちは、そのまま再集合予定の場所へと向かう。祭りから離れた所で花火を見ていた分、俺たちの到着が一番遅かった。
結局花火の開始時刻が遅れたため、時間はもう九時前。花火後も遊ぶ予定だったのだが。
「良い時間だから、もう今日は帰ろうか」
という結論に落ち着いた。ただ浴衣組が元の格好に着替えなければいけないので、レンタル着物店へとまずは向かう。
彼女たちが店内で着替えている間に、
「満くん」
「なにー?」
「これをあげよう」
「これは?」
「秘密だ。家に帰るまで絶対に開けたらダメだぞ」
「うん、分かったー。でも重いね」
「ああ。ほんっとに重かった。ずっと」
ブレステ4入りの袋を満くんに渡した。実に一時間以上持っていたため、腕が疲労困憊で取れそうである。
あ、もちろんブレステをあげることは美弥から了承を得ている。
「お兄ちゃんありがとうー!」
「どういたしまして」
ブレステの重みから解放され、腕をぐるんぐるん回していると、しばらくして舞鶴たちが店内から出てくる。浴衣でなく普通の私服に戻ったみうに、また目を奪われてしまったのは内緒の話だ。
メガネくんたちと別れ、駅に向かい、電車に乗る。
「次会う時は学校?」
「みんなで集合するのはそうだろな。俺とあやはサッカー部でまだ会うけど」
「あ、そっか」
メガネくんたちの地元から家までは遠いので、まだ二時間ほど電車に乗ることになる。帰る頃には十一時を過ぎているだろう。
……あれ、高校生がその時間はまずいのでは?
まあ、過ぎてしまったことは気にしても仕方ない。
「もうすぐ文化祭だね!」
「だなだな! マジ楽しみ!」
「脚本どうなるのかな?」
「さあなー」
それよりは先のことを考えよう。二学期には学校の二大イベントがある。
文化祭と体育祭。更にうちの学校はクリスマスの日にクリスマスパーティーもやっている。
クリスマスパーティーの参加は自由だが、とにかくイベントが盛り沢山だ。
「あ、でもまずは夏休みの宿題やらねえとな」
ピキッ。
何気なく呟いたその一言で、空気が微妙に凍る。冷や汗を流しているのは大和と舞鶴、みうに……
「お兄ちゃん。夏休みの宿題なんてものはないんだよ?」
「あるに決まってるだろ」
「うわあああ! お兄ちゃんがいじめる! 現実逃避させてくれない!」
美弥だった。
「お前まさか、今年もまだ何もやってないとか……」
「てへっ⭐︎」
「今年も夏休み最後の一週間は美弥に付きっきりか」
ため息をつく。計画的に少しずつ進める俺とは違って、美弥は直前で追い込むタイプだ。
何度言っても直らないのでもう慣れたものである。最後の一週間が美弥との勉強に消えるのも毎年のこと。
やっぱり多少の怠さはあるが……でも例年よりはどこか面倒に感じなかった。
きっと今年の夏休みは色々あって、充実していたからだろう。
メガネくんの依頼、海への旅行、夏祭り、そして……
チラリとみうを見る。
みうは疲れているようで、舞鶴の肩にもたれかかるように寝ていた。
すう、すうと微かに揺れている。
夏は、恋の季節だった。
これにて夏祭り編は終わりです!
ようやくここまで来れたかといった気持ちです。
更新休止期間が長過ぎたのが悪いですね……笑
感想やレビュー、評価等、是非是非してやってください!
以下、大切なようなそうでもないようなお話です。
今読み返してみると文章力やストーリー展開に納得の行ってない部分が多々あるため(今も文章力は酷いですが)、これを機に書き直すことも検討しています。
書き直す場合は、続きも書きつつ順次書き直していき、全ての添削及び修正が終わった段階で一度この小説を削除し、再投稿という形式を取ると思います。
もちろんその折にはご報告しますのでご安心ください。
また、この辺りが読みづらかった、この辺りの展開が早過ぎたなど、そういった厳しい意見も参考にさせていただくためお待ちしております!