EP
そして、数日後。
僕らは国会議事堂前に呼ばれ、国内生中継という晴れ舞台の中、国狼承認式を受けることになった。
誰もが讃え、この中に浪白の姿はあるのか、などという勝手な想像をしてもみたが、やはりこの人混みの中から一人の人間を探しだすのは至難を極め、やがて諦めた。
承認式が終わり、一日休憩日が挟まれると、ついに国狼としての職務が始まる。
「うわー…ラクじゃねェなァ」
スケジュール表を見て、鎌ケ谷が周りの目を気にするでもなく口にした。
「まあコレが僕達の選んだ道だからね」
そう。だから。
誰もが目指した栄冠を被って尚、手を抜く訳にはいかない。
「二人共ー、今日は国からお祝いがあるらしいですよー!」
「おう、わかってる」
「うん、了解」
秋川楓は、自分が国狼にふさわしくない人材であることを自覚しながらも、その責務を全うしようと努力を重ねている。
こんなもんだ。
意外と、こんな奴がなれるはずがない、そう思われてる奴が将来以外にビッグになっていたりする。
僕は立ち上がり、身体を大きく上下左右に伸ばした。
「国狼に…なれてよかった」
僕は、ネクタイをギュッと締め直し、パーティー会場へと向かった。
了