02
体はガチガチに固まって動けない。
なに?
なに?
夢なんだな?
そうなんだな?
必死に自分に言い聞かせ、冷静になろうとする。
―――ぐシャぁあぁぁっ
少し離れたところで建物が崩れ出した。
飛び散り、襲いかかってくる大量のひのこ。
とっさに顔をかばう。
体にかかった熱さで私はやっと、これが夢でないことに気がついた。
「ああぁああああぁぁぁぁあぁぁぁあああああああああ!!!!!!」
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「生徒や教員の方でけが人はいないか?」
「ゼロです。そもそもこの建物は旧校舎なので、人の出入りがありません」
燃え盛る建物から大分離れたところで、指揮官は部下の報告に耳を傾けていた。
「……ん?」
アレンはその言葉に疑問を持つ。
「ですが、近所の若者が肝試しとして忍びこんだそうです。今回の火災の原因は彼らの不注意かと」
マイザーはアレンが疑問を口にする前に答えた。
「なるほどなぁ。ったく、夜遅くに叩き起される身にもなれッてんだ」
「団長」
「なん……うぉっ」
呼びかけに振り返るとマイザーがおぞましい眼光で立っていた。
「団長は……寝てらしていたんですね……のんきに…私が徹夜してるときに………」
アレンは地雷を踏み抜いてしまったことに気がつく。
「あぁ、いや、その」
「私がこの一週間、仕事でろくに寝ることができ無かったのに……あなたは部下に仕事押しつけて寝てたんですよね……フフ腐フフフフフ」
こわい。マイザーの声と黒々と隈の浮いた血色悪い顔が、怖い。
『―――ぁぁ―――――――ぁ――――――――――ぁ!!!!!!』
「「!?」」
誰もいないはずの旧校舎から、叫び声が聞こえた。