デザイン
昼過ぎにオレは、外出した。
婚約指輪のデザインの事で、兄さんに相談にのってもらいたかったからだ。
「おっ、いらっしゃい」
店に入ると兄さんが声を掛けてきた。
「兄さん。相談にのってもらいたいことが…」
オレは、兄さんに近付いて言うと。
「何?デザインの事か?」
乗り気で聞いてくる。
「そうなんだ。婚約指輪のデザインを考えてて…」
オレが言うと。
「婚約って…。お前、まだ高校生だろうが…」
驚いた顔をする兄さんに。
「そうだけど。近々婚約するから、指輪が無いとカッコつかないだろ」
オレの言葉に。
「はぁー。お前がなぁ…。わかったよ。一点物にしてやるから、案があるなら言えよ」
そう言いながら、奥に移動する兄。
オレは、その後に続く。
「で、モチーフは?」
「四つ葉のクローバで、石はエメラルド。四つ葉の中央にピンクダイヤをあしらって欲しいんだけど…」
オレが言った言葉で、スケッチに書き留める兄。
「こんな感じか?」
「そうそう。で、茎が少し入ってる感じで」
付け足すように書いていく。
「こうか?」
兄さんが見せてくれた。
「流石、兄さん。それです」
「おだてても、何もないぞ」
兄さんが、苦笑して言う。
「…で、何時ぐらいに出来そう?」
「う~ん。それって、急ぎってことか?」
「なるべく早く欲しいんだ」
「わかったよ。出来次第、メールか電話する」
そう言って、笑顔を見せる兄さん。
「それと、その指輪に合うネックレスチェーンも一緒にしてくれると助かるんですが…」
オレの言葉に。
「わかったよ。ネックレスの方は、俺からのお祝いってことでいいな」
兄さんが、そう言ってオレの頭を叩く。
「ありがとうございます。無理を言ってすみません」
オレは、兄さんに頭を下げた。
「いいって事。…で、その彼女には、会わせてくれるのか?」
兄さんが、ニヤニヤしながら聞いてきた。
「機会があれば、会わせてあげますよ」
オレは、そう言って店を出た。