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憧れと焦れったさ

タ食を終えて、リビングで寛いて居たら。

「ただいま」

玄関から声がした。

「お帰りなさい」

詩織が玄関まで迎えに出ていく。

オレも後に続くように出た。

「お邪魔してます」

と挨拶をする。

「あぁ、事情は母さんから聞いてる。落ち着かんかもしれないが、ゆっくりしていきなさい」

詩織のお父さんは、優しくオレの肩を叩いた。

「はい。ありがとうございます」

オレは、そう言いながら頭を下げた。

「お帰りなさい、あなた」

詩織のお母さんが、キッチンから顔を出す。

「ああ、ただいま」

「先にお風呂に行ってください。その間夕食の準備しておきます」

「わかった」

なんかいいなぁ、こういうの。

「いつも、ああなの?」

つい口にしていた。

それを聴き逃さなかった詩織が。

「うん。仲良しさんなんだ」

って、ニコニコしながら言う。

「羨ましいかな」

ボソッと言った言葉が、詩織に聞こえたらしく。

「私も、父さんと母さんみたいになりたいなって思ってるんだ」

って、笑顔で言う。

そんな詩織に。

「なれるよ、オレ達なら」

オレは、詩織の肩を抱いて小声で伝えた。

詩織も照れ臭そうに小さく頷いた。

「護。ちょっと待ってて」

突然思い出したように慌てて二階に駆け上がって行く詩織。

どうしたんだ?

暫く待ってると。

「これ…」

何かを抱えて降りてきたかと思ったら、先程とに似た包みだった。

「エッ…。オレ、さっき貰った…」

部屋で貰った奴以外にもあったのかと戸惑ってると。

「違うよ。護のお父さんに渡して欲しいんだ。本当は、私から渡したかったんだけどね」

って、慌てて訂正してる詩織。

親父の分…ね。

「何で?」

何となくだが、疑問に思った。詩織が親父に会ったのは、たった二回だ。それなのに渡すって、どういう理由わけか知りたかった。

「これから、お世話になるんだからね。それから、感謝の気持ち」

詩織が、ニコニコしながら言う。

そういう事か…。

「そっか。なら、オレから渡しておくよ」

オレは、納得して受け取った。

「うん。お願いね」

詩織は、それだけ言うとキッチンの方に無かった。

詩織は、誰に対しても気をきかせる。

親父の文まであるとは…。

取り合えず、これは部屋に置きに行くか。

オレは、自分に宛がわれた部屋に戻った。


ハァー。今日は、散々だ。

でも、こうして詩織の家に厄介なるとは、思っていなかった。

それに優基の相談事。

アイツから頼られたのって、数えるくらいしかないよな。だから、余計に心配になる。

詩織に話した方が、早いと思うのはオレだけかもしれないが、優基の許可無く話すわけもいかないし…。

優基は、里沙ちゃんの事を本気で好きだから、迷ってるんだ。

オレが手伝えることがあればいいんだが…。

優基には、色々と相談にのってもらってたからな。

上手く解決できればいいんだけど…。

考え更けてったら。

「おい、護。居るか?」

ドアの向こうから、隆弥さんの声。

「あ、はい」

「風呂、空いたから入れ」

「はい」

オレは、着替えを用意すると風呂場に向かった。


服を脱ぎ、足の包帯湿布を剥がし中に入る。

意外と広くて驚く。

オレは、かけ湯をして湯船に浸かる。

家の風呂とお大違い。

そんなことを思いながら、足の具合を見ると少し落ち着いたみたいだが、まだ色は戻ってない。

ハァー。詩織に悪いことしたな。凄い、楽しみにしてたからなぁ。

何か償う事が出来ればいいのだが…。

その時だった。

コンコン。

静かに入り口の戸がノックされた。

「はい?」

オレは返事をしたが、何も返ってこなかった。

何だろう?

不思議に思いながら、湯船から上がり頭を洗うのだった。



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