触れあい
詩織の唇から首筋、鎖骨へと唇を這わせていく。
「ちょっと…、護…」
慌てて押し退けようと手を突っ張る詩織。
それを受け入れれずにそのまま服の裾から手を侍らせる。
オレが触れた肌が熱を持ち始める。
「詩織…。今、お前を喰べたい…」
オレは、本能のまま詩織の耳元に囁いた。
「ダメだよ…。お母さん達が…来ちゃうよ」
詩織が、拒否してくる。
確かに来るかもしれない。が、オレは今詩織に触れたいんだ。自分のだって、認識したいんだ。
「そうかもしれないが…。もう、我慢できない…。お前が欲しい…」
欲望のままに詩織に訴える。
暫く考え込んでた詩織が。
「……うん…」
ほんの小さな声で頷いてくれた。
凄い戸惑っていたのが解るぐらいだったのに、それでもオレの想いを汲んでくれたのが嬉しい。
「詩織の声聞きたいけど、押さえてな」
無理かもしれないが…。
「…う…うん…」
顔を真っ赤にして、両手を口に持っていって塞ぐ仕草が、なんとも言えなくて…。
愛しい彼女を大切に…大事に扱う。
オレは、彼女の至るところに自分のだという印を残した。
詩織を抱きながら、こんなに幸せでいいのだろうか?
自問自答した。
詩織にとって、これが幸せなんだろうか?
フと思った。
「護…」
「どうした?」
憂いを含む顔でオレを見上げる詩織。
やっぱり、嫌だったんだろうか?
不安になっていたときだった。
「私、やっぱり、護が一番好き」
って言葉が、詩織の口から出てきた。
オレは、その言葉を聞いてホッとした。
「それより、お前。やっぱり痩せたな」
オレの言葉に。
「そっかな…」
自分では、わからないみたいだ。
「うん。文化祭の前に倒れそうになってた時よりはな」
あの頃の詩織を思い出しながら…。
「それ以上痩せるなよ。ぶっ倒れられてもオレが困る」
何でオレが、困るんだ?
自分で言ってて訳がわからん。
まぁ、用は心配なだけなんだけど…。
「努力します」
詩織が、笑顔で言う。
努力してどうにか出来るものなのか?
そう思いながら、詩織を見る。
詩織は、脱ぎ散らかした服を集めて着ようとしていた。
「まだいいじゃん」
そう言いながら詩織を後ろから抱きすくめる。
「でも、誰か来たらどうするの?」
ムスッと拗ねるように言う。
そうだけどさ。もう少し、堪能したい。
そんな時だった。
コンコン。
ドアをノックする音が響いたのは。
『あなたの瞳に映るのは…』に彼目線追加してます。
暇な時間にお目通し頂ければ幸いです。