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まさかのお泊まり

隆弥さんのお薦めの和食料理屋は、本当に美味しかった。

見た目も、味も良かった。

オレも作ってみたいと思えるほどだ(詩織限定で)。

「隆弥さん。ご馳走さまでした」

「いいって。気にするな。さて、詩織も心配してるだろうから帰るぞ」

隆弥さんの車に乗る。

「本当にいいんですか?お邪魔しても…」

オレは、改めて伺うと。

「遠慮するなよ。母さんも喜ぶよ」

隆弥さんが、笑顔でオレの頭をクシャクシャにかき混ぜる。

それならいいんだが……。



「ただいま」

隆弥さんが、玄関を開けて、中に入って行く。

オレは、その後を追うように玄関を潜った。

「お邪魔します」

オレは、靴を脱ぎ上がった。

そこにちょうど詩織が、二階から降りてきた。

詩織と視線が会うと。

「大丈夫?」

心配そうな顔をして、オレに問いてきた。

「コイツさ。お前の前だと物凄く我慢するんだな」って、隆弥さんがオレが答える前に可笑しそうに言う。

「どう言うこと?」

詩織が、不思議そうな顔をしながら小首を傾げる。

「コイツ、詩織と別れてから物凄く痛がってさぁ、ギャップがありすぎて、笑ったよ」

隆弥さんが、さも可笑しそうに言う。

オレ、そんなに痛がってたか?

車の中での事を思いだす。

自分では、ピント来ないが…。

確かに、詩織には見せたくない一心だったが、そのままだったと思う。

うん。

「で、症状は?」

詩織が、真顔で聞いてきた。

「骨には異状無いが、暫くは腫れが続くそうだ。その間に熱や痛みもでるだろうって。で、痛み止と解熱剤を貰ってきた」

症状を説明するとホッとした顔を見せる詩織。

そこに。

「あら、お兄ちゃんと護くんだったの。お昼どうする?」

詩織のお母さんが、キッチンから顔を出した。

「俺等、食べてきたから…」

隆弥さんが、素っ気なく言う。

「そっか…。詩織、私達でお昼食べよう」

詩織のお母さんの声が、沈んでるように聞こえる。

気のせいか?

「そうだね」

詩織は、そんなお母さんに気を遣って、明るく答えていた。



そうだ。

親父に電話しないと……。

色々有って、連絡してないや。

「ちょっと、電話させてもらっていいですか?」

遠慮がちに詩織の母親に断ってから、電話を掛けた。


『どうした?』

親父のそっけない声。

「悪いけど、二三日詩織の家にお世話になることになったから…」

簡潔的に言いすぎたのか。

『何があった?』

滅多に心配しない親父の声が、微妙に動揺してるのが分かった。

「今日の試合中に足を蹴られて、腫れてるもんだから、家から学校に通うよりも詩織の家

からの方が近いし…」

語尾を少し濁らせたオレ。

『そうか…。足は、大丈夫なんだな。ヒビとか入ってないんだな?』

「あぁ、レントゲンとったけど異状なかった」

『わかった。そっちには、後で電話入れとく』

親父は、それだけ言って電話を切った。


「どうだった?」

詩織が、オレの顔を覗き込んできた。

「いいって。お母さん、後で親父から電話があるかもしれませんが…」

オレが言うと。

「わかったわ。で、護くんは、暫く家に居るってことでいいんだよね?」

お母さんが、嬉しそうにオレに訪ねてきた。

隆弥さんに粗方、事情を聴いてたみたいだ。

「お世話になります」

オレは、返事の代わりにそう言って頭を下げた。

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