牽制?
翌朝。
オレは、時間よりもちょっと早めに詩織の家の前に着いた。
チャイムを押す。
ピンポーン。
家にチャイムが響く。
軽やかな足音が、聞こえてきたと思ったら、詩織が慌てて出てきた。
「おはよう」
オレ達は、互いに言い合う。
が、詩織が怪訝な顔つきになる。
「どうしたんだ?悩みごと?」
オレは、詩織の顔を覗き見る。
詩織が、戸惑った顔をする。
「百面相になってる」
すると詩織が、慌てて笑顔を取り繕う。
「何でもないよ」
誤魔化すように告げてきた。
「それより、今日の対戦相手どこ?」
詩織が聞いてきた。
まぁ、そうだろうな。
オレの、後輩に渇を入れる為に電話して、相手校の事を聞いたんだが……。
「確か、高陵学園だって言ってたぞ」
オレが、答えると詩織が益々固まった。
何?
何かあるのか?
「どうかした?」
オレは、そんな詩織に声を掛けるが。
「ううん。何でもない」
詩織は、何かを隠すように言う。
やっぱ、何かあるんだ。
ちゃんと話して欲しいんだがな。
グランドでは、サッカー部がウォーミングアップしている。
その近くで、生徒会メンバーが集まっていた。
アイツもそこに居た。
「おはよう」
詩織が、メンバーに向かって挨拶してる。
「おはよう。って旦那も一緒かよ……」
って、ヤツは皮肉をオレに向かって言ってきた。
居て悪いか。
別に構わないだろ。
後輩の応援に来たって……。
言い返してやろうかと思ったら。
「いいでしょ。護は、サッカー部のキャプテンだったんだから、後輩の応援ぐらいいいじゃない」
詩織が言い返していた。
オレの出番なし?
なんて思ってたら。
「玉城先輩。お願いがあるんですが…」
二年のキャプテンが言いにくそうに声をかけてきた。
「なんだ?」
何となくだが、わかったが……。
「メンバーが足りなくて、玉城先輩でてもらえませんか?」
やっぱり…。
仕方ないか……。
「わかった」
オレは渋々了承する。
「…と言うことで、ちょっと行ってくる」
オレは、詩織の頬にキスした。
ヤツに見せつけるためだ。
「ちょ…っと…」
詩織が、顔を赤めて慌て出す。
そんな詩織の姿を見てからオレは、部室に向かった。