詩織からの手紙
久し振りに護編を投稿します。
遅くなってすみまセーン。
カコン……。
ウトウトしてたら、玄関のドアポストになにかが入れられ音がした。
オレは、立ち上がり見に行く。
ドアポストを開けると、花柄の封筒が入っていた。
宛名書きは、オレになってる。
裏を返すと、詩織の名前が…。
オレは、慌てて封を切った。
中から、封筒と同じ柄の便箋が出てきた。
オレは、それを広げた
“Dear 護
突然の手紙でごめんなさい。
今頃、隆弥兄に対して、爆発してるよね。
でも、隆弥兄は、護の事を見下してる訳じゃないよ。
護に一皮むけて欲しくて、あえて護に枷を与えてるんだよ。
だって、隆弥兄は護の事を認めているから…。
でも、今のままでは、駄目になるのが見えてるって言ってた。
だから、暫くの間、距離を置いた方がいいって、思ったみたいだよ。
私は、護の事を信じて、待ってるから、頑張って欲しい。
愛してます。 詩織
P.S. 私は、もう一度片想いをしてたころに戻って、護からの告白を待っています。“
詩織の想いが詰まった手紙だった。
オレは、思わず玄関を開けた。
居るわけ無いと思いながら…。
微かに階段を駆け下りていく足音が聞こえたきた。
オレは、走り出していた。
もしかしたら…。
まだ、詩織が居るんじゃないかと…。
階段の踊り場に見知った背中が見えた。
「詩織!」
思わず呼んでいた。
詩織は、一瞬立ち止まったかと思うと、そのまま下りていく。
オレは、それを追いかけた。
「詩織」
詩織の肩を掴む。
詩織が、小刻みに震えていた。
そんな詩織に。
「ありがとう。オレ、頑張るから。もう一度、詩織に告白させてくれ。そして、必ず迎えに行く。オレにとって、詩織は一番大切な存在だから…」
オレは詩織を抱き締めながら、一晩考えた答えを伝えた。
詩織が、振り返ってオレの背に腕を回してきた。
「本当は、隆弥兄に“護には、会うな“って言われてるの。だけど、どうしても今の私の気持ちを伝えたくて、手紙をお置きに来たんだ。護に会わずに帰るつもりだったけど、昨日のこともあったから、顔を見てから帰ろうと思って、影に隠れてた。見つかっちゃったけどね…」
詩織が、まるで悪戯がばれてしまったかのように、舌を出す。
可愛すぎるだろうが…。
「詩織の笑顔を守るためにも、頑張るから。もう、泣き言は言わない。だから、安心して待っててくれ」
詩織に囁く。
「うん」
笑顔で頷く詩織。
そして、そっと唇を重ねた。
会えない時間を惜しむように…。
「じゃあ、もう行かないと、バイトに遅れちゃうから…」
詩織が、オレの腕から逃れて、寂しそうな笑顔を向ける。
今にも泣きそうだ。
でも、オレは、まだ何もしてやれないまま。
「うん」
頷くしか出来なかった。
「頑張ってね」
詩織が、精一杯の笑顔を見せてきた。
手を振って、行ってしまった。
オレは、その後も詩織からもらった手紙を読み返しては、考えていた。
詩織に自分の想いだけを押し付けていたのかもしれないと…。
詩織の想い。
この手紙に全てがある気がする。
それから、塾の時間まで、その手紙を読み返していた。
塾から帰ってきて、自室で苦手な分野を勉強していたときだった。
truuu……truuu……。
机の上に置いていた携帯が鳴った。
画面を見ると優基からだった。
「はい」
その電話に出た。
『もしもし、護。お前に頼みたいことがあるんだが、明日、時間あるか?』
相変わらず、唐突だな。
まぁ、優基には、色々世話になってるし…。
「あぁ…」
オレの返事に対して、優基が。
「じゃあ、明日の午後三時に詩織のバイト先な」
用件だけ言って切っちまった、
なんなんだよ。
詩織に関係してるのか?
オレは、モヤモヤをカカエながら、勉強した。
読んでいただき、ありがとうございます。
なるべく、間を開けずアップしますんで、お付き合いください。