世界はどこまでも不毛に弱者を求める
モノカミ殺し完結。理不尽なのは神なのか、それとも……?
「おい、フレイ」
その呼びかけに目を覚ます。
日は、まだ昇りきっていない。体内時計術式によると、午前四時半。
中腹とは言え山の夜は、痺れるような寒さを産む。計測術式によると、現在の気温は摂氏六度。
空気は軽く、音が良く響く。湿りもない空気は、肌を張り詰めさせる温度を与えるが、そこは北方民族。
しかし寒さもよりも、この乾いた空気の方が天敵だ。口を開くと、直ぐに喉が渇く。体内から奪われる水分の内、呼吸によって揮発するそれは、意外にも多くを占めている。蝙蝠の羽を着けたまま寝たことは、正解だったようだ。心臓部と頭部の半分を覆う、二重構造の布地は簡素ながらも、想像以上の効果を発揮する。
だが、山の夜で恐ろしいのは、寒さや乾いた空気だけではない。
鳥獣の鳴く音。葉の擦れ合う音。虫の音ですらも、慣れぬ者にとっては、十二分に恐怖の対象となる。いや、例え恐怖を抱かずとも、それ以外の音が自身の心音しかないという空間では、都会の喧騒よりも轟々と喚きたてるのだ。しかし、ここ三ヶ月ばかりを樹海と山の中で過ごしてしまった俺は、それらの音に慣れきってしまった。
だから、割と直ぐに意識が覚めた。呼びかけるタイミングも、レム睡眠からノンレム睡眠に切り替わるところを狙ったからだろう。
今から約一時間程前、そのタイミンで起こすように命じていたからだ。そうして一時間毎に状況を確認するため
さて、それではまた睡眠導入術式を使い、一時間半後ぐらいに目覚めることにしよう……。
そう、本来なら、先ほどの呼びかけで、フギンの言葉は終わるはずだった。
「今から約半時前、モノカミの出現ポイントに幼子が八人連れて来られたぞ。テレパスで地図を送っておいた」
あの老人がいない。
「モノカミは出たか?」
「まだだ。だが急げ。今さっき、ガキを連れてきた大人が帰っていったところだ」
老人とは入れ違いになるだろう。まぁ、礼などするつもりもなかったから、構わないか。
俺は、若い男と女二人を起こさないように、そこから出た。
順調に行けば、ポイントまで、そう時間はかからない。
●
絶叫が走る。双子の姉が頭部を噛み千切られたことが、それを引き起こした。
漏らしている子もいるけど、あたしの耳や目は、そんなことも、まともに伝えて来ない。
あたしの頭の中は黙りこくったままだ。恐怖すらも超えた反応。逃げようという想いすらも失せる。一瞬で感覚を麻痺させた、それは死以上の衝撃。
もしかしたら、あたしは、もう既に死んでいるのかもしれない。
……死って、何?
お爺様は、尊いものだと言った。お母様は、救いだと言った。お兄様は……。
こんなもの、死が何のために存在しているのか、分からない。分かるくらいなら死んだ方がいい。
毛玉の怪物は、一人一人を丁寧に貪り食っている。地に飛んだ体液すらも嘗め回し、啜り、不気味なほどに恭しい。
その時間は長く感じた。しかし、その間のこと、今さっきの音や臭いも分からない。この時は無為だ。死は一瞬でいい。こんなものが死なのか。なら、生きている時間すらも、無為ではないのか。
そうして、あたしは最後になった。
毛玉の跫音すら聞こえない。その姿を、目で捉えることすらも億劫だ。気配で毛玉が、あたしの前にいることを感じる。
目を閉じることを、あたしは選んだ。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!」
そして叫んだ。何かが、そこで叫んだ。あたしの断末魔だったのか。だとしたら、どんなに酷い断末魔だろう。
もうここは、きっと神の許だ。そんなものがあるとしたらの話だけど。目を開いて確かめてみよう。
黒が、そこに聳えている。闇ではない黒。
男の背中が見えた。
●
フレイは眼前にいる、その奇異な姿には似つかわしくない、鮮やかな緑の体液を噴出す毛玉を見た。おそらくは陸蟹か、あるいは蜘蛛の化物だろう。正確な数を把握するのは容易くないが、観察すると、左右にそれぞれ同数の脚を持っているのが分かった。
合わせて二十四本。しかし、その多くの脚でも、支え、動くには不十分ではないかと思えるほどに、その毛玉は巨体だ。二階建ての家の、尾根よりも高い。
剣を突き立てられた毛玉は、その脚を器用に動かし素早く後退した。まるでゴキ……いや、あいつはバックできないか。
今、鞘から抜いて毛玉に突き立てたのはムニンではない。黒塗りの鞘に収められていた、細枝のような名無しの剣だ。それは天上の星々の一つ、ラプラスからの助力を受けている。でなければ、毛玉の体重を支え、凌ぐことなど、到底できなかっただろう。それどころか、今の衝撃を受けても、槍の穂先を伸ばしたような刀身を持つこの両刃の剣は、折れることなく、また刃に曇りを残すこともない。
それにしても、よく生きてたな、俺。
ラプラスからの助力で、この剣を持つ者は目的と実力に応じた、適切な戦闘行動を自動的に取ることができる。先ほどの動きも、俺の意志ではない。
また、体が勝手に身構えた。緑色の噴水が、その勢いを止めたからだ。見ると、その脚さえも覆った焦げ茶色の毛が、まるで百足か芋虫のように不気味に蠢き、傷口を塞いでいくのが分かる。
気色悪っ!
「この地の者ではないな? 我に何用だ。ここは余所者が来ても良い場所ではないぞ」
この毛玉、人語を繰ることができるのか。しかもテレパス会話が可能となると、出自は、その辺の獣ではなく魔族か?
「黙れ人を喰らう化けモン」
ムニンが毛玉を挑発する。いや、あの、そういうの止めて欲しいんですが。
毛玉に動きが生じる。その焦茶色の太い毛が、波のように動いて縦に割れた。すると、その割れ目に沿ってゆっくりと動きながら、赤い球状の物体が一つ、こちらを向く。
眼球……だろうか。はっきりと窺い知れない体表から浮き出ているそれは、夜の海に浮いているかのようにも見える。しかし、それが海ではないと判るのは、その赤が風に動じていないからだろう。
その赤は、悲観に染まっているように感じられた。ぼうっと光るでもない、はっきりとした輪郭の目玉。霜が降りた鉄のように冷たそうな……熱のない赤だ。
こんな赤は初めて感じた。それは、俺が北国産まれであることと関係しているのだろうか。いや、関係ない。東西の知識者にお伺いを立てても、このような赤を知っていると答える者は、俺一人だろう。
俺テラ賢人。
「食べてくれと頼んだのはヒトであろうに。我も好んで、ヒトの仔の血肉を欲しているわけではない」
俺は、その言葉にオカルトめいた衝撃を受けた。そこにあったはずのものが、目を離した隙になくなっているような、そんな異様さだ。
簡単に言えば、それは勘違いなのだと、俺は悟った。ヒントは与えられていたというのに、何故、気付かなかったのか。
洪水と日照りによる飢饉。異教徒故に、エガリヴ聖教会からの支援を受けられない、無能の者たち。
口減らし。
だが、食うに困るからという理由で幼子を間引くのは、どうだ。流石に気が引ける。どんな土民であれど、言い訳が必要だ。
そのための神だった。そういうシステム、道具だ。
自らたちを傷付けない為の正当性。宗教上の理由、伝統、文化ならば、その理由を考える必要もない。ただ、そうして来たから。それが長年、先祖から伝えられて来た尊いものだから。そうすれば、生き残ったのは救われる。
そんな思考停止を引き起こす、諸刃の剣。衆愚政治の果て、いや基礎が、こんなところにまでもあったとは。
しかしまだ、間引いた子らを自らたちで食さない分、文化的な発達はしていると言えるだろう。
「どうする? まだ一人残っておるが、食べてよいのか?」
俺がいきなり躍り出て切り付けたにも関わらず、この毛玉は言葉を解し、こちらのことを理解することに努めた。おそらく、話し合いによる解決が可能か、見定めるためだろう。
この醜悪な形に反し、高明な道徳精神を持っているようだ。
例え金の為であっても、そんな相手を無下に殺すことは、俺の宗教観・倫理観に反する。
「斬り付けて悪かったな」
だから俺は剣を納めた。
その様子に毛玉も警戒を解いたのか、そば立てていた毛が落ち着き始める。それと共に言葉が発せられる。
「気にするな。この身体も所詮は仮初。それに――」
モノカミがその場で、その身を反転させる。そして、鬱蒼とした木々の谷間に落ちながら、残り香のように呟いた。
「ヒトが理不尽なのは、今に始まった話ではない」
唯々諾々。意味は読んで字の如く、ただただそのまま、相手の言うことを受け入れること。
作中ではこれを、他者に自身の意見を全て肯定させる便利な術の名として扱いましたが、その元ネタを見ると、どうやら本来は逆の意味のようです。
出典は韓非子の八姦編。韓非子とは、韓非が記した書物のことです。
しかし、韓非が死んだ後の出来事を元に書かれている部分もあるため、韓非が記したものではないという説もあります。
そこは、マルクス・レーニン主義や儒教は、マルクスや孔子が体系化させたものじゃないとか、聖徳太子は馬小屋で生まれた伝説超人だから実在しないとか、聖書には他の文化圏(主に今のエジプト辺り)から丸パクリした部分があるとか、そんな類のものだと思うんですがね。死海文書によると、原始ユダヤ教には輪廻転生の概念があったみたいですしおすし。
つまり、凡そ韓非が書いたけど、あとから「韓非さんマジパネェっすわ」みたいな、韓非フリークな人が、勝手に書き足したとか、そんなものかと。
もしかしたら、韓非の弟子とか同志、サークル仲間みたいなのに当たる人が、韓非の死後「韓非の本に付けたして後世の人間釣ってやろうずwww」とか「僕の考えた○○法!」を書き足したのかもしれません。完全に消二病と厨二病の類ですねぇ。
※骨々が勝手に思ってるだけで、学術的根拠は一切ありません。
それで、先程から既に八回もその名前を書かれている韓非さんですが、この人は中国戦国時代(晋が韓・魏・趙の三国に分かれてから、秦によって統一されるまでの時代。三国志に比べるとマイナーだけど、この時代も面白い。ここで言う魏は、魏志倭人伝で有名な曹魏とは違いますよー)に生きた法家で、読みは「かんぴ」です。
骨々は当初、「かんひ」と読み間違っていました……。余談ですが「じゃ、韓非子はかんぴこか」などというボケをかました人は、頭が良くなる呪いを掛けておきましたから、安心して下さい。
むしろ、誰か私にも掛けてほしいところでもありますが。
法家というのは、諸子百家と呼ばれる学派の一つ、もしくはその学者のことです。これは今で言う、法哲学と似たようなもんと考えていれば、大きくは間違っていないでしょう。
しかしあくまで「大きくは」なので、厳密にいうまでもなく間違ってます。けど、そんなことまで説明してたら軽く2万文字超えるので流して下さい。
で、この韓非子とはなんぞや? と、クソブラウザでない限りググれば三秒で分かることですが、これは当時の中華にあった思想について、よくまとめられたもので、主に権力の扱い方・保持の仕方について書かれたもの。
簡単に言えば、自己啓発本の走りみたいなものですが、下手な自己啓発本を読むよりもずっと価値があるので、興味が湧いた方は一読してみるのもいいかと思います。経営者にはおすすめだお!
まぁ、骨々は全部読んだことはないんですが。
これは全部で五十五編あり、その中には愛臣篇やら姦劫弑臣篇など、エロ妄想を爆発させるのに十分な題目は多々あります。
はい、エロ妄想が捗りそうな題目しか読んでません。
それで八姦編とは、なんとまぁ「はちかん!」や「八姦――八つ全て犯されて~悶える君主編~」という薄い本がありそうな題目ですが、ここで姦しの被害に遭うと想定されているのは、君主です。
ここでいう姦は、君主が「いや! らめぇ!!」と犯されているわけでも「うちら陽気なかしまし娘~♪」の、喧しいという意味の姦しいでもなく、姦計・奸臣の姦。正道に背く、あくどしい、悪賢い、といった意味です。
で、八というのは、沢山という意味もありますが、ここは純粋に数としての八という意味。穴の数でもありません。
つまり韓非子の八姦編とは、勢力維持のために君主が守るべき法について書かれた書物にある、君主を誑かす八つの方法や害悪(有害図書的な意味)について、まとめられた編なのです。
この八姦編は第九編に当たり(八なのに九とかワロス)、その具体的な内容は、君主の妻などを寝取る同床、君主に仕える者に阿諛迎合させる在旁、君主に親しい血縁者を騙くらかす父兄、君主に金を使わせる楽しさを覚えこませる養殃、バラまき政策などの人気取りを行わせる民萌、弁舌で君主を騙す流行、内部の武装勢力を手なづけ好き勝手する威強、外国勢力を使った圧力もしくはクーデター起こす四方の、八つです。
……いくつかエロ系が混ざってたり内容が被ってるような気のせいとか、それ以前に威強や四方に至っては、もう姦とかいうレベルじゃないというか。
唯一、騙す側の努力というか、能力が問われる方法は流行ですが、これも「金で話術に長ける奴を雇おうぜ!」みたいなノリなのが色々残念な感じの内容です。
何より残念なのは、こんな手法で滅んだ王朝があるどころか、割と沢山あることですね。
案外、王朝が二千年以上続くことは、本来ならそこまで難しいことではないのかもしれません(上から目線)。
「在旁のとこに出てくる、阿諛迎合ってなんぞ?」という小学生のために書きますが、これはスネ夫がジャイアンにやることです。「悪いなのび太。うちのテレビ、三人用なんだ。それよりもジャイアン、今度、ラジコン貸してあげるよ。うちのパパとスネ吉兄さんがピァー」とかいう、あれです。
あらゆる説明を楽にしてくれる藤子・F・不二雄先生とその作品群に敬礼。
ここまでを読んで、「いやぁ、流石は中国。法について論じた本で、君主に悪い影響を与えるものや方法を紹介するなんて、実にやることが卑劣ですなぁ!」などという感想を抱いた貴方も少なからずおられるでしょう。が、それは間違いで、この本は後世、かの有名な諸葛亮(誰だ「コナ○にいるよね」とか言ったの)が、幼い劉禅の教育に献上したりもしたもの。
つまり「君主を嵌めて、言いなりにしてやろうずwww(鬼子たん的なノリ。個人的にはこにぽんたんを推す)」といった内容でなく、「こんな方法で誑かされた君主は過去に多いので、気を付けましょう」という本です。
そのために、多くの説話が盛り込まれています。
その内容は「アニメを見ていると性犯罪者になる」や「テレビを見たら馬鹿になる」に「ギターをやっていたら不良」「夏目漱石なんて女子供やホモが読むものだ」などといったものの、より論理的で整合性のある、現実に即したバージョンだと思って下さい。
ですが……「蜀漢は劉禅(蜀漢二代目皇帝)の代で滅んだんやから、この本、うんこの役にも立たんのちゃう? ちり紙にするしかないで!」と思う人もいると思います。
しかし、劉禅は周囲のブレーンが次々死んで、もはや詰みゲー状態だったというか。止めは物理で攻め込まれたのが原因なので、韓非子では、どうしようもなかったような。
韓非子は今で言う、政権維持のために書かれたもの。物理で攻め込まれたときの対処法は、孫子や五輪の書を頼って下さい。
これ、あくまで自己啓発本の走りなんで、最終的には精神論です。
ぶっちゃけ、孫子や五輪の書も、最初っから最後まで「心構えが大事。よく考えろよ」みないな内容ですが……。特に五輪の書は。
まぁ諸葛亮が死んだのは、劉禅が三十八(誕生日はギリギリ過ぎてたと思う)のときなので、劉禅は「とっつぁん坊やだからさのアホ垂れ」と言ってしまえば、それまでなんですが。
どんな道具も、使う人次第ってことなんですかねぇ。
そういや、ゲームかなんかの影響でファンが増えたせいか「劉禅無能論は間違い」みたいな怪文書が出回ったこともありましたなぁ。
……ちなみに、骨々が劉禅のことを、どう評価しているかは、まぁ察して下さい。大体、皆さんと同じ感想です。
さて、説明や与太話を色々ぶっこんで話が無駄に長くなりましたが、ここで唯々諾々の話に戻りましょう。
「嫌だ」とか「キモイ」などと言っても戻ります。それが主題ですから。「素敵! 抱いて!」と仰るなら考えます。言いませんか。そうですか。
唯々諾々。意味、ただただそのまま、相手の意見を受け入れること。大事なことなので二回目書きましたまる
で、肝心の唯々諾々が出てくるのは、韓非子の二つ目、在旁です。
八姦編・在旁の肝心な内容は個人で調べて欲しいところですが、そんなことをしている時間や金がないという方のために、簡単な概要を現代語風にまとめてみました。
それが次の文章です。
ンンwww芸人とか付き人とかいるじゃん?www政治に直接関わらない系でボスの近くにいる人wwwww
こういう人ってボスの言うこと「うぃうぃw」って簡単に即座に聞いちゃうんだよねwwフォカプヌゥwwwww
なんて言うの?w唯々諾々っていうか?ww先に気ぃ利かせちゃったり?www
もう以心伝心()とかいうレベル越えてるしwwwガチでツーカーwwwボスなんも言ってねぇのに超能力かよ怖ぇし大草原不可避wwwコポォwww芝刈り機どこぉお?wwwwぷりーずwwっうぇwwっうぇwww
てかそれが芸人とかの仕事だしね(藁)チョー受けるんですけど(真顔)
んでんでw悪いこと考える奴ってさwこういう人らに横領した金品とか渡しちゃったりw法律変えてあげるたりするわけよwww
それで付き人テンアゲか~ら~の~奸臣好き勝手し放題☆パ☆ラ☆ダ☆イ☆ス☆完☆成☆www腹痛すwwwポポンエスと正露丸持ってきてママンwwwww
馬鹿なボスなんかはwww何故かそれで気分良くなって流される的なwwwうはwwそれがし天才でござるwwwンゴwwwww
あっ、ヤバイ。笑いすぎて吐きそう。
※一部脚色や制作者の想像がありまする。
……お分かり頂けただろうか? では、先程の文章をもう一度。
あっ、ごめんなさい。調子乗り過ぎました! 怒らないで! そっ閉じしようとしないでぇ!! みてぇ! らんとみてぇえええ!!
ちなみに、本物の方には以心伝心なんて言葉は出てきてないので、その辺は誤解しないようにお願いします。脚色です。
少しでも興味が湧いたなら、前文のような奇文ではなく、ちゃんとしたものを読むことをおすすめします。
それで結論。
「あんまり周り人たち自分のゆーことを簡単にきいてくえうかあって、調子に乗ってしこー停止したらめっ! そんなことじゃ、足元すくわれちゃうおおおおお!」
冒頭に書いた逆の意味っていうのは、こういうことです。周囲の肯定や同意が、必ずしも自身のためになるとは限らないのです。
デール・カーネギーは「否定することは馬鹿でもできる」みたいなことを言っていますが、否定すること自体は否定していません。そもそも、否定することは馬鹿でもできるという言葉を否定の意味で用いる人は、自分のことを馬鹿と言ってるのと同じです。
というか、カーネギー氏はその著書「人を動かす」を読めば分かるように、「他人を上手く動かすのに否定は不要」という意味で「馬鹿でもできる」と言っただけで「現状の打開策が提示できなかったら問題点をガン無視してもいい」とは言っていません。
まぁ、否定しかできない人は、馬鹿だと思いますが……。そんな人も珍しいと思います。
必要なときは、唯々諾々と右から左に受け流すのではなく、きちんと否定する勇気を持ちましょう、と偉そうに言ってみるテストで、このあとがきの〆にします。