27 カルチャーショック
驚いていても先に進まないので、もっと広範囲にエリアを広げて検索。
どうやらこの辺で新品のSIMフリースマホを売っていそうなのは、ロードサイドにある大型電気店だけのようだ。
そして中古のSIMフリースマホを売っているのは、やはりロードサイド型の中古店だけ。
自動車社会だから、駅が人の流れの中心地になっていないようだ。
そもそも電車の本数も少ないし、俺の家のように公共交通に見放されている場所も多い。
だから大人は基本的に車で移動するし、必要な店は基本的にロードサイドに立地するわけか。
まさに、今いるスーパーがある場所のように。
そしてここから、行きに使った駅方向に500m歩いたところに、ロードサイド型の全国チェーンの電気店があった。
なら、そこに行って探して、いいのが無ければ、あと1.5km歩いて、やはりロードサイド型の中古店へ行こう。
コンビニは駅の近くにあるから大丈夫。
そう作戦を立てる。
「わかった。まずスマホ本体を売っていそうな店に行って、本体を買えたら、コンビニで通信用の部品を買う。店までまた500mほど歩くけれど、大丈夫か?」
「問題ない」
その言葉の後、伝達魔法が入る。
『必要なら回復魔法を使うけれど、大丈夫?』
気を遣われてしまった。
「まだ大丈夫、ありがとう」
何せ毎日、自転車を12km以上走らせているのだ。
東京にいた頃よりは、ずっと体力がある。
衣緖菜も、かなり体力があるようだけれど。
「それじゃ、行こうか」
先程来た方向へ、再び歩き始める。
◇◇◇
行った電気屋のスマホコーナーには、SIMフリースマホのコーナーが一応あった。
中国製のAndroid端末の、そこそこのものが2万円台前半であったので、白と黒の2台を購入。
そこから駅まで帰る途中のコンビニで、プリペイドSIMのeSIM、30日間10GB使用可能なタイプを2枚分購入。
今日だけで10万円以上使ったな、と思いつつ、時間を確認。
現在時刻は14時17分で、次の電車は16時31分。
ここから駅まで、どう歩いても10分とかからない。
この辺もカルチャーショックだったりする。
こちらへ引っ越してきてから、電車で移動することが無かった。
だから昼間なのに、これだけ電車が来ないなんて、感覚でわかっていなかったのだ。
なら、どうしようか。
何もない駅で1時間近く待つのは、退屈すぎる。
出来れば、この時間でスマホの設定をしたいけれど、Wi-Fiが飛んでいそうなところは……。
そういえば、電気屋からここへ来る途中、ネットカフェがあった気がする。
あそこなら間違いなくWi-Fiが飛んでいるし、ゆっくり座れる。
お金はかかるけれど、スマホの設定をするにはちょうどいい。
「電車があと1時間くらい来ないし、スマホの設定もしたい。だから、ちょっとお金がかかるけれど、ネットカフェへ行っていいか」
「うん、なら行こう」
今日はよく歩くよな、と思いつつ、10分弱歩いてネットカフェへ。
料金は後払いで、30分なら基本料金でいられるようだ。
ならダッシュで設定して、ついでにドリンクを飲むとしよう。
喫茶店っぽいテーブルに、向かい合わせで座る。
パソコンはないけれど、スマホ用のコンセントはあるし、Wi-Fiも飛んでいるし、環境としては悪くない。
「俺はこっちの設定をしているから、ドリンクを取ってきて。俺と衣緖菜の2人分」
「行ってくる」
それでは、設定しよう。
30分しかないので、大急ぎで箱を開けて、スマホを取り出して……。
◇◇◇
そこそこ面倒だったけれど、何とか失敗せずに設定を完了。
スマホが電波を拾うようになった。
その間に、衣緖菜が持ってきてくれたソフトクリームを一口食べ、ファミレスのドリンクバーよりは濃くて美味しいオレンジジュースを一口飲んで。
他のジュースがあっても、衣緖菜はオレンジ派なんだな、と思いつつ時計を見ると、25分を経過したところだった。
ダッシュで片付けて、受付へ。
何とか基本料金だけ、2人で500円弱で済んだ。
「あと何か、した方がいいことはある?」
「大丈夫。今日はありがとう」
「いや、俺も久々に美味しいと思える食事を食べたし、スマホも前から欲しかったからさ」
そんなことを話しながら、駅へと歩いて行く。
今からなら、電車もちょうどいい時間のはずだ。




