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歴代最強の冒険者パーティーから追放されたので、なぜか付いてきた魔王様とスローライフ送らせていただきます  作者: 白唯奏


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3/5

飛べないときはどうするのが最適ですか?

 「そう、だった……」

ここ、垂直の崖の上だった。

一歩二歩と後ろに下がると、コツンと背中に何かが当たった。振り返ると、背よりも遥かに高い鉄柵の扉があった。その先にはファルたちが入っていった魔王城が見える。

「ファルたちが来るの待ってて、一緒に地上に降ろしてもらおうかな…はは」

ここに来る時はヨビアの浮遊魔術で連れて行ってもらったからなぁ。追放されてももう関わっちゃいけないとかないよね。

「………」

もうあの楽しそうな声も聞けないのか。

風すら吹いていないのに、何処からか森の木々が擦れる音がする。

「みんななら勝つよね。だって歴代最強って言われてるし、それにみんなSランクの冒険者だし、誰一人欠けずに戻って来るよね……」

ファルは優しいけど強いし、ヨビアは性格はあんなんだけど思いやりもあるし、ミーリャは不器用だけどよく私を助けてくれたし。懐かしいなぁ。あの頃に戻りたいよ。

「お、お邪魔しまぁす」

ちょっとぐらい中で待っててもいいよね。うん。庭なら許されるかな。

「リ、リリアンでーす。庭を少しだけ貸してくださーい…」

分かってたけど、返事はなし。まあ返事されても困るけどね。

魔王城の庭は、ぐるっと一周魔王城を取り囲んでいるようだ。壁際には一定間隔ごと木が植わっていた。魔王城に向かっての一本道は黒色のレンガ道でそれ以外に飾り気がない。

「うーん、何してよう」

魔導袋を漁ってみる。

これはヨビアが三年前初めて空間魔術を取得した時に作ってくれた物だ。ここに入れたものは時間も止まり、食材も傷まない。ヨビアによると大きな家がまるまる入るらしい。そのうえ、重さはたったのパン一つ分!

『世界にたった一つしかないのよ。せいぜい大切にすることね』

この魔導袋をくれた時に言ってくれた言葉だ。

今はもう魔導袋は広く知れ渡っているが、これはヨビアが私のために作ってくれた世界に一つだけのものだ。

なんてもう終わった時のことを懐かしんでいると、盛大にお腹の音がなった。

「こんな時にでもお腹が空くなんて…まあ、腹が減っては戦ができぬって言うしご飯作ろーっと」

なんの戦かは知らないけどね。

「何作ろう。…そうえば昨日作ったカレーの残りが余ってるから、アレとかいいかも!」

魔道袋からカレーの入った鍋と『ルミナ炉』という魔道具を取り出す。

これは魔法を使えなくても、体内に宿している魔力―通称マナを自動的に感知して火をおこせるのだ。私を含めた魔法を使えない一般市民に重宝されている。

「カレーに火を付けて、次はコチラの登場!」

取り出したのは乾燥麺。東の国で手に入れた『うどん』という食べ物。

本来は乾燥してないんだけど、ミーリャがこの味を気に入って、ヨビアに持ち運べるように頼み込んで作ったものだった。結局は、魔導袋があることを思い出してヨビアを怒らせたっけ。

 「あとは入れるだけー♪楽々カレーうどんのかんせーい!」

茹でたうどんの上にカレーを流し込む。湯気と共に、スパイスのいい香りがする。

「俺の家で勝手に何してんの?」

カレーにスプーンを近づけたときだった。

またったく気配のなかった背後から声がしたのだった。それもファルたちの声ではなく、聞き覚えのない声。

恐る恐る振り返ると、黒いマントを羽織った男が不思議そうに立っていた。黄金の金髪に緑の瞳。耳たぶにはピアスが何個も刺さっていた。

「チャラ男!……あっ、すみません。初対面なのに」

………………ちょっと待って。今この人、魔王城のこと『俺の家』って言った?

「あのー、誰ですか?」

「え?俺はダルク」

「いや名前じゃなくて…あの、後ろの魔王城の、その」

「ああ、俺の家のこと?」

コクコクと頷くと、チャラ男―ダルクは笑いながら言った。

「あれ城なんかじゃなくて、家でしょ。狭すぎるし。てか、あれが魔王城って呼ばれてんの?人間って世間が狭いねー。じゃあ、あの家に住んでるのが魔王って呼ばれてたりする?」

ダルクの問いかけにもう一度頷くと、「人間は愚かだねー」と言った。

「君の話によると、俺は魔王のようだ。…俺の家に入ってくる人間殺しすぎたかな。まあいいか。ところで、人間。君はそんなところで鍋なんて広げてなにしてんの?アイツらみたいに『魔王め!よくも父を殺してくれたな!』って言って飛びかかってくる気?」

「ま、まさかっ。そんな勇気なんて私は持ってないです!ただ、魔王城に入っていった仲間を待ってるだけなんです!」

うぅ、どうしてこんな目に…。早く魔王どっか行ってくれないかな。私のスローライフの夢がどこかにいっちゃうよ。

「ふーん。なんで?」

「が、崖から降りられないので…」

ダルクは何かを考えているようで、私を見つめてきた。

てか、めっちゃイケメンだなー。うん。私の出会ってきた中のイケメンの上位を占めてる顔だね。

「降りてどうすんの?」

「え、あー、近くの村でスローライフを送ろうと…」

そう言うとダルクは吹き出した。

「なんか文句ですか?」

「いやー、人間って愉快だと思っただけ。よし、じゃあついて来い。俺が助けてあげよう。但し、2つの願いを聞き入れてもらおう」

「い、いえ、大丈夫です。この庭に居させてくれるなら」

「君が言った仲間がお前を裏切ったと言っても?お前はのほほんと待つのか?」

「え。それってどういう…」

ファルたちが私を裏切るなんてないよ。冗談にも程があるって。

「手を貸せ。馬鹿な人間に真実を見せてやろう」

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