朝から人外と優等生達に出会う
「よお、レミィ」
「おはようございまーす」
「あんたらね・・・・・・」
施設を出たら、人外達が出迎えていた。
「こんな朝っぱらからから付き纏わないでよ」
「いつ、どこから悪魔が出てくるか分からないだろ。お前一人に戦わせるのも心配だし」
「どういう意味?」
「死にそうだから」
「ナメてんじゃねーよ!」
殴りかかり、避けられる。
これも恒例になってきたかも・・・・・・。
「じゃ、あたし学校行くから」
二人の間を通り抜けて、学校に向かう。
後ろから視線を感じつつ、登校した。
「宵駆さん、おはようございます」
「ん。おはよ角山」
昇降口で角山に会った。
靴を履き替えながら挨拶を返す。
ちなみにあいつらには、学校の敷地内には入らないよう、厳しく言っておいた。効果あるといいけど。
「今日もピアス付けてるんですね。それにスカートも短い・・・・・・」
今日も注意された。ほんとウザい。
「変なとこに目ぇ付けんなよ」
「気になります」
「風紀委員でもないのに?」
「―――僕にとってあなたは特別ですから」
「ん?何か言った?小声すぎて聞き取れなかったんだけど」
「いえ何も。それじゃあまた、教室で」
「じゃ」
何か言われた気がしたんだけどな。
△ △ △
教室に入って席に着き、鞄を横に掛ける。
う〜ん。はあ、ダルッ。
背伸びして、改めて学校がダルいと感じた。
「早く帰りたいわ・・・・・・」
「朝から帰りたいって言うのは良くないよ?」
「何ですかぁ、委員長」
ただ漏れただけの言葉にツッコむなよ、わざわざ。
ツッコんできたのは、クラス委員長の冬籠 雪乃。
茶髪ストレートロングの清楚系女子。顔も可愛い。
大手証券会社の令嬢で、あたし達とは住む世界が違う。
でも、金持ちであることを鼻にかけない。常識もしっかり身についてる。
誰にでも優しく接し、物事に真面目に取り組む。
完全完璧な子。欠点なんて存在するのってくらい。
もちろん優等生!言うなら“天使系優等生“。
「えっと。何かあったのかなって。最近のレミィちゃん、疲れてるように見えて」
え!?気づいてたんだ・・・・・・。
確かに色々ありすぎたけどね最近。
だけど、信じてもらえそうもない話よね。
「いや、何ともない。学校が過重労働なだけ」
「学校で過重労働って言ってると、社会に出たら潰れちゃうよ?まあ、とにかく何も無いなら良かった。困ったことがあったら、相談してね」
バイバイと軽く手を振って、雪乃は席に戻った。
△ △ △
三時限目の数学。
先生が言ってること、さっぱり分からん。
「ふわぁ〜」
ねむぅ。
「レミィちゃん。まだ始まって10分だよ?」
涼波が苦笑いで話しかけてきた。
「だって、退屈なんだもん」
「分かんないなら、教えてあげよっか?」
「んー。間にあってま〜す」
「自分じゃ分からないんでしょ?」
「角山に教えてもらうからさ。あ、あと霞にも」
「角山くんに―――?」
気のせいか、涼波の眉がピクリと動いた気がした。
「いつもそんな感じ?」
「ん〜、まあね。テスト前とか長期休みはね」
そう。あたしは切羽詰まった時に、角山と霞を頼る。
角山には学校で、霞には施設で教えてもらってる。
涼波には施設で暮らしてることを言ってない。霞は違う学校の親友として話したことがある。
「仲、良いんだね」
いつもの元気な感じとは違って、呟くように言った。
あたしは眠くて変化に気づかなかったけど。
「あいつはただの腐れ縁。小1からの」
「そうなんだ」
「んじゃ、あたし寝るから。おやすみ〜」
おやすみ宣言して、あたしの意識は途切れた。
その後、気づいたら授業が終わってた。
△ △ △
昼休み。
「あ〜。お腹空いた」
やっと弁当食べられる〜。
今日はどんなおかずかなぁ?
期待を膨らませて、蓋を開けた。
そのとき―――
…ミィさん……レミィさん…
「は?」
頭の中で声が響いた。これは疫病神の声?
「疫病神?」
…来るのです。校舎裏に、来るのです…
なんかゼ○ダの伝説みたい。
せっかく昼ご飯にしようと思ってたのに。
邪魔されて腹が立った。
「分かった。行くわよ」
イラつきながらも弁当をしまって、校舎裏に向かった。
△ △ △
「来たけど!?」
「何でキレてんだよ」
校舎裏にはグレッ厶と疫病神がいた。
あたしが怒ってる理由が分からないみたい。
「今から昼ご飯だったんですけど!?」
「あー。そうか、悪かったな」
「すみません。レミィさんがそんなに食い意地張っているとは露とも知らず―――」
「食い意地張ってねぇーし!普通に空腹なだけだし!」
いちいちムカつかせてくれるねぇ!
「で。なんの用なの」
「まだ不機嫌・・・・・・」
「ちゃっと終わらせて、早くご飯食べたいの」
「分かった。悪魔だよ悪魔。校舎の中に悪魔の気配を感じたんだ」
「はあ?悪魔ぁ?タイミング考えてよぉ」
「いや。むしろ授業中とか早朝とか深夜に現れなかっただけ、良かったと思うが」
「ダルぅ」
「余裕ですねぇ、レミィさん。ドゥー厶くんに殺されかけ―――いや殺されたというのに」
「あれはぁ!相手が演技してたからで―――」
「それを想定していなかったのは?あなたでしょう」
「ぐっ。うぅ〜」
悔しいぃぃぃ・・・・・・!
自分の非が分かってるからこそ、悔しくなった。
あたしが唸るとグレッムが間に入った。
「ほらほら、反省会はまた今度。とっとと変身して倒してランチにするんだろ?」
「そうね。見ときなさいよ!今回は死なないで倒してやるんだから!」
今度こそ負けない!絶対に!
「頑張ってください。それなりに期待してますよ」
「むっ。ぐうぅぅ〜」
一言余計なんだよてめぇはぁぁぁ!
「あ、そうそう。それに関しては大丈夫だ。オレがサポートする」
「は?サポート?」
「え?グレッ厶くんが?」
疫病神も驚いてる。聞かされてなかったのかな。
「実は回復魔法も練習してたんだ。まだ高度なやつは使えないけど、ある程度は治せるぜ」
「マジ!?やったぁ!」
「へー。すごいですねー。グレッムくーん」
なんか疫病神の今の言葉、すごい棒読みだし、顔もつまらなそうな感じ。
「文句あるかよ」
「レミィさんが死ぬの、ちょっぴり楽しみにしてたんですけどね―――」
心底がっかりしたみたいにため息つきやがった。
「へっへーん!ざまぁ見ろ!それじゃ【エクスポーズ】」
光に包まれ、一瞬で変身した。
「で。その悪魔はどこにいんの?」
「この校舎の3階の・・・・・・左端の教室かな」
「分かりづらいなぁ。名前で言ってよ」
「知らねぇよ。そこが何の教室だとか」
「えー。3階の左端でしょ?多分、資材室って名前の教室だったような」
「そうか」
グレッ厶は黙り込んで顎に手を当てる仕草をした。
「そこには何がある?」
「え〜。昔使われた出店の看板とか?」
「把握してないのかよ」
「だって使ったことないもん。あそこはただの物置」
「物置?気をつけろよ。それはつまり、武器になり得る素材がごろごろ転がってるってことだからな」
しつこいなぁ。
「分かってるわよ。油断大敵ね。そんじゃ行ってくるからー」
あたしは非常階段を駆け上がり、資材室へと向かって行った。




