ネメネメ戦、決着
あたしは力を一気に解放して、ネメネメに突っ込んだ。
前にいた疫病神があたしに気づいて、左に避ける。
あたしが見えてなかったネメネメは驚いた顔をしてた。
そのまま突っ込んで爪を立て、腹に突き刺す。
「ぐ。ぐぅぅぅ・・・・・・!」
ネメネメは苦しそうな声を上げる。
すると、腹を突きだして反動であたしを飛ばした。
少し離れたところに着地する。
奴は口から途切れた舌をちょろっと見せた。
また伸ばしてくる―――!?
警戒したけど、それ以上伸ばしてこなかった。
「安心してくださいレミィさん。ネメネメくんの舌、切り取っておきましたから」
疫病神が笑顔で説明した。サイコだなー。
「ぐ、ふふ。疫病神の言う通りだが、これで終わるネメネメではないのだ」
カエル足で跳んできた。あたしは瞬時に左に躱す。
避けられてネメネメは紙の山にダイブ、大量の紙が舞った。
また跳んできた。上に躱して背後に着地。
今度は棚に激突して、痛そうに顔を抑えてる。
懲りずに跳んでくる。今度は躱しつつ爪で顔を裂く。
「ぎゃあ!」
奴は手で顔を覆いながら、壁に激突。
何回も見てるから突っ込む前兆が分かってきた。
突っ込む時に姿勢を低めて、力を込めてるんだ。
また姿勢を低めて力を込め始めた。
来る―――
そう感じて、あたしはすぐに反撃できるよう構える・・・・・・ん?
あれ。ていうか―――
「突っ込んでくるしか能がないの?」
「あ・・・・・・」
さっきまで闘志に溢れていた表情が一変、今は動揺しまくってる。口元はわなわな震えてるし、目はキョドってる。
姿勢を低めるのもやめてる。なんなら後ろに少し下がったようにも見えた。
体全体から力が抜けたように見えるし、闘志も消え失せたのかも。
「そそそそ、そんな訳では決してない!別に唯一の武器の舌が切られたから、魔法が使えないから、突っ込むしかなくなったっていう訳じゃないし?」
全部自分で話したよ、こいつ。本当にバカだ。
「一発屋、だったのね」
「ちち、違うよおおお!!」
うわあああとボロボロ涙を流しだした。
情緒不安定すぎない―――?
「そんな引いた顔しないでやってくれよ。無駄に高いプライドへし折られたんだから、子供みたいに泣き喚きたくなったんだろ」
横からグレッ厶が諭してきた。
それを聞いたネメネメは一瞬動きを止めた。
だけど、すぐにまた泣き始めちゃった。
さっきよりも大きな声を出して、悔しそうに腕を床に打ちつけて。
なんか、さっきよりも惨めな姿になっている気がする。
「くそぅ、くそぅ・・・・・・」時折そんなことを唸るように言っている。
グレッ厶がネメネメの顔に目がけて発砲した。
・・・・・・容赦ないなぁ。
「ぎゅふぅ」
弾丸を受けたネメネメは、変な声を出して倒れた。
虚ろな目で空を見つめてる。
「そうだよ。俺は一発屋だよ。他の奴は色々持ってるけど、俺の武器は舌。それだけだったんだよ」
ため息をついて、しゃくり上げた。
「うぅ〜・・・・・・うええ―――」
あ。また泣いた。コロコロ表情変わるじゃん。
悪魔って結構、情緒不安定なのかな。
あるいは―――。
「ねぇ。あれ、演技だと思う?」
あたしはグレッ厶に小声で聞いた。
その可能性は十分あり得る。
今のうちに攻撃したいとは思ってるんだけど。
ドゥー厶の件でちょっとトラウマになってるんだよね。相手が隙だらけの時に攻撃するの。
「いや、あれはマジだな。マジ泣き」
「ほんとに?じゃあ大チャンスかな、今」
「だな。卑怯かもしれないが、殺っちまおうぜ」
グレッ厶にそそのかされ、あたしは容赦なくネメネメの体を爪で縦に裂いた。
爪痕から、群青色?の液体が溢れ出る。
奴はピクリとも動かなくなった。
「殺った―――?」
「みたいだな。魔力を全く感じなくなった」
終わったんだ―――。
「終わった、のよね。あっさりと―――」
なんかスッキリしない終わり方だなー。
グレッ厶が首を傾げながら、亡骸に近づいた。
「どうかした?もう死んでるんでしょ」
「いや、何か変な感じがする―――なっ!」
いきなり、グレッ厶があたしの手を引いて、ドアに向かった。
「グレッ厶!?」
「逃げろ!このままじゃ巻き込まれる!」
「はあ!?」
あたしとグレッ厶が廊下に出て曲がった、その瞬間。
ネメネメの亡骸が轟音をたてながら、爆ぜた。
「うわっ!!」
爆風で二人とも廊下の奥まで飛ばされた。
「いった・・・・・・自爆!?」
「ぐっ―――死んだ時に爆発するよう、あらかじめ魔法を身体に刻んでいたのか」
まだ煙が立っている資材室を、あたし達は呆然と見つめていた。
「資材室、燃えてないかな」
口からなぜか、そんな言葉が出てきた。
別にそんなこと考えてなかったのに。
「一応見てみるか」
あたし達は一歩一歩ゆっくり、確実に進んで資材室の前に来た。
そ〜っと中を覗くと、真っ黒焦げになっているのが分かった。
どこもかしこも真っ黒。看板も棚も何もかも、焼けて炭になっているだけだった。
「お怪我はありませんか、お二人とも」
下の階段から疫病神が声をかけてきた。
あれ。こいつ、さっきいなかったような。
「あんた、どこ行ってたの。てか、いつから」
「レミィさんが回復してからです」
「ネメネメが自爆を仕掛けていたこと、知ってたのか?」
「まあ。最初見た時に、何か隠していることには気づきましたが」
「はあ!?だったら言ってよ!危うく巻き込まれるところだったわよ!」
「すみませんねぇ」
手を合わせて謝る疫病神。心籠もってないでしょ。
イラついてると変身が解けた。
「はあ。とにかく皆無事でよかったな」
「確かに怪我はないけどさ―――」
ほんっと頭にくるわ、疫病神の野郎。
「命があるだけいいじゃないですか。何が不満なんです」
「誰のせいでその命を失いそうになったと思ってんだよ!」
死なせそうになったこと自覚してねぇのかよ!
「でも今生きてますよね」
「何とかね!グレッ厶がいなかったら、あたし確実に死んでたからな!」
「その方が私としては良かったのですが」
「キモいんだよ、黙れ変態!」
「了解です。クックック」
言いたいことを言えて、ある程度落ち着いた。
すると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
どうやら小生は状況描写が苦手なようです。
読み返したら、ちょっと変だったのですぐ改稿しました。ごめんなさい。




