守りたいもののために
大切な人を失ったレイスがもう大切な人を失わないように騎士を目指していくストーリー。『守りたいもののために』はレイスが騎士になりたい理由やなるために旅立つ一番最初の様子を書いています。
『守りたいもののために』
神聖紀 六七八年 突然奴らは空高くから何かわからない怪しい乗り物に乗って現れた。その数は1億を明らかに超えていた。グレイトスと名乗る謎の男が降伏せよと一番大きな乗り物から降りて言ったが、指示を聞くはずもなく全世界の王アルべロスは得意だった自分の最大限の魔法を放った。その時から、奴らとの戦争が始まった。戦争はおされる一方で民を守るために世界防衛騎士というものが作られた。そのおかげで、戦いは振り出しに戻り、謎の男グレイトスは1000年後にまたくると言い残し5万の兵を残し去っていった。
*
僕は、聖騎士防衛団東高校に在籍しているレイス・トクレス、1年生。幼い頃、両親をグレイトスの部下だと名乗る兵に殺された。だから、大切な人を失わないようにすむように、僕は防衛騎士に入るためにこの高校に入った。今日は、高校の入学式だ。
高校に着くと後ろから、話しかけられた。振り返ってみると、隣の家に住んでいるマリイ・ラスオだ、幼稚園のころからの知り合いだ。今の家に住めているのもマリイのお母さんが面倒を見てくれているからだ。
「久しぶりだね、マリイ。君が防衛騎士になりたかったなんて、意外だったな。」
「あなたこそ、両親を殺された相手に会う可能性のある防衛騎士になりたかったなんて意外だったわよ」
「僕はもう大切な人を失わないようにするために防衛騎士になるんだ」
(家族を失ってからずっと心身に寄り添ってくれていたのがマリイだ。だから、僕のたった1人の大切なマリイだけは失うわけにはいかない)
「そろそろ時間よ。いきましょう。」
入学式は1時間程度で終わった。
「最後に世界防衛騎士のオルカ騎士長のお話です。」と事務の先生が言った。
「皆さん、ご入学おめでとう。そして今日から君たちも世界を守る防衛騎士の一員だ。それではまた、任務で会おう勇気のある騎士たちよ。」
あの人がグレイトスの幹部の1人である、カミットをたおした英雄であり、この学校の校長である。
次の日、学校に行ってみると靴箱にクラスが書かれた紙を咥えているトカゲのような生き物が待っていた。
「やっと来たか。俺は今日からお前の相棒だ。飯は3食ちゃんとつけろよ。」
と上から目線で言ってきた。
「は?なんで君が僕の相棒なんだ?」
「さてはお前、しおりを読んでないな。」
(確かに僕は、めんどくさくて読んでいないがそんな話聞いてない。)
「俺はお前と任務に行き、共に敵を倒す仲間だぞ。どんなに強い騎士でも大抵一匹は持っている。とにかくはやく俺様にぴったりな名前をつけろ。俺様は、かっこいい名前を所望している。」
(なるほど、今まで騎士が戦っている時にいた奇妙な動物はこいつみたいなやつだったんだな。)
「名前をつければいいんだな。うーん・・・『ブラスト』でどうだ?」
そのトカゲのような生き物は少し考えたあと、
「まあ、悪くはないな。それより、そろそろクラスに行かないと時間がないんじゃないか?」
「まだ聞きたいことはあるが、とにかくまずはクラスに行こう。」
1年生は全部A組、B組、C組の3クラスある。噂によると、実力が高いもの達のSクラスというものもあるらしい。僕は、Bクラスだ。いつか、Sクラスに行ってみせる。
クラスに着くと、マリイの姿があった。
「おはよう。遅かったね、君にしたら珍しいね。」
僕の何倍も元気そうだ。マリイの肩を見てみると、狼を小さくしたような犬ではないものが乗っていた。この動物達は、ブラストと同じように体の大きさを変化させることができるようだ。
「おはよう。マリイの相棒は、狼なんだね。名前はなんていうの?」
ただ疑問を言っただけなのに、マリイはもちろんクラスの全員が驚いていた。
「もしかして聞いてはいけなかったことだったりする?」
「聞いていけないという前にもしかしてレイス君、その動物に名前をつけたの?」
「うん。つけたけど、僕の相棒はブラストって言うんだ。」
クラスの中がざわめき始めた。名前をつけるなんてありえない。死ぬきか。などと聞こえて来たので、名前をつけるとは死ぬ可能性があると言うことが雰囲気で分かった。ちょうどその時、先生らしき人物が入ってきた。
「どうしたみんな?朝から騒がしいぞ、楽しみなのもわかるがもう少し静かにな。」
と先生が呑気に言ってる。
「先生、大変なんです。レイス君が動物に名前をつけました。」
と中学校の時同じクラスだったカラマがいった。
「は?そんな冗談通じないぞ。」
「本当だぞ、この俺様にはブラストという名前がある。」
(それどころじゃないみたいだけど、ブラストが名前を気に入ってくれてよかった。)
「レイス・トクレスちょっとこい、みんなしばらく帰ってこないだろうが静かに待っていてくれ。」
そうして、僕は職員室なようなところに連れて行かれた。
「なんていうことをしたんだ。詳しくはまだ説明できないが、そいつらは普通の動物じゃないんだぞ。その動物は、もう一回死んでいるんだ。だから、大抵そいつらに名前をつけると名前をつけたものまで死界に連れていかれることが多い。」
と先生が必死に説明しているとオルカ校長がきた。
「何事だ?」
「実はですね、この生徒が靴箱に配布した死滅動物に名前をつけたようでして。」
「本当か。名前をつけても生きているやつなんて俺以外にもいたんだな。すごいな。君の名前はなんていう?」
「僕の名前は、レイス・トクレスです。こいつは、相棒のブラストです。」
「そうか、よろしくな2人とも。ちなみに相談なんだが俺のところにこないか。確か君は、ヒョウの息子だろ。ヒョウとは昔、クラスメイトでそして俺の一番の親友だったんだ。」
「ダメですよ校長。生徒にひいきしては。しかも連れて行くってどこにですか?」
と焦った様子で先生が喚いていた。
「もちろん、連れて行くのは俺の部隊にだ。訓練や勉強などもそこでできる。で、どうだ俺と一緒に来ないか。」
「行きます。僕、強くなってもう二度と大切な人を失いたくないです。だから、行かせてください。」
必死になって騎士長にいうと、
「そう言ってくれると思っていたよ。明日までに行く準備をしてこい。君の守りたいものにもあってくるといい。では、明日の朝、5時に学校の前に来い。それと君のブラストを貸してくれまた明日返す。」
「分かった。また明日な、ブラスト」
騎士長はその後、先生と少し喋ってどこかに行ってしまった。
「本当に行くのか?やめるなら今だぞ。君の行くところには、クラスメイトのような同じ年齢のものも1人もいないんだぞ。」
と心配そうに言った。
「大丈夫です。僕にはブラストがいますから。それに、僕にはやりたいことがありますから。」
その後、僕は家に帰り、行く準備をした。準備といっても持って行くものも少なく、残った時間は街を散歩することにした。夕方になり、そろそろ帰ろうと思っていたころ、マリイと出会った。
「レイス君なんであの後帰ってこなかったの?」
「学校を辞めたからだよ。」
「なんで?あなたには、守りたい人がいるんでしょ。なのに、なんで騎士になることをやめたの?」
「別に騎士になることをやめたわけではない。別の機関で騎士になるために頑張って行くって決めただけだから。しばらくの間、マリイとは会えなくなるけどまたいつか任務で会おう。」
そういって僕は、まだマリイが何か僕に言っているようにも思えたが、これ以上マリイと話していたら行くと決めたことが揺らいでしまいそうだったからもう家に帰ることにした。
「なんで、なんで、私はレイス君がその学校に行って騎士になりたいって言ってたから、その学校に入ったのになんで任務で会おうなのよ。」
そう呟いてしばらくその場所に立ち尽くした。
次の日、出発しようとすると家の前にマリイがいた。
「オルカ騎士長のところで、学ぶんだね。私はここでSクラスになってレイス君と一緒に任務に行けるように頑張るから。いってらっしゃい」
「なんで、マリイがそのことを知っているんだ?」
「気になって、先生に聞いてみたら答えてくれたのよ。」
「そうか、じゃあまた任務で。いってきます」
これからどんなにつらい訓練でも耐え抜いて、任務で必ずマリイと会うんだ。
学校の前についてみると騎士長が防衛騎士のマークが大きく書かれてある黒い大きな車に乗って待っていた。
「時間ぴったりだな。では、後部座席に乗ってくれ。出発する。」
ここから僕の騎士になるための道のりが始まっていく。
次のエピソードも作る予定なので、続きがきになる方は次のエピソードも読んでみてくれると嬉しいです。