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第7話 剣神様と大賢者様のお孫様だと……

「クリスティー公爵!これは一体何事ですかな?

 突然、我が街に、騎士を連れ、魔道飛行艇でやって来て、

 越権ではありませんかな?」

 100人近くの騎士を引き連れ、

 サンチェス侯爵がやってき来た。

「私が、第ニ王子から預かる騎士達を無惨に……」

 口元はニヤついている。

 だが、よく見れば額にはじっとりと冷や汗。


「……白々しいな、サンチェス」

 クリスティー公爵の声音は低い。

「貴様。我が娘を(さら)おうとしていたと言うではないか?」

「何の事ですかな?言いがかりも(はなは)だしい……

 200人もの騎士で、50人の騎士を襲うとは……」

「え?違うよ?」

 場違いなほど軽い声が割り込む。

「この騎士達をやったのは僕だよ?」

 全員の視線が、一斉に少年へ向いた。


「何だ、このガキは?」

 サンチェスの眉が吊り上がる。

「ふざけた事を抜かすと、ただでは済まさんぞ!」


「もう一度言ってみろ、サンチェス」

 公爵の目が細まる。

「我が娘の恩人を、ただでは済まさんと?

 ――どうするつもりだ?」


「こ……このガキがふざけた事を言うから……」

「このガキ?」

 公爵は一歩踏み出す。


「サウザー剣神様と、

 メリーアン大賢者様のお孫さんが何だって?」

 空気が凍った。

「……は?」

「この少年に手出ししたら、お前はおろか、

 この国が滅ぶやもしれんぞ?」

「け、剣神様と大賢者様のお孫様だと……」

 サンチェスの喉が鳴る。

「し、しかし、このガ……少年が騎士を殺したと言うなら、

 ただで済ますわけには……」


「まだそんな事を?ちょっと待ってね?」

 馬車へと歩き、布に包まれた何かを担いで戻ってくる。

 くるり。

 布がほどける。 

 そこには――四肢を失った男。


「ねえ、おじさん。起きて?」

「ふわ〜〜よく寝た」

「おじさん。おじさんが役に立つ時が来たよ。

 おじさんが何をしたか、このハゲの人に言ってみてよ?」

「ふわっ?俺か〜?俺はぁ〜

 そこに居るサンチェス侯爵閣下に命じられ〜

 クリスティー公爵の所の娘を〜攫いに行ったんだよ。

 クソ強いガキ……そう……お前だよ?お前……」

 レオナルドを指差し……

「お前にコテンパンに返り討ちにあったがな〜ファハハハッ……」

「こう言ってますよ?」

「知らん知らん知らん!そんなやつも、そんな命令も!」

 サンチェスの声が裏返る。


「閣下!私、あの男、見覚えがあります。

 合同訓練の折、会っております。

 確かサンチェス侯爵家所属騎士団の副団長……

 ええ〜と……アンドレとか言ったかな?

 ……だと思います」

「だから、私は知らんと……」

「この期に及んで、見苦しい。

 そんなもの、王都に戻り名簿を確認すれば、

 一目瞭然ではないか?」

 公爵が冷たく告げる。


「それと」

 レオナルドがにこり。

「今また攫おうとした実行犯もいるよ?」

「あはあは……実行犯で〜すぅ〜」

「この者達は、何にかおかしくなってないか?

 どうしたんだ?これもレオナルド君が?」

「少しの間、正直者になって貰ってるだけです」

「この2人、大事な証人だ!ひっ捕えろ!」

「……こうなっては仕方ない」

 サンチェスが顔を歪めた。

「おいお前達、こやつらを生きて帰すな!」

「「「「……………………」」」」

「何をしている貴様ら?!」

 誰も動かない。

「……この戦力差……どうしろと仰るのです?

 ……我々は、もう()んでいます……」

「ええ〜い!ふざけるな〜!」


「おいそこの、サンチェスの騎士達、

 お前達に争う意思がないのであれば、

 お前達自らサンチェスを捕らえよ!」

「「「「はっ!」」」」

 一斉に、サンチェスへと剣が向いた。


 ーーーーーーーー


「さて、レオナルド君、

 君には何とお礼を言ったら良いか……」

「前も言いましたが、ティアナは僕の友達です。

 困っていれば助けるのは当たり前、礼にはおよびません」

「そうは言うがな……まあ色々聞きたい事は山積みだ、

 ゆっくり話を聞かせてくれ」

「貴方?まずはお食事よ?」

 公爵夫人が駆け寄る。

「レオナルド君お腹ペコペコなんじゃない?」

「はいっ!もうペコペコです!」

「それは良いが……まずはレオナルド君を離してやれ……

 いつまで抱き締めてるつもりだ?」

 公爵が呆れ顔。

「そうよ!離してあげて下さいお母様」

「……だって……あの子が帰ってきたみたいで……」

「あうのこぉ?」

「ほら〜胸に埋まって、ちゃんとしゃべれてないじゃない?も〜」

「あらごめんなさい」

 ようやく解放。


「ふ〜苦しかった……あの子って?」

「うむ……それは……おいおい……先ずは……」

 公爵は咳払い。

「サウザー剣聖様と、メリーアン大賢者様が、

 レオナルド君の事を、孫だと言っているのだが……

 歳……と言うか……そもそも年代が合わない……

 それに確か……お子さんも居なかった筈だが?

 それにしてもお二人がご健在だったとは……

 おいくつになられるのだ?」

「100歳ちょっとだって……大嘘だよね?

 じいちゃんも、ばあちゃんも歴史の本に載ってるもんね?

 200年前の魔族との戦いで大活躍したって。

 僕にとって100歳も200歳も、

 すごい歳だって事で、あまり変わらないのに……

 歳誤魔化すなんて面白いでしょ?

 うちのじいちゃんばあちゃんは?」

 場の空気が和らぐ。

「確かに……君から見たら、

 100歳も200歳も大した違いじゃないかもな?」

「でしょ? で、孫かって言うと、

 血は繋がってないけど、確かに孫かな?

 その辺の孫よりよっぽど可愛がられ、良くして貰ってるよ?

 厳しい時もあるけどね……

 サンドラの役場に行けば分かるけど、

 僕、2人の養子になってるから、正確には息子になるのかな?」

「そうか……で、君の本当のご両親の事を聞いても良いか?」

「母さんが、僕の事を頼める位の仲なんだから、

 じいちゃんもばあちゃんも色々知ってる筈なんだけど、

 教えてくれなかった……

 父さんは、僕が産まれる前に亡くなっていて、

 母さんは何故か、人目を避ける様に暮らしていたよ?

 5歳の時にその母さんが、病で亡くなり……」

 レオナルドは少しだけ視線を落とした。

「何度聞いても、〝いつか分かる〟って。

 だから僕、自分が何者か知らない」

 公爵はしばし沈黙する。


「……手紙には書いてあった」

「ほんと?」

「だが、今は話すなと書いてある」

「そっか」

 レオナルドはあっさり頷いた。


「じゃあ、待つよ」

 その笑顔。

 無邪気で――

 どこか、底知れない。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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