第4話 どこから見ても、すごく可愛い女の子よ?
「もう直ぐ宿場街の検問ね。
馬車の御者が、子供っていうのは、ちょっと怪しいわよね?
どうしようかしら」
「お嬢様、ここは私が馬車を引きましょう……」
「そう言えば貴方、確か馬車を操れたんだったわね……
もう気分は大丈夫なの?ラニー」
「はい、大分良くなりました。
少しの間なら大丈夫だと思います」
「じゃあ、お願いして良いかしら?
ああそうだ、ねえ、レオ?レオはこれに着替えて。
この貴族馬車の同乗者がその格好って、凄く変よ?
戦って顔も汚れてるから、綺麗にしてね」
「目がちゃんと見える様に、髪も少し上げて……
あら?すごく可愛い顔してるじゃない?これからは髪上げなさいよ。
それにレオ、くすっ……その服、すごく似合ってるわよ?」
「そお?でもティアナ……これって女の子が着るものじゃない?
なんだか足がスースーするよ?」
「それ私のドレスよ?女の子の服しか無いんだから、仕方ないでしょ?
検問抜ける迄なんだから、それで良いのよ。
貴方、ちゃんとしたら……どこから見ても、すごく可愛い女の子よ?」
「……女の子じゃないし……てか、やっぱり、これ女の子用なんだね?
ま、良いけど……足がスースーするし、なんか落ち着かない……」
「我慢して。検問抜ける迄って言ったけど、
やっぱり、そのまま宿屋まで行った方が良いかもね?」
「了解……ねえティアナ、何か楽しんでない?」
「ないない……ふふふっ……後、ドレスに剣は変だから……
あれ?あの大きな蒼く光る剣はどうしたの?」
「ああ、魔剣クラウ・ソラス?異空間にしまったよ?」
「魔剣?異空間?凄い単語が次から次へと……
でもクラウ・ソラスって神話に出てくる聖剣じゃないの?
いつから魔剣になっちゃったの?」
「知らない……この剣が刺さっていた台座に、古代文字で、
〝魔剣クラウ・ソラス使いし者に災い有り〟って書いてあった。
じいちゃんも、首を傾げていたな……」
「本当に魔剣だとしたら、そんな危険な剣を使って大丈夫なの?
魔剣って、身体を乗っ取られるとか言うじゃない……」
「うん大丈夫。最初抜いた時には、
僕の精神を支配しようとしてきたんだけど、
最大魔力を流したら、僕の言う事を聞くようになったんだ。
最初はどす黒い色の凶々しい色してたけど、蒼く綺麗に光るようになったんだよ?」
「抜いた?刺さってたの?どこに?」
「この魔剣は、サウザン魔宮の聖堂の台座に刺さってたんだよ?
近くの村の言い伝えでは、誰にも抜けない伝説の魔剣って事になってたんだけど……」
「サウザン魔宮って、それも伝説の魔宮よね?実在するの?」
「うん、実在するよ。じいちゃんと一緒に、修行を兼ねて攻略に行ったんだ」
「そうなんだ……誰にも抜けない剣なんでしょ?抜けたの?……驚き……」
「最初は大き過ぎて使い辛かったけど、僕も少し大きくなったし、
今はもう慣れたから大切な相棒だよ」
「今でも未だ大きいんじゃない?最初って何時?」
「2年前、10歳の時かな?」
「10歳の時に、伝説の魔宮を攻略したの?……驚き……」
「何でいちいち驚くのさ?……驚き……」
「そりゃ、驚くわよ?それと……レオは異空間が使えるの?」
「うん使えるよ。さっきから使ってるじゃない?気付かなかった?」
「あれっ?って思ってた。貴方の使える異空間は、どれ位の容積なの?」
「容積は……分からないや。
前に日照りで村の湖が干上がった時、他所から異空間に入れて水を補給できたから、
そこそこ大きいんじゃない?」
「……それは、そこそことは言わないわよ?聞いた事ない容積だわ……」
「ああ……ばあちゃんも、そんな事言ってたかも?」
街道を進むと宿場町の、門が見えてきた。
「その紋章は……クリスティー公爵家……」
「途中、戝に襲われました。護衛の騎士が身を挺して逃がしてくれて……」
「そ、そうですか?それは大変でしたね……分かりました。お通り下さい」
「何で無事なんだ?って顔してたね?門番の人達も、戝と同じ紋章してたよ?
何だか敵だらけだね?……この宿だって安心できないよ?」
「え?本当?ここはサンチェス侯爵の領内……まさかあの方が?」
「何でまさか?十分あり得ると思うけど?
クリスティー公爵家は、第一王子派の筆頭貴族、
サンチェス侯爵家は、第二王子派の筆頭貴族。
表立っては、争いも無さそうだけど、水面下では……でしょ?」
「レオン、貴方田舎に篭ってたんでしょ?学校だって……」
「うん、もちろん学校も行ってないよ?学校無いもん……」
「じゃあどうして貴族の事、そんなに詳しいの?私の家の事まで……」
「勉強するのも必要だって、ばあちゃんが色々教えてくれた。
読み書きも計算も……世界の事、歴史、色々ね」
「魔法を貴方に教え、他に知識も……凄い方ね?貴方のお婆様って。一体……」
「長い事生きてるから、生き字引なだけだって言ってた」
「レオの魔法を見たら、とてもそうは思えないわよ?
それに、読み書き、世界の事……教養が無ければ教えることなんて出来ないわよ?」
「し〜……ちょっと待って。部屋の外で何者かが話してる」
「え?私には何も聞こえないけど?」
「し〜……」
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