第39話 世界樹の精霊
「レオナルドさん!ストップ!ストップです!
何か感じます。何かにに近づいてます!」
「えっ?もう?早くね?未だ1時間も先に進めてないのに……」
「……レオ、この1時間で100kmは進んだぞ?
時速100kmの船なんて聞いた事ない……」
「よっと!ん?あ、本当だ、なんか見えてきた……で、でけ〜〜!
何だ、あの見えてきた陸地の先……あの木、高さ1000m位あるぞ!
上は雲にかかってる」
「凄いです。あれが世界樹ですね?」
「アリエルの、言った通りだったな。それにしてもこの大陸?島?は、
花が咲き乱れ、果樹が立ち並び……さすが世界樹の、お膝元って感じか?」
「ですが……それにしては……果樹に実があまりなってないような?」
「本当だ、花も、茎の数の割には、花の数は少ないわよ?」
「言われてみればそうか?先ずはとりあえず、世界樹の所まで行ってみよ?」
「ほんとに、でかいな〜!幹が直径150m位あるぞ。でも元気そうじゃね?」
「ううん……葉が少し黄色味がかってるわよ?」
「あ、確かに……」
「レオナルドさん、この世界樹、魔力の流れが、あの辺で不規則になってますよ?」
30m程上を指さして、アリエルが言う。
「登ってみっか?」
「動くな!お前達……なに奴?どうやってここに来た?」
「あっ、エルフさんだ!うわ〜めちゃくちゃ綺麗なお姉さん……
て……いててて……耳引っ張んなティアナ……」
「この状況で、なにデレ〜としてるのよ?」
「いや……だって……」
「男の人の方が多いじゃない。それに男の人もみんな綺麗な顔よ?」
「あっ、お姉さんしか、見えてなかった……」
「お前……なんか調子狂うな……悪いやつには見えんが……」
「俺はレオナルド・ダ・オースティン。
オースティン帝国の、オースティン村で生まれたレオナルド。
間も無く立国する。初代オースティン連合国の王だ」
「オースティン帝国が、連合国に?」
「そう。そしてこの子が、魔族の王マリエル・アイルーア。
この子が、世界樹の元気がないと心配してね」
「世界樹の存在すら、明らかになってない筈なのに、
この子には、そんな事が、分かったのか?」
「分かったみたいだね。で、元気がないってのは本当みたいだけど?」
「天使……いや……堕天使ベリアル……奴が世界樹の幹に……」
「世界樹の幹?」
「巨大な杭のような物を投げ、それが深く刺さってしまったんだ。
そこに世界中の、悪意の瘴気が転送され……
世界樹は、長い事苦しんでいる……これまではなんとか耐えてきたんだが……」
「なんで抜かないの?」
「抜けないんだ……幹の中を透視できる者によると、刺さった瞬間、
中で棘の様な突起物が出てきた様で、びくともしない……
無理に抜こうとすれば……幹に大きなダメージが……」
「でも、このままじゃ、枯れちゃうんじゃない?」
「…………」
「俺が取るよ?」
「ま、待て!無理に抜くのは最終手段で……」
「はい、取れたよ?」
「はあ?なんだって?今なんと?」
「取ったよ?見て」
「な、無くなっている……」
「あ、貴方様は……神なのですか?」
「人間」
「いやいやいや……神ですよね?」
「ひと」
「ひとが、どうやって?」
「俺の異空間に転送した」
「マジックボックス?」
「ま、似た様なもん」
「……そんな方法が……我々もいろんな魔法を試したのですが、
ベリアルが、何か仕掛けをしたのか、どんな魔法も効かなくて……
物理的に、抜事ばかりに気がいって……
貴方の魔法は効いた?何故でしょう?」
「さあ?何故でしょう?」
「神級魔法が使える、レオナルドさんの魔法は、
神の魔力に近い性質だからだと思います。
レオナルドさんの魔力の色は、普通の人とは少し違います」
「マリエルは、魔力が見えるんだっけ?
えっ……と、そう言う事だそうです」
「何はともあれ、お礼を……本当にありがとうございました。
これで、100年もすれば、元の元気な世界樹に戻るでしょう」
「100年?そんなに掛かるの?エクストラヒールかなんかで直せば?」
「世界樹にヒールは効きません」
「そうなの?」
「はい、人や動物では、ありませんからね……」
「そんじゃ、これでどう?〝エクストラリカバリ〜!〟」
「な……治った……葉も見る見る緑に……信じられん……
長年悩んで苦労していたものが……なんともあっさり……」
「長年?あっ……なんかゴメン……」
「いえいえ、そう言う意味では……」
「馬車と馬を同時に直した時と同じね?」
「あ、覚えてた?」
「貴方が〝リカバリー〟ってするまでは忘れてたけどね……
ちょっとレオ!世界樹が光ってる!」
世界樹が光だしその光がレオナルドの下に集まってきた。
それが人の形になる。
「うわ〜可愛い〜君は誰?」
「私は、世界樹の精……魂と言っても良いのですが……」
「つまり精霊ね?可愛い〜アリエルちゃんにそっくりじゃない?
髪も肌も、目まで真っ白だけど」
「その方の姿を模倣させて頂きました」
「それで……」
「長年悪意の瘴気に苦しんでいました。助けて下さりありがとうございます。
それにしても、貴方の魔力の質もですが……その魔力量……
世界にマナを供給し続けてきた私をも凌駕する量……
貴方は……一体……」
「ただの人、レオナルドって言う。レオって呼んでくれる?」
「レオ……貴方が何者でも良い……貴方が、いてくれた事に感謝します。
私は今後、貴方の力になることを誓いましょう」
「ほんと?ありがたい!これからよろしくね♪」
「こちらこそよろしくお願いします」
「で、1つ質問」
「何でしょう?」
「ベリアルってやつは、なんでこんなことしたんだろ?」
「さあ?あの堕天使の考えている事はよく分かりませんが……
マナの供給を止めて、世界を混乱させようとしたのかもしれませんね」
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