第33話 ひひひひ孫?
レオナルドは、バルコニーに出ると、ふわっと浮かび飛んでいった。
「本当に大丈夫なのか?空を飛べると言うのは凄いが、
あのスローな動きでは、良い的にしか、ならないのでは……」
しかしスローに見えたレオナルドの身体は、急に〝フッ!〟と消える。
遠すぎて、レオナルドの体は、豆粒の様にしか見えないが、
ドラゴンの周りを高速で飛び回っている様だ。
ドラゴンが、首を慌ただしく振り回し、鋭い爪は、空を切っている。
時折ファイアを吐いているが、それもレオナルドには、当たっている様子はない。
逆にレオナルドの剣が、何度となく当たっている様で、
ドラゴンの小さな悲鳴と、頭や羽が、剣で大きく揺さぶられている。
徐々に、手にする魔剣が光だし、眩しい光が長く伸びていく。
その光が振り下ろされると、ドラゴンの首が、
真ん中あたりで、するりとズレる。
そのまま首が落ちた。レオナルドにとっては、いつもの事だ。
「ただいま戻りました」
「其方一体何をしたのだ?」
「私ですか?私はいつも通り戦っただけにございます」
「プッ……もうその変な喋り方やめてレオ……いつものように普通に話して」
「そう言われましても……陛下の御前ですし……」
「良いわよ。叔父様は、私のもう1人のお父様の様なものなの」
「ああ、私もそれでかまわんよ、
それに其方は、この国を守ってくれた英雄だからな。
それにしても其方……あの程の強さ、一体何者なのだ?」
その時レオナルドは、〝ストン〟と腰を落としてしまう。
「どうした?まさかどこかやられたのか?
俺たち2日も、何も食べていないんですよ。腹が減って……」
「それは気が付かなくて、申し訳なかった……
いろいろ聞きたい事が、山ほあるのだがまずは食事でもしながら聞くとするか」
「うっめ〜。オースティンて、メシ最高〜」
「気に入ってくれて何よりだよ。それより先ほど言いかけたのだが……
レオナルド君のその顔……」
「ああ、そうだった……俺の顔がどうかしました?」
「君はどこの出身だ?君の両親の名は?」
「生まれはダグラス王国ですよ?
生まれた時に、父はもう亡くなっていて……
母も俺が5歳の時に病で……父の名はクリスト、母はエリカです」
その名を聞くなりロベルト帝王は、突然レオナルドに抱きついてきた。
目には涙が溢れている。
「うわっ!何するおっさん!」
〝パッカ〜ン!〟
「帝王陛下に向かって〝おっさん〟って、
あんた馬鹿じゃないの?」
「いやだって……急に抱きつかれたから……」
「良いのだ良いのだ……済まんレオナルド君……」
「俺も、すいません……驚いちゃって……後、俺の事は〝レオ〟と呼んで下さい」
「そうか……〝レオ〟か……レオ、先ずはこの肖像画を見てくれるか?」
隠すかの様に閉められていたカーテンを捲ると、
そこにはレオナルドそっくりな若者と、
青年期のロベルトらしき人物が、
仲睦まじく並んだ肖像画が隠れていた。
「ん?何で俺の絵が?」
「これはレオではないよ?私の兄、クリスト・オースティンだ。
兄が亡くなられた事は聞いていたが……議姉の消息は分からず……
まさか忘形見がいたなんて……レオ……君は私の甥だ」
「はい?えっ?何それ?嘘でしょ?」
「嘘ではないぞ?レオ」
「あれ?じいちゃんとばあちゃん?何でここに?」
「おお、これは剣神様に大賢者様。お久しぶりでございます」
「じいちゃん達、帝王陛下と知り合いだったの?」
「いずれレオが、この帝国に来る事になるだろうとは、思っていたのだが……
まだロベルトに会わせるのは早いと判断して、
近づけない様、色々画策していたのだが……
今回も、帝国に行かない様に、手配しておったのだが、それが裏目に出た様だ」
「何でそんな事を?」
「いろいろ事情があってな……
なにしろお前は、成長する度に、クリストに似てきたからな……
ロベルトが、お前の正体に気付くのは間違いないじゃろ?
しかしじゃ……
お主、宰相殿か?お主は確か、クリスト……レオの父の側近ではなかったか?」
「そ……そうですが……しかし、寝返ったとかでは……」
「いやいや、そんな事は思っておらんよ?
いわば本来ならば敵方の側近のお主が、宰相に就ける時代が来たと言うことは、
この帝国の混乱は、完全に治ったと考えて良いのだな?」
「ええ、やっと……そもそも私の母が亡くなった時点で、
障害の半分は、無くなった様なものですから……」
「そうか……であればレオに、全てを話す時が来たのかもしれんな」
「本当に俺の父さんが、この国の皇子だったの?」
「そうだよ?レオ……兄は、皇太子だったんだ。
本来ならば、この帝国の皇帝は、私ではなく、
レオの父、クリスト兄上だった……」
「母さんもこの国の出身だったの?」
「違うよ?あんたの母さんは、私と同じ……今はなきカンスターク王国……
その末妹王女だったのさ。
王女であるにも拘らず、桁外れの魔力を持っていた為に虐げられ、
この帝国に留学という形で逃げて来ていたのさ。
そこであんたの父クリストと恋に落ち……」
「俺の母さんが、滅亡したカンスターク王国の王女?」
「そう、カンスターク王国の末妹王女さ」
「ばあちゃんの、ひひひひ孫?」
「違うわ!あたしゃそんなに年寄りじゃないわ!
私の妹の、ひひひひ孫……」
「変わんねえじゃん……」
「俺、ばあちゃんと、血の繋がりがあったんだ……」
「良かったわねレオ」
「何が?」
「何がって、血の繋がった身内がいたってことよ?」
「そう?血の繋がりが有ろうと無かろうと、俺は、ばあちゃんの孫だよ?
何も変わらないよ?」
「レオ……あんた……」
「それもそうか……」
「それにほら、もう忘れてない?そこの叔父さん……」
「あっ!そうか……ロベルト叔父様も、レオの血の繋がった叔父さんだったわね?」
「……わしの影薄くない?」
「ハハハ……じいちゃん」
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