第31話 スフィアとティアナが危ない!
「レオ!陛下がお呼びだ!緊急事態だそうだ。
呼びに来た人、随分慌てていたぞ。急いで王城に来てくれってさ」
「何だ?緊急事態って?テイラーなんか聞いてる?」
「さあ?使いの奴、何も言ってなかったな?……何だろ?」
「遅くなってごめん、スチュワート叔父さん。何度も連絡してくれてたみたいだけど、
通信の魔道具テストしてたから、光らなかったんだ。
ティアナからも連絡きてたみたいで……」
「そうだったか。すまんがレオ!スフィアとティアナが危ない!
今直ぐ向かってくれんか?」
「えっ?どこに?危ないって、何があったの?
2人はオースティン帝国の建国際に、親善大使で向かったんだよね?
俺は、じいちゃんから、用事を言付かっていて、行けなかったんだけど……」
「そうだ。その道中で何者かの兵……いや、正直に言おう……
たぶんアルバート第二王子の兵と、リンドヴルムの兵だろう……
リンドブルムの紋章を付けた兵に囲まれている様だ。
万が一にと、大きな通信装置を持たせて良かった」
「アルバートが何でリンドヴルムと?」
「取り巻きの貴族に唆され……あるいは、リンドヴルムの策略に乗ったのか……
2人を人質に取って、国を我が物に……とでも、思っているのだろう……
いずれにしても、後々リンドヴルムの傀儡にされるのは目に見えておるのに……」
「馬鹿なの?あいつ……で、今どの辺りに居るか分かる?」
「オースティンとの国境付近のコスピア辺りだと聞いている」
「コスピアだったら転移の魔法陣がある。すぐ向かうね」
「頼む!レオ。急いでくれ。もう既に囚われているだろうが、なんとか助け出してくれ」
「俺が持たせた、少しの間、結界を張れる指輪があるから……
まだ捕まっていないと良いけど」
「アルバートに遠慮は要らん。第二王子だと言うことは忘れて対処してくれ」
「おい、スフィア。結界はもう消えたぞ?それに、
護衛の者もほとんど残っていない……いい加減、諦めて大人しくしろ」
「お兄様、何故こんな事を……王子の座を捨てるおつもりですか?大変な事になりますよ?」
「ふんっ……お前に説明する必要はない」
(あれだな……間に合ったみたいだな?せいぜい30人ほどの護衛に、
何であんなに大勢で?俺を警戒してなのか?とにかく先ずは手出し出来ない様にもう一度……)
「結界魔法……〝サンクチュアリィ〟」
透明なドームが、ティアナとスフィア数人を包んで、キラキラ太陽を反射していた。
「な、何だこれは?」
〝ガンガンガン!〟
「くっ……硬くて、びくともしない……
先程のものと比べものにならん……これでは中に入れん……」
「これって……もしかして……」
「「レオの魔法?」」
「ピンポンピンポン!大正解」
「き、貴様!レオナルド!」
「黙れ!アルバート。誰が口を開いていいと言った?」
「何だと!この無礼……」
〝ドサッ!〟
一瞬で間を詰めたレオナルドの腹パン1発で、
あっけなくアルバートは、白目をむいて気を失った。
最後まで言う事すら、レオナルドは許さなかった。
「ダグラス第2王子の兵ども……
俺の事は、よく知っているな?今直ぐこの馬鹿を連れて立ち去れ」
青い顔でキョロキョロ互いを見合いながら、すごすごと消えて行くダグラスの兵。
「さあて……リンドヴルムの兵達よ。1分だけ待ってやる。
今すぐ、武器と防具をここに捨て、国に戻れ」
「ふざけるな!俺は泣く子も黙る、
軍事大国リンドヴルムの第二王子ジャクス。
誰だか知らんが、無事生きて帰れると思うなよ?」
「お前がリンドヴルムの第二王子か?
俺を知らないと?
サウザー杯で、リンドヴルムの精鋭とやらを、
7人纏めて倒し優勝したレオナルド・キャンベルだ」
「…………」
「知っている様だな?こんな事をすれば、真っ先に誰が出て来るかは……
バカ王子から当然聞いていたか?
で?俺の言うことが聞けないと?
良いだろう。今ここで、お前の国を滅ぼすのを、目の前で見せてやる……
そこで間抜けに、口を開けて見ていろ……」
空に舞い上がるレオナルド。両手に光が宿る。
手を前にかざすと、美しい魔法陣が浮かび上がった。
〝メテオカタストロフィ〜!〟
〝ドドドドドドドガァーン!!!!!!!!〟
大音量と共に、8つある内の、1つの月が消滅する。
(又、ばあちゃんに怒られるかな?後で戻さなきゃ……)
あまりの衝撃を目の当たりににし、心が折られた兵士は、
誰1人動く事は出来なくなった。
立ち竦む兵の中に、静かに降りて来るレオナルド。
「気が変わった。お前の国の民に罪はないからな……
だが2度目はない……分かったら、さっさと立ち去れ……
そしてリンドヴルムの王に言っとけ。
俺達に2度と関わるなと……国を滅ぼされたくなければな?」
「だ、黙れ!俺に命令するな!」
レオナルドの顔が無表情になる。一歩一歩ゆっくり、ジャックスとの間を積める。
〝ドサッ!〟
ジャクスの腰が力無く落ちた。股間が濡れて行く。
「くっ……力が入らん……」
「本能が俺の力に怯えているのだろう……周りを見てみろ」
周りの兵も皆、腰を抜かしていた。
目が怯え、身体からは戦う気力が無くなっている。
この軍が、もう使い物にならないのは誰の目にも明らかだった。
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




