第3話 それにしてもレオは容赦ないわね?
「おっぱいのお姉さんは、未だ歩けそうにないから、馬車治さないとだね」
「おっぱいじゃないし……
でもこの馬車、直せるかしら?ひどい状態よ?
そもそも横転しているこれを、どうやって起こすか……」
「よいしょっと……」
ティアナの心配をよそに、軽々と馬車を起こすレオナルド。
「ちょ……ちょっと何その力?この貴族用のゴテゴテ飾られ、重たくなってる馬車を……」
「あらら……本当だ……ひどい状態……
車輪もだけど、あちこちにヒビが入って、普通には修理できそうもないね?」
「困ったわね……どうしたら……」
「平気平気、〝普通には〟って言ったでしょ?
魔法で治せると思うよ?掛けてみるね」
「壊れた物を治す魔法なんて、聞いた事ないわよ?」
「ん?あるよ?僕が壊したコップとかお皿とか、ばあちゃんがよく治してくれた。
山奥に住んでたから、早々買いに行けないからさ」
「貴方の、おばあ様って……」
「じゃあやるよ。〝リカバリ〜〟」
傷んだ馬車に手を触れ、そう詠唱すると、
手から優しく光が出て、馬車全体が光に覆われる」
「馬車相手だから、魔力制御気にしなくて良いから簡単だったよ」
馬車は、新車の様にピカピカになった。
「お……驚き……やだ、馬の怪我まで治ってない?」
「あ、本当だ。後でヒールしなきゃって思ってたけど、
リカバリーでも治せるんだ?
物じゃないからと思ってたけど、魔法の波動が似ているのかもね?」
「早速出発する?今日中に王都に着くかな?」
「今日中?それは無理よ……元々私達の予定では、
明日の夜には、何とか着けるかなってところだったのよ?」
「え?だって向こうに小さく見えるのが王城でしょ?
あそこが王都だよね?10kmも無いでしょ?馬車なら半日掛からないよね?」
「確かにあれは王城よ?でもあの方向に真っ直ぐには行けないのよ。
途中に大きな谷があって、進めないの……
だから、先ずは北に進んで……そうすると谷が狭くなる場所があるから、
そこの大きな吊り橋を渡るのよ?
だから今日は、橋の手前の宿場街まで行って、一泊。
明日、順調に進めれば、夜には王都に着くはずよ?
問題なのは、居なくなってしまった御者の代わりを、どこかで見つけないと……
どうしよ?ここには誰もいないわよね?」
「僕馬車なら馬を操れるから大丈夫だよ」
「そうなの?助かるわ。だったら直ぐに出発しましょ?
宿場街迄も結構距離あるわよ?」
「了解。でもその前に、ティアナの怪我も治すね」
「大丈夫?貴方のヒール?」
「うん、おっぱい治して、コツが掴めた感じ」
「すっかり、おっぱい好きになったわね?」
「うん!」
「あら、素直な事……」
「ティアナ達は、血や土を拭いて着替えたら?
僕は少し片付けてくるから」
「それじゃあ出発するね」
すっかり傷が癒えたティアナを、馬車にエスコートする。
「さっき馬車の後ろの荷置き場に、何しまったの?」
「ナイショ」
「ナイショ?気になるわね……
まあ、言いたくないなら無理に言わなくても良いけど……」
動き始めたレオナルド達。
しかし街道は思いの外荒れていて、スピードが出せなかった。
「おい!そこの馬車、止まれ!」
検問をしている騎士のグループに止められた。
「その馬車の紋章、クリスティー公爵家の馬車か?」
「そうだよ」
「何故お前の様なガキが御者をしている?」
「賊に襲われて、皆んなやられちゃったから……」
「どうやって逃れてきた?」
「僕が皆んな、やっつけたよ」
「た……隊長達を?」
「ん?今なんて?声が小さくて良く聞こえなかったけど……
〝隊長達〟って言った?」
「……聞き間違えじゃないか?そんな事は言っていない」
「……着てる物は違うけど、おじさん達もあの賊の仲間?悪者なの?」
「だから……聞き間違えだと言っているだろ……」
〝グヮ〜……ギャ〜〝
レオナルドが、いきなり騎士達に、切り掛かった。
容赦ないレオナルドの攻撃は、5人の騎士を一瞬で倒した。
「な、なんで?どうして騎士を倒してしまったの?
事情を話して、助けてもらえば良かったのに……」
「こいつら、さっきの賊の仲間だよ?〝隊長達を〟って言ってた」
「それだけでは……」
「殺気、ダダ漏れ……僕のこと、殺す気満々だったよ?
さっきの賊は、紋章をしてた……変でしょ?賊なのに紋章……
しかもそれを上着で隠してたし……
この人達も、同じ紋章をしてる。絶対仲間」
「そうだったのね?だけど……確証が無いのに……」
「殺気を出してる時点で確証あるよ」
「私は殺気を感じることが出来ないけど……
それにしてもレオは容赦ないわね?」
「こういう時は、きっちり、とどめを刺しておかないと、
大概、後で後悔するって、じいちゃんが言ってた」
「まあ……確かに……でも困ったわね?
宿場街に着いたら、宿場警備の騎士に保護してもらおうと思ったのに、
どこに敵がいるか分からないわ……」
「宿場街に入るの止めて、どこかで日が明けるまで馬車で休む?」
「……それはそれで危険じゃないかな?
宿場街を守る騎士全員が敵とは限らないし、
こうしていても仕方ないから、とりあえず行ってみましょう」
「危ないと思うけど……ティアナがそうしたいなら……」
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