第25話 俺は剣神サウザーの孫だから
「うわ〜この大会、異常だぜ?あの7人が強過ぎる……勝負にもならねえ」
「でもよ?あいつら全員勝ち進んだらどうすんだ?」
「お前知らねえのか?今回はベスト8が出揃ったら、
その全員で戦うらしいぞ?」
「バトルロイヤルってやつか?なんだそれ?
7対1になっちまうだろ?なんでそんな事に?」
「リンドヴァルムのゴリ押しだってよ。
あの国には逆らえないからな……そもそも7対1の1が、
勇者を想定してるんじゃないかって、もっぱらの噂だ」
「それで7人かよ?俺、勇者が気の毒になってきたよ……」
「だよな?勇者に何かあったら、魔族討伐はどうなるんだよ?
いったい何考えてるんだリンドヴァルムは?」
「ん?何騒いでるんだ?大会運営が何か揉めてるな?」
「え……と……君がレオナルド君かい?」
「ん?そうだけど」
「リンドヴァルムの選手以外、全員棄権すると言い出したんだけど……
君はどうする?」
「勇者は?」
「彼も棄権だそうだ。アルセルタのナイジェル王が決めたらしい。
勇者に何かあったら、大変だからね?本人は出たいって言ってる様だけど……」
「へ〜そうなんだ……俺は、もちろん出るよ?」
「あの連中相手に7対1だよ?悪いことは言わない棄権した方がいいよ?」
「お気遣いありがと。でも大丈夫。俺は剣神サウザーの孫だから。
逃げる訳にはいかないよ?てか、あいつら嫌い……
全員ぶちのめすから見てて……」
「おい、今、あの子、剣神様の孫とか言わなかったか?
そう言えば、新聞に、
〝嘘か誠か剣神サウザーの孫も参加〟
とか書いてあったな?あんなガキがか?未だ、十五、六歳だろ?
なんか嫌なもの見せられそうだな……」
「ちょっと、正気なの?レオ?」
「なんでよ?俺が負けるとでも?」
「だって見たでしょ?噂通り、めちゃくちゃ強いじゃない……
それを7人同時よ?いくらなんでも……」
「あいつらそんなに強いか?
未だ本気出してないにしても、あの程度で、じいちゃんクラスとか……」
「えっ?勝てるの?」
「さあ?」
「〝さあ?〟って……」
「まあ……やってみない事には……」
「心細いわね……」
「レオ!」
「あっ、スチュワートおじ……じゃなかった……陛下。
やっぱ来ちゃったんだ?こなくて良いって言ったのに」
「勇者との試合を、どうしても見たくてな?
しかし……とんでもない事態になってるな……
これはフェアな試合ではない。棄権した方が良いぞ」
「スチュワート王よ……レオの、したい様にさせたら良い……」
「あ……貴方はもしや……剣神様……」
「し〜……」
人差し指を口に置き、悪戯っぽく笑う剣神サウザー。
「じいちゃん、変装しなくても、誰もじいちゃんの事分からないよ……」
「ん?そうか?確かに……それもそうじゃな?……わしは過去の人間だからな」
「ハハハ……」
「レオも貴方も余裕ですね?分かりました。見守る事にします。
だがレオよ、死ぬんじゃないぞ?
ティアナとスフィアを悲しませたら許さんぞ……」
「平気平気。安心してみてて」
スチュワートにウインクしながらそう言うと、
いそいそと会場に向かった。
「それではこれより決勝戦を始めます」
〝シャキ〜ン!〟
レオナルドが、異空間から魔剣を取り出した。
「レ、レオナルド君。聖剣魔剣の類は禁止だよ」
「おっと間違えた……」
今度は、漆黒に綺麗な彫りが施されている剣を取り出す。
「それは聖剣魔剣の類ではないね?」
「違うよ?……凄く良い剣だけど、聖剣魔剣の類ではないよ?
うちの陛下が、俺の剣が使えない事を知って、
急遽、大会用に用意してくれたんだ」
「そうですか。でしたら問題ありません」
「この剣も、俺が魔力を通したら、聖剣魔剣に引けは取らないけどね?」
「それはダメですよ?魔法は禁止です」
「だってこいつらも、身体強化の魔法使ってるよ?」
「あ?何を根拠に……って、テメエ、昨日のガキじゃねえか?
こいつは良い。探す手間が省けたぜ」
「ねえ、審判の人、今なら未だ試合が始まってないから、魔法使っても良いよね?
こいつらの魔力を、可視化すれば、使ってるか使ってないか、一眼で分かる」
「…………」
「ハハハ……黙っちゃった……
なあ?なんなら、その類の魔法はOKでも良いぞ?
俺も癖で、つい身体強化使っちまうかもしれないからな」
「良いだろう……その条件呑んでやろう」
「そんじゃあ、始めるか?」
レオナルドの剣の模様が、薄ら光出した。精悍な漆黒に、輝きが実に美しかった。
「初め!」
その掛け声を合図に、姿が消える7人。
〝ガシャン!ガツ!ガツ!ガツッ!〟
レオナルドの周りに、火花が飛び交う。
しかし、レオナルドは動かない……瞳だけが、右左に動いていた。
剣を持った右手は、少しぼやけた様に見える。
〝ガシャン!ガツ!ガツ!ガツッ!〟
さらに激しさを増す火花……
レオナルドの身体が、眩く照らし出されていく。
「一体何が起きてるんだ?」
「もしかして、あの少年、
7人からの攻撃を、全て撃ち返してるんじゃないか?
だからあんなに火花が……」
その声に向かって、剣を持たない左手で指差す。
「正解……」
にっこり笑って、そう言うレオナルド。その顔には余裕すらうかがえる。
「あの少年、戦いの中で、俺らの会話が聞こえているのか?」
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