第24話 おかまを馬鹿にすると、怖いわよ?
神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。
「おお!居ったぞ!レオ!」
「あれ?陛下?俺に用?学園まで来るなんて珍しいね?
呼んでくれれば、城まで行ったのに」
「急いでおっったのだ……お前、サウザー杯に、エントリーしたんだって?」
「あっ、情報早いな。そうだよ?出て欲しかったんでしょ?勇者、コテンパンにしてくるよ」
「いや、わしの為に、ってのは嬉しいが、今回は、まずいんだ……」
「何が、まずいの?」
「リンドヴァルムから7人も参加するらしい。
聞いているだろ?あそこの国の事は……
魔法さえ使えれば、お前は無敵……心配ないが、剣だけの大会だぞ?
しかも真剣だから、毎年、死者も出ている大会なんだ。危険だ」
「じいちゃんクラスが、ゴロゴロ居るってやつでしょ?
大丈夫しょ?1体1なんだから。
それと、スフィアの事、俺で良ければ、婚約者って事で良いよ?」
「えっ!本当か?でも何でまた……急にどうしたのだ?」
「リンドヴァルムに、良いようには、させないって事。
スフィアに幸せになって欲しいって思ってたけど、
考えが変わったんだ。俺がティアナと一緒に、スフィアも幸せにする」
「……レオ……ありがとう……本当に嬉しいぞ。スフィアを頼むな。
え〜い!そうと決まれば、急ぎ公表せねば」
「スフィアに確認してからでしょ?」
「何を言う?あの子の答えなんぞ決まっているだろ?」
「と言う訳なんだ……じいちゃん達に相談もしないでごめんね」
「なに構わんよ。嫁さんの事は、お前が決めれば良い事じゃ。
リンドヴァルムの連中、相変わらず好き勝手しておるようじゃな?」
「それにしても、バタバタだね?婚約発表に、アイルドベルの完成披露会。
最後に武道会か……」
「どけどけどけ〜!邪魔だ!」
武道会に参加する為、アルセルタ王国に来ていたレオナルドと、ティアナにスフィア。
カフェのテラスでお茶を楽しんでいると、大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「ガラ悪いわね?あの人達」
「こっちに来ないと良いけど?拘たくないわ」
「スフィア、そう言うのを、フラグを立てるって言うんだぞ?」
「ほ〜可愛いじゃねえか?俺達と、ちょっと付き合ってくれよ?
ヘッヘッヘ……分かってるか?お願いじゃあねえぞ?これは命令だ」
品のない顔で頬を歪めながら、スフィアの手を掴みかける男。
「やめて下さい!私達、そんな暇は、ありませんわよ?」
頬を薄っすら赤く染め、甲高い声で抗議するレオナルド。
「何だてめえ?おかまか?お呼びじゃねえよ?」
「あら、おかまを馬鹿にすると、怖いわよ?」
「「ププッ……」」
思わず吹き出すティアナとスフィア。
「あ?てめえ舐めてんのか?おかま野郎。ぶっ殺すぞ!
脅しじゃねえぞ?俺らは、ほんとに殺すからな」
「……うせろ……豚ズラ野郎……家畜臭えんだよ?お前……」
突然3オクターブ位低く冷たい声でレオナルドが言いはなった。
背筋が凍る様なレオナルドの凄みに、本能が怯え、〝ストン〟と腰を抜かす男。
「どうした?ザイラス。そんなところに座り込んで」
「こ……この、おかま野郎が……」
「あ〜〜?貴様。俺たちが誰だか知らない様だな?リンドヴァルムの……」
「興味ねえから自己紹介はいらねえよ。
お姉さん、お勘定これで足りるかな?」
恐怖で立ち竦む店の女の子に、銀貨を渡すレオナルド。
「あ?テメエ、黙って帰してもらえるとでも思って……」
「アディオ〜ス……」
ティアナとスフィアの肩に手を置き、レオナルドは忽然と消えた。
「魔法使いかあのガキ……今度会ったら、魔法使う前に、有無を言わさず殺す……」
「もお2度と会わないよ〜」
馬鹿にするように、戯けた声がするが、もう姿は見えなかった。
「ど、どこだ?」
「珍しいわね?さっさと退散するなんて」
「大人だからな?俺は。それに店に迷惑はかけられん」
「〝もう2度と会わない〟ってのはフラグじゃないの?
リンドヴァルムからの7人の参加者ってあいつらよ?」
「……嘘?」
「新聞に顔が出ててわよ?史上最強の参加者達だって……
それにリンドヴァルム帝国の紋章を付けてたわ」
「リンドヴァルムが、なんとかって言いかけてたな……
フラグ立てちゃったか……でもあいつらが最強?
俺に殺気を向けられて、腰抜かしてたぞ?最弱の間違いだな……」
〝〝ワァァァァァ〜〜〜〜〟〟
「おい見たかよ?あんなの見た事ねえよ」
「初め!の合図が掛かったと同時だろ?」
「対戦相手、動いてないけど生きてるのかよ?」
「あれれ?もう始まってるのか?」
「何だ兄ちゃん、今の見てなかったのかよ?あいつら強すぎるぜ。
あれであいつ、リンドヴァルムの7人の内では、
中堅位だって言うじゃねえか?」
「あれ?あいつ、昨日腰抜かしてたやつじゃん」
「それではこれより第2試合を始めます。両者前へ」
「おや〜?おやおやおや〜?お前、もしかして震えてるのか?
お前さ、前回の準優勝者だって言うじゃねえか?マジかよ?」
「初め!」
「くっ……くそ……隙がねえ……」
「ん?どうした?掛かってこいよ。
なんなら最初の3分は、俺から攻撃しないでやってもいいぜ?
ほらほら、どうした?」
「うぉりゃ〜!」
「ほらほらほら〜」
戯けた様に、にやけながら、ひょいひょい余裕で避ける。
「あれがリンドヴァルムのNo1って奴だろ?
まるで勝負にならねえな……」
「はい3分のサービスタイム終了〜」
「ハアハアハア……まだ1分も経ってないだろ……」
「だってよ〜つまんね〜んだもん……お前の攻撃……」
そう言うと、突如、相手の目の前から消えた。
気付くと、もう既に相手の後ろに立っている。
〝ドスッ……〟
肩のあたりから血を噴き出して前年の準優勝者は倒れた。
「そこまで!」




