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第19話 ……強くなる訳じゃ……

「ねえ、じいちゃん。あいつ、口から何か攻撃魔法みたいの吐く?」

「いや、そんな事は一度もなかったな……魔法を使ってるのは見た事ないな。

 何時も手足で、ひたすら破壊してくるだけじゃったよ?」

「でもほら、あれ見て。口に魔力が集まってない?」

「ほう……確かにそうじゃな……レオ、よく気づいたのぉ?

 何か魔法でも放つのか?まずいな……レオとメリーばあさんで障壁を……」

「じいちゃん!もしかしてあの魔力は核?

 攻撃の予兆じゃなくて……もしかして、あそこに核が有るんじゃない?」

 そう言うと砂煙だけを残し、レオナルドは、巨人に向かって飛び出した。


 〝オオオオオォォォォォ〜〜〝

 手には蒼く光る魔剣……その光は10m程に伸びている。

 〝ズッシャ〜〜〜〜!!〟

 〝グォォォォ〜〜〟

 砂の巨人は、断末魔のような叫びをあげ、頭からサラサラと砂が崩れていく。

「なんという魔力量なんじゃ……レオの奴……あそこまで魔剣が伸びるとは」


「やっぱりあれが核だったよ……ラッキーだったね?」

「ラッキーな訳あるかい……

 核のありかを見つけられたのは、幸運だったかもしれんが……

 あの硬い核を一振りで両断する……そんな事、他の誰にも真似出来んよ……

 レオ……お前一体、どこまで強くなるんじゃ……」

「僕、本当に強くなってるのかな?

 最近〝手加減〟ばっかりで、全然本気で戦って無いんだよね……

 じいちゃん、久しぶりに手合わせしてくれない?」

「遠慮しとくわい。レオの相手は老体にはキツイ……

 しかし、だとすればレオは……お前、普段、訓練はどうしておるのじゃ?」

「ちゃんとやってるよ?架空の自分相手に」

「架空の自分?」

「そ、自分を想像して、それと戦ってるの。

 なぜかいつも、最初はそいつの方が少しだけ強く……

 戦ってるうちに、段々ついていける様になるんだ」

「ふむ……強い奴と戦いたいと言う気持ちが、

 無意識のうちに、相手の強さの想定を、

 自分より少し上げているのかもしれんな?

 それに途中で追い付くと言う事は……

 レオが、毎回少しずつ強くなっていると言う事じゃろ」

「そうなのかな?」

「それにしても、毎回、全力で戦ってる訳じゃろ?

 周りを巻き込んで、破壊しかねんぞ?少し危険なんじゃないか?」

「それなら大丈夫。僕の亜空間に入って、やってるから」

「なんじゃと?お前、自分の亜空間に入れるのか?」

「うん、思う存分に戦える場所って考えたら、そこしか思い付かなくて……

 試しに亜空間を開いて、入ってみたら行けたの」

「とんでもない事をしよるわい……出られなかったら、どうするつもりじゃったんじゃ?」

「出られないかもとか、考えなかったな……今では毎日の日課だよ?」

「毎日じゃと?お前学園は?どうやってそんな時間を作っているんじゃ?」

「学園はちゃんと行ってるよ?亜空間は……ほら、あれじゃない?」

「あれとは?まさかあの中は……」

「そ、出来たての食事が、いつまでも温かいのと一緒……

 中に入ってる間、外の時間が止まってるの……

 それとも、中の時間の流れがすごく早いのかも?良く分かんない……

 とにかく、外に出ても、ほとんど時間は経過していないよ」

「……強くなる訳じゃ……じゃが、中で長い時間……

 ましてやそれを、毎日繰り返していたら、

 1年も経たないうちに、大人の身体になってしまうぞ?」

「それも大丈夫みたいだよ?自分だけ成長したら嫌だなって思ってたけど、

 身長とかの伸びも、友達と変わらないよ?」

「なら良いが、不思議じゃの?例えば10年、中に居ても、歳はとらないのか?

 訓練すれば、身体能力は向上するのにな……」

「食料が腐らないんだから、外の時間が経過しないって言うより、

 むしろ中の時間が止まっているって事かな?頭がこんがらがってくるね」



「さて、レオナルド。此度の国を守りし活躍……

 褒美を取らさねばなるまいが、何か希望はあるか?」

「ううん?何も要らない……です」

「国に貢献した者へ、なんの褒美も与えない……

 国としては、そうもいかんのだよ。

 どうだ?なんならスフィアを嫁に?」

「大変光栄なお話ですが……じゃなくって、

 貰うわけには、いかないって言ったじゃん……」

「ハハハ……レオは頑固だな……ま、半分冗談だ。

 急がんでも良いから、褒賞の希望を考えておいてくれ」

「半分本気なんですか?その話……

 あんまり引っ張ると、スフィアが可哀想ですよ?」

「分かった分かった……諦めんけどな?」

「あっ、そうだ……だったら僕に、アイルドベルを貰えませんか?」

「アイルドベル?あそこは何も無い、極寒の荒地だぞ?

 13年前、隣国、カンスターク王国を滅ぼした彗星の落下。

 その時、彗星の割れた破片が、アイルドベル地方にも落ち、

 高く切り立った山脈と、大きな湾と化した元陸地……

 人が住むどころか、動物すら、ほとんど居らん、荒れ果てた地だぞ?

 そんな所を貰ってどうするつもりだ?」

「学園都市を造ろうかと……」

「いやいや、先程の話聞いてたか?

 都市が作れる様な、そんな場所は無いぞ?」

「湾になっちゃった所の土砂が、あの山脈を作ったんでしょ?

 元に戻せば、王都並みの広さの平地になるよ?

 南からの暖かい大気も、あの山脈が止めてしまっているから、

 それが無くなれば、元の温暖な場所になるんじゃ無いかな?」

「まあ、お前が言う様に、元は温暖な場所であったからな。

 だからそんな地域であったからこそ、魔物が多くて、

 昔から人はあまり住んでおらんかったな」

「今は危険な魔物も、絶滅して居ないでしょ?」

「それはそうだが、あの地形を元に戻すのは簡単な事では無いだろう?」

「エクスプロージョンかなんかで、山を吹き飛ばすよ。

 1週間も有れば出来るんじゃ無いかな?」

「そんな事出来るのか?って聞くまでも無いな……

 しかしレオの魔法は規格外だからな。

 周りの地域に被害が出んかと心配だな。

 メテオとか言ったら、即座に却下だが……」

「じゃあ、山を海に転移させる?他に被害が出ない様、やり方は後で考えるよ」

「まあ分かった。アイルドベルはレオの領地としよう」

「領地?」

「お前には伯爵位を叙爵(じょしゃく)する」

「いや、爵位とか要らないけど?」

「あれだけの広い土地を、私有地とする事は出来んよ?」

「それもそうか……でもいきなり伯爵とか……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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