第18話 聖剣の力、魔剣の相性
「ウオリャ〜〜!!」
〝ドシャ〜ッ!〟
「どわ〜だめだ〜!レナード!あいつ本当に砂で出来てる!
切れるは切れるけど、直ぐに元に戻っちゃうよ……」
「レオよ。あれは核を壊さねば、直ぐに元通りになってしまうぞ?」
「あ〜〜!じいちゃん!ばあちゃん!」
交戦中にも拘らず、2人に駆け寄り、抱きつくレオナルド。
「元気じゃったか?」
「うん、元気元気!じいちゃんばあちゃんも……いつものじいちゃんばあちゃんだね?」
「若返る事は出来んからの?いつものじいちゃんばあちゃんじゃよ」
「へへへ〜〜」
「あの〜和まれてるところ、申し訳ないんですけど……
結構、差し迫った場面なんですけど……」
「おお〜すまんすまん。孫が可愛くて仕方ないんじゃよ。
君は確か、ダグラス王国のレナード王子じゃったかな?」
「はい。お初にお目にかかります。レナードと申します。
レオナルド君から、お噂は予々……」
「ねえじいちゃん、あいつの核ってどこに有るの?
そこを狙わなきゃなんでしょ?僕、全然分かんないんだけど……」
「それが厄介でな……コロコロ、コロコロ移動しよるんじゃ。
更に、その核というのが、めっぽう硬くて……
当時、国王から預かっていた聖剣でも刃が立たず、
聖剣が真っ二つに折れてしまいよった」
「でも、じいちゃん、核に剣を当てられたんでしょ?どうして核の場所が分かったの?」
「いや、分かっていた訳じゃないよ。ダメージを与えようと、
ただ闇雲に剣を叩き込んでいたんじゃ。
その内、剣に誘導でもされたかの様に体が動き、
左目辺りを切り付けたら〝ガキッ!〟と何かに当たった。
それが、あやつの核だったんじゃな」
「へ〜それって、聖剣の力なのかもね?」
「わしもそう思うよ。ただ、それでもなお、あやつを倒す事は出来んかった……」
「でも封印は出来たんでしょ?どうやって封印したの?」
「うむ……そうなんじゃ……なんとか封印だけには成功したんじゃ……
あの時、折れた聖剣に、ほんの少しじゃったが、
傷付けた核の破片が残っておってな。
メリーばあさんが、その破片を調べまくり、
なんとか奴の活動を封印する事の出来る薬を、作り出す事に成功したんじゃ」
「あれは大変だったんだよ?又いつ活動が始まるか分からなかったからね。
1ヶ月もの間、寝る間も惜しんで、薬剤を調合して実験しまくって……
それでも核を破壊する方法は最後まで分からなかったんだけどね、
何とか封印させる薬は、作り出せたんだよ。
それを、先の尖った柱型の魔道具の先端に仕込んで飛ばしたんだよ。
その魔道具やら、それを飛ばす道具の制作で更に2ヶ月も掛かってね……」
「その間、砂の巨人はどうしたの?あんな化け物だったら、
3ヶ月もあれば世界を滅ぼしちゃいそううだけど……」
「あやつに、ある程度のダメージを与えると、
1週間程、活動を停止する事は知っておるか?」
「うん、それは、さっき聞いたよ」
「あの時は、何とか核を傷付ける事が出来た……
あやつにとっては、かなりの深手だったんじゃな……
3ヶ月もの間、活動を停止しておったんじゃ。
核の修復に、事の他、時間が掛った様じゃな……」
「その魔道具と薬はどうしたの?未だある?」
「今残っているのは、飛ばす装置だけじゃないかね?
先の尖った丸い柱状の魔道具200本……
世界中の魔道具師を集めて、やっと造ったんだけどね……
そのとき全部飛ばして残ってないはずだよ?」
「何でそんなに沢山必要だったの?」
「200本有れば封印出来るって、確信があった訳じゃないよ?
本当は、有ればあるだけ欲しかったんだけどね。あれが限界……
聖剣が折れて、もはや核が、どこにあるか見つけるのは、ほぼ不可能だろ?
あの巨人を取り囲み、一斉に柱を叩き込んで、どれか当たってくれ〜ってね。
200本完成した時にあれが動き出しちゃったから、一か八かだったんだよ?
運良く当たってくれたけどね」
「メリーアン大賢者様。ソルダンの柱の塔って、
あの巨人を封印していた柱だったのですか?」
「柱の塔?かなり深くに埋まってた筈なのに、露出してしまってたのかい?」
「はい、12年前のカンスターク王国隕石落下の反動で、
あの辺りの地形が変わりまして」
「それは知らなかったね……」
「露出した不思議な柱を、宝でも出てくるんじゃないかと、
ハンターがこぞって掘り起こして……柱も抜いたんだそうです」
「バカなことするもんだね?
それから12年掛けて薬の効果が無くなり、
核が修復されてしまったって事なんだね……」
「またその柱を造るのに2ケ月掛かるのか……
それまで1週間ごとにダメージを与え続ける?
いつ動き出すか分からないから、暫くここに滞在しなきゃなんないね」
「レオ、奴にダメージを与えられそうか?」
「うん大丈夫。さっき切り裂く事は、割と簡単にできたよ?」
「それは凄いな?昔戦った時は50人の精鋭と、わしとでやっとじゃった」
「この魔剣の相性が良いのかもね?」
「それも有るじゃろうが、この前も言ったが、
レオの剣さばきが、格段に上がっておるからじゃろう」
「そうかな?自分では良く分からないよ……
あのさあ……ばあちゃん……メテオ使っちゃダメ?
あれなら、核ごと破壊出来ると思うんだけど?」
「確かに可能だろうけど……それは最後の手段にしときな。
上手くコントロール出来るとも限らないし、
その先の宇宙に、影響を与えないとも限らないからね」
とても残念そうな顔のレオナルド。
「堂々とメテオ撃てるチャンスかと思ったのに……」
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