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第17話 光る魔剣クラウ・ソラス

「ただいま〜!ばあちゃ〜ん」

 メリーアンに抱き付き、甘えるレオナルド。

「なんだい、いつまでも子供だね?お帰りレオ。おや?その子は?」

「学園の友達だよ」

「そうかい。友達が出来たんだね?早速、学園に行かせた甲斐があったね」

「大賢者様。初めまして。テイラー・サルザルです」

「やだよ。大賢者様とか……私ゃ、ただのレオの、ばあちゃんだからね?

 そう呼んどくれ」

「ねえ、ばあちゃん。じいちゃんは?」

「村長のところだよ。もう直ぐ帰るんじゃないか?」



「なるほど……テイラーは、超一流の剣士になれる素質が、あるようじゃな」

 テイラーの、素振りと立ち回りを見たサウザーが、そう言った。

「本当ですか!?」

「ああ、本当じゃよ」

「一流の剣士になるには、どの様な訓練をしたら良いですか?」

「そうじゃな……見たところテイラーは、素振りをかなりしておるのではないか?」

「はい、毎日欠かさず2時間は振っております」

「うむ……やはりな……何度振っても寸分違わない見事な剣筋……

 それは悪い事ではないんじゃが……

 そうじゃな……ちょっとここに剣を打ち込んでみなさい」

「こうですか?」

 〝ズシャッ!〟

「次はここ」

 〝シャッ!〟

「どうじゃ?今の2回の振り、音の違いが分かるかの?

 剣のブレ。スピード。体重の乗り方……ほんの少し違わんか?

 相手は、身長も、剣も、動きも違う……

 どこに剣を振ろうが、同じ様に振れないと、僅かな隙を生んでしまう。

 素振りをするのは良い事じゃが、

 いつも同じ様に振って鍛錬するのではなく、色々な軌道を描き、振ったらどうかの?

 出来れば、相手をイメージし、

 相手のイメージに合わせて、動きながらが良いかもしれんな?

 ただ、本来は、実践訓練で、色々な相手と経験を積むのが1番じゃよ?

 テイラーの剣は既に完成に近い。ちょうど良い相手がおらんのじゃろ?」

「レオに頼むのは?」

「一度手合わせをしておるのじゃろ?どうじゃった?」

「全く相手になりませんでした……」

「そうか……じゃったら、あまり良い実践訓練にはならんな……

 まあ、焦らず経験を積む事じゃ。テイラーは、まだ子供。

 これからたっぷり時間は有る。壁に当たったら、

 いつでもここに来ると良い」

「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」


 〝ハアハアハア……〟

「テイラ〜!」

「おや、レオが呼んでおる様じゃ。そろそろ帰る時間かの?」

「今日は1日、ありがとうございました。

 剣神様……俺はいつか、レオに追いつけますか?」

「それは……正直にいうと、難しいかもしれん。

 あの子は、あの歳で既に、わしの全盛期を遥かに越えておる。

 わしにも、レオの底を知る事が出来んのじゃ。

 あの子を人として、見んほうがいいかもしれん……

 だからもし、いつまでもレオの背中が見えなくても、気落ちせんで、前に進んでおくれ……」




「レオ。悪いな。一緒に付いて来て貰って」

「全然?僕も、じいちゃん達が、昔封印したってやつを見てみたかったし」

「本来はアルバートの管轄なんだが、何やかんや理由をつけて行こうとしない……」

「ああ、第二王子?僕あの人、嫌い。陰険だし……

 前に、僕の魔剣をよこせって……

 〝危険だし、やらないよ〟って言ったら、それから何やかんや絡んでくるし……」

「魔剣の件は、後で父上に、こっ酷く怒られたから、逆恨みしているのかもな?

 悪いな、俺の愚弟が……」

「それで、レナードが行く事に?」

「俺に、〝行って民を守って来い〟って……父上がな……」

「うわ〜ロベルト叔父さん無謀〜!第1王子に何かあったらどうすんだ〜」

「ハハハ。レオに来てもらえれば俺も心強い。忙しいのに悪いな」

「だから良いって……レナード」

 スフィアの兄の第一王子、レナードとは5歳歳が離れているが、

 気が合って、敬称無しで呼び合う程の仲になっていた。


「あ……あれが砂の巨人!?……て、どこ?全然分かんないや……」

「目の前じゃないか。あれだよあれ!」

「山しかないけど?」

「あの山の様に見えるのが、そうだよ」

「え〜〜!嘘〜本当にあれがそうなの?昔じいちゃん達が封印したって言う、砂の巨人は?」

「1週間前の、一斉攻撃で、何とかあそこに(とど)める事が出来たらしいんだ。

 あれは、ある程度のダメージを受けると、1週間程動きを止めるんだよ。

 そろそろ又、動き出す頃だ」

「本当に、あの山が砂の巨人なんだ……

 あれ、もしかして寝転んでるよね?立ったら100m以上あるんじゃない?

 海で出会ったクラーケンって60m位あったけど……

 それよりずっと大きいよ?」

「クラーケンを見た事があるのか?」

「うん、じいちゃん達と船でフェルナンド島に行った時に襲われた事があって、

 僕のこの蒼く光る魔剣クラウ・ソラスで真っ二つに……」

「お前のその剣、気になってたけど聖剣じゃなくて魔剣なのか?」

「そ、最初、サウザン魔宮の聖堂の台座に刺さってたのを見つけて抜いたら……」

「伝説の魔宮じゃないか……実在したのか……

 そこに、誰にも抜けない剣が有ると言われている……レオの剣……それが伝説の魔剣?」

「そうそれ。よく知ってるね?

 最初抜いた時には、僕の精神を支配しようとしてきたんだよ?

 最大魔力を流したら〝パッキ〜ン!〟って何かが弾けて、

 そしたら僕の言う事を、聞くようになったの……

 今の僕では、未だ少し大き過ぎるんだけどね?」

「その話も又、詳しく聞きたいが……

 それより今は……レオ、今、その剣でクラーケンを真っ二つにしたって言ったか?」

「蒼い光が剣先から出て、長〜く伸びるんだよ……

 それで真っ二つに出来たんだけど……あれ?レナード。今あの山動かなかった?」

「山じゃなくて、砂の巨人……あああっ……再稼働始めた〜!

 レオ、その魔剣で、あいつ切れないかな?」

「どうかな?やってみようか?……あっ!あいつ立ち上がった……

 で、でか〜〜!……でかすぎ……」

「本当に……でかいな……聞いてた以上だ……レオでも無理か?」

「分かんない。でもやってみるよ」

「お前……小さいくせに、肝が座ってるな……俺は足が(すく)んじまった……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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