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第16話 剣神様とは違う

「ティアナって、案外、気〜強かったんだね?」

「だって……剣神様を馬鹿にされたから……

 何だか自分のお祖父(じい)様が、馬鹿にされているみたいで……」

「う〜ん……ありがと?」

「ごめんなさい。余計なことしたわね……」

「ううん、怒ってくれて嬉しかったよ」

「でも……やっぱ……ごめん……」

 少し恥ずかしそうな、複雑な顔で、そう言うティアナが、

 レオナルドにはとても可愛く思えた。



「レオナルド。お前、俺の父上に会った事あるのか?」

「うん、確か……前に一度、剣の振り方を見せて貰った事があったかな?

 でも、良くは覚えてない……」


「テイラーに勝ったと言うのは、貴方様でしたか……」

「〝貴方様〟?何を言っておられるのです?どうされたのですか父上?」

「黙りなさいテイラー……このお方の御祖父様は、大公爵(たいこうしゃく)なのだぞ……

 王同等……か、それ以上…なのだ……」

「もちろん、剣神様の事は、よく存じております。

 しかし……レオナルド……お前本当に剣神様の孫なのか……」

「〝レオナルド様〟だ、テイラー」

「いえ、学友ですから、呼び捨てで構いませんよ?

 その方が話しやすいですし……

 様とか付けられるのは好みません。

 それに、王同等とか言われても……自分達の事とは……

 山奥で暮らしていた時は、平民暮らしそのものでしたから……」

「そ……そうですか……おっといけない……

 私は所用がございますので、これにて……」

 サルザルは逃げる様に帰っていった。



「あっ……レ、レオナルド……さ……ま……」

「ハハハ……だから呼び捨てで良いって……

 良かったら〝レオ〟って呼んでよ」

「そ、そうか?助かる……俺も、なんか話しづらくてな……

 なあ、レオ。お前、俺の父上と何があったんだ?」

「何も?レストランで、ちょと話しただけだよ?」

「……あの父上の態度……何かあったとしか思えないんだが……

 まあいいや……それにしても、レオは本当に剣神様の孫だったんだな」

「そうだけど……正確には、養子縁組した息子なんだ僕。

 2人が皆んなに、僕を孫って紹介するから、そう言う事にしてるんだ」

「……そうなのか……じゃあ血の繋がりはないのか?

 ……でも、剣神様に剣を習っていたんだろ?

 俺、昔から剣神様に憧れててさ……

 剣神様が出てくる本とか良く読んでてな……

 その孫とか……お前が凄く羨ましいよ」

「テイラーだって……あっ、呼び捨てで良いよね?」

「ああ、もちろん」

「テイラーだって、剣王って呼ばれているお父さんが居るじゃない」

「あの人は…… もはや剣王と呼ばれる様な動きは出来ない……

 あの腹見て分かるだろ?剣神様とは違う……」

「〝剣神様とは違う〟って、何で、じいちゃんの事、そう思うの?会った事ないんでしょ?」

「かなり前の事なんだが、父の弟子が、サンドラの山奥で道に迷った事があってな……

 その時、偶然、剣神様に出会って、色々お世話になったんだと。

 せっかくなんで、一度手合わせをお願いして、その規格外の強さに驚き、

 少しの間ではあったが、手解(てほど)きを受けたんだそうだ」

「あっ……いつだったか、暫くうちに滞在して、

 じいちゃんと稽古してた人が居たかも?

 ……でもテイラーのお父さんは、その事知らないんじゃない?

 じいちゃんが未だ生きてる事に、驚いていたみたいだけど?

 そのお弟子さんが、じいちゃんに会った事は、話してないんだ?」

「ああ、父上はプライドが高く、

 自分の弟子が、他の誰かに剣を習ったりするのを、嫌うからな……話してないんだよ。

 その弟子の人は、俺が剣神様に憧れてるのを知ってるから、内緒で話してくれたんだよ」

「そうなんだ」

「俺も一度でいいから、剣神様に教えを乞いたいな……」

「だったら僕、ばあちゃんに呼ばれていて、

 今度の休みの日に行かなきゃなんないから、その時一緒に来る?」

「本当か?俺が、ついて行って良いのか?もしかして剣神様にもお会い出来る?」

「もちろん。その時テイラーの剣を見て貰えば?」

「見てくれるかな?」

「テイラーは僕の友達だもの、大丈夫だよ」

「……友達?俺、レオに嫌な思いさせたりしたんじゃないか?

 なのに友達で良いのか?」

「?僕、学園で1番話をしたのは、テイラーだよ?だからもう友達でしょ?」

「そう言ってくれるのか?ありがとう……うん……確かに友達だな……

 で、父上に、帰るのはいつ頃だって言っとけばいい?

 学園にも休暇届出さなきゃだぞ?」

「ん?朝行って、その日の内に、帰るつもりだけど……

 もしかして、泊まりで、じいちゃんに剣見てもらいたいの?」

「いや、そう言う訳じゃ……だけど……サンドラの山奥なんだろ?

 こう言っちゃあ何だけど、遠く離れた秘境だろ?

 行って帰ってくるだけで、何日も掛かるんじゃないか?」

「ああその事か……大丈夫。転移の魔法陣あるから、一瞬だよ?」

「……まじですか?……やはりレオナルド様とお呼びしましょうか……」

「プッ!面白いな?テイラーは」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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