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第14話 分かったわよ……大人になったらね……

「……と言う事で、彼に剣の決闘を申し込みます」

「……決闘?いきなり?何それ?物騒じゃない?」

「いや、レオナルド。別に殺し合いをする訳ではないよ。

 この学園では、筆記の成績もじゃが、実技の実力に、順位を付ける様になっておってな。

 それが、卒業後の進路に、大きく影響するんじゃよ。

 剣や魔法にも実技試験があるんじゃが……レオも編入試験でやったじゃろ?

 その実技試験の成績の他に、順位の下の者が、上の者に挑戦する事が出来る制度があってな。

 それを〝決闘を申し込む〟と言うんじゃよ」

「でも僕は、まだ順位が付いていませんよ?」

「それもそうじゃの?テイラー。レオナルドはこう言っておるが?」

「いえ、僕は全校1位ですから。彼が勝ったら一位の座を譲りますよ」

「学年1位ではなくて、1年生なのに、6学年上の者も合わせて1位と?」

「クロニカル園長。テイラーは、先日から話題に上がっている剣の天才です」

「この子が……お父上のサルザル公爵は、確か剣の天才と言われ、

 剣王の称号を持っておったな。

 その子供は、更に天才だと?面白い、ならばわしも見てみたくなったな」

「彼の本当の力が分かると言うものでしょ?」

 テイラーは、ニヤニヤと、見下した笑いでレオナルドを見ていた。

「随分自信がある様じゃな?レオナルドもそれで良いか?」

「いえ、辞退します」

「はっ、自信がなくて逃げるのか?剣神の孫とか嘘なんだろ?」

「めんどくさいな……君がどう思うと良いよ……」



「やっぱりな……胡散臭いと思ったよ」

「あんなチビが騎士隊を全滅させたとか……尾鰭(おひれ)がついたとしても、変だと思ったよ」

「おれ、あいつがティアナ嬢の専任の護衛に着くって聞いたけど、

 クリスティー公爵家も何を考えているんだか?」

「俺の聞いた噂は、護衛というのはカモフラージュで、婚約するとか……」

「嘘?ティアナ嬢、血迷ったのか?」


「あれ?もしかして僕じゃなくて、ティアナがデスられてる?」

 ティアナは真っ赤な顔で、下を向いて震えていた。

「レオナルドよ。挑戦されたら受けねばならんのだよ」

「えっ?拒否権は無いのですか?」

「順位が10以上離れておれば、拒否出来るが、この場合どうじゃろうな?」

「しかもあの人、全校1位なんでしょ?下の者が上の者にって聞いたけど?

 そもそも逆ですよ?……あり……なのですか?」

「おお、それもそうじゃな……どうする。お前さえ良ければ、特別許可するが?」

「そうですね……面倒なんで拒否したいところですが……

 ティアナが悲しそうにしているから……」

「レオ!そんな奴、やっちゃえ!」

「全然悲しそうじゃなかった……メチャ怒ってる……」

 ツカツカとレオナルドに近づき耳元でそっと……

「あの半笑い、超ムカつく……

 あの人、何度も断ってるのに、しつこく婚約申し込んでくるのよ?

 性格悪くて嫌い……やっちゃえレオ」

「めんどくさいんだけどな……」

「バカにされてるのよ?やって!」

「分かったよ……そんじゃあ、大人になったら……」

 手を自分の胸に当て、ムニムニするレオナルド。

「わ……分かったわよ……大人になったらね……」

「園長先生。やりますっ!!」

「……レオ……鼻の穴、広がってる……」



 〝ピシュピシュッ〟

「テイラーの剣筋、全く見えない」

「なんて早いんだ……」

 〝ブン……ブンッ〟

「何だあれ?身体がぶれたかと思ったら瞬間に2〜3m移動してるぞ?」

「とんでもない動きだな?あれだろ?1年生にして最上級生、

 剣技No1のパトリックに勝ったって言うのは」

「入学して半年足らずで、30人以上に挑戦して、ことごとく勝ったって天才だよな?」



「レオナルド君。君は準備運動いらないのかね?」

「はい……いつでも良いです……」

 全くやる気のなさそうな顔をして、頭をポリポリ掻いている。

「おっぱいおっぱい……ティアナのおっぱい……」

「ん?何かね?」

「……何でもありません……」

「うっ……レオってば、ニヤニヤして……あんなんで勝てるのかしら?」



 〝では、構えて……始め!〟

 〝ビュンビュンビュンビュン……〟

 〝カンカンカン……キンキンキン……〟

「は、早い!あいつ防戦一方だな……」

「いや違う……ないか余裕でかわしてないか?

 必死の形相なら分かるが、全くやる気のない顔で欠伸(あくび)までしてるぞ……」


 〝ハアハアハア……〟

「あれ?息切れ?もう終わり?」

「ふ……ふざけるな!まだまだ俺のスピードは、こんなもんじゃじゃないぞ!」

「そなんだ……凄い凄い……」

「くっ……舐めやがって……見よ!このスピード!」

 3m横に移動する。今度はぶれるどころか、

 見ている皆んなには、動きが全く見えなかった。しかし……


「ウワッ!」

 だが驚いたのは、レオナルドではなくテイラーの方だった。

 渾身のスピードで動いたにも拘らず、移動した先にレオナルドが居たからだ。

 気付けば首先に剣を突きつけられていた。

 剣をスッと下ろすと、次の瞬間にレオナルドは、テイラーの後ろに立っている。

 まるで瞬間移動しているかの様な動きだった。

 テイラーの後頭部を〝コツン……〟

「いてててて……」

 しゃがみ込むテイラー。

「うん、今の手加減は完璧……」


「それ迄!勝者レオナルド」

 振り返ると、ティアナが顔を真っ赤に染めながら、ウンウン頷いていた。

「おっぱい……早く大っきくなんないかな……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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