2-4:月曜日4
「うー」
おれは唸っていた。
「どうした?」
「何書いているのか、よくわからない」
「あんた、やる気はあるのか?」
ないですけど。
「……あるにはありますよ」
「あのな、文章の書き方にはいくつか方法がある。それを少し教えよう」
「書き方?」
「1つは対比だ」
「対比?」
「2つのものを比べる方法だ。例えば、自然と人工物、科学と宗教、愛とお金、とかがある」
ほぉ。
「それで2つのものを比べて違いを書いていくのだ。例えば、自然は体にいいが人工物は体に悪い、とか」
なるほど。
「それがいたるところにある」
「なんとなくわかります」
「なんとなくではダメだ。しっかり意識しないと」
はぁ。
「なんか、期待はずれだなぁ」
「はぁ?」
おれは少しイラっとした。
「どういうことだ?」
「もっとすごいやつかと思ったが、思ったよりすごくない」
「勝手に期待して、勝手に失望しないで!」
「おっ、今のは綺麗な対比だな。期待と失望で」
「恥ずかしいわ!」
イライラとした。
「では、次のステージ」
いらんいらん。
「大学の数学って、なに?」
おれは目が点になった。
「はっきり言うけど、高校までの数学と大学からの数学は全く違うから」
彼女はそういうが。
「おれ、高校の数学もよくわからないから」
「では、言い変えよう、中学までの数学と高校からの数学は全く違うだろ?」
「それはなんとなくわかります」
「それと同じように、高校までの数学と大学からの数学は全く違う」
なるほど。
「言いたいことは分かりました」
「ちなみに、今のも対比だ」
はいはい、わかりましたよ。
「それで、大学の数学はどんなものなのですか?」
「知らない」
知らないのかい!
「どうして?」
「大学は文系だったんだ。すまんな」
今頃だけど、こいつ高校や大学に行っていたのか?
「では、どうする」
「――英語いこう」
――おい。