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8/40

2-3:月曜日3

――

「次は英語だな」

1時間後に、彼女は言った。

「まだやるの?」

おれは数学で頭も指も痛くなっていた。

「何をしようか?」

「文法がよくわからん」

おれは何を血迷ったのか、リクエストしてしまった。

「よしきた」

よくないし、来ないで。


「うーん」

おれはまた頭を悩ませていた。

「どうした?」

「また間違えた」

「何を間違えたんだ?」

「なんか、未来形にする必要がないらしい」

おれは英文法の問題を見せた。

「ふーん」

「この、時と条件を表す副詞節のなかの未来形は現在形で表す、のがよくわからない」

「あぁ、それか」

「わかるの?」

「あぁ。わかるよ」

「説明して」

「長くなるよ」

 宇宙空間に彷徨うような長さを予想した。

「……じゃあ、やめようかな」

「なぜこうなるかと言ったら」

「拒否権ないのかよ!」

「まず、未来形の説明からしないと」

聞いちゃいねぇ。

「そもそも、時間の概念に未来というものはない」

……そうなの?

「時間の概念にあるのは現代と過去だけ。どちらも現実にあること、またはあったことを表している」

ふむふむ。

「一方で、未来形と言われているものは、正確に言うと未来を表す表現と紹介されていて、その本当の意味は現実にはないことを想像しているだけだ。例えば、国語の文法で言うところの推量だ。そもそも、国語の文法で過去とかあっても未来は存在しなかったから、そこで気づくべきだった」

そう言われてみれば、そんな気もする。

「とりあえず、未来形として僕たちが習ったことは、未来のことを言っているのではなく、想像しているだけだ。現実ではどうかは知らないが、未来にこういうことが起こるかもしれないと想像しているだけだ」

うーん?

「それで先ほどの話に戻るが、時と条件を表す副詞節のなかの未来形は現在形で表す、という問題だな」

「は、はい」

「時と条件を表す副詞節というものは、現実ではなく想像したことを表しているんだ。それ自体が、未来形と同じ意味合いになるんだ」

ふむ。

「そうなると、同じ意味のものは2つも要らないということになり、未来形は要らないから現在形になる、ということだ」

「なるほど」

「わかったか」

「わかったような、わからないような」

 俺の思考は宇宙空間に彷徨っていた。

「僕の説明が悪かったのかな」

「いや、たぶん俺の理解する力が足りないのだ」

しゅんと気落ちした彼女をおれは慰めようとした。

「そうか。そういう考えもあるか」

「そうだ。そういう考えもある」

「次は国語だ」

「――どういう考え?」


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