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2-2:月曜日2

「まずは数学からだ」

どこから持ってきたのか、高校数学の問題集を広げた。

「おいおい、まじかよ」

「どの問題する?」

「そうだな。この問題かな」

適当に開いたページでは、図形と方程式がどうのこうのと書かれていた。


「うーん」

俺は頭を抱えていた。

「あんた、手が止まっているぞ」

彼女に指摘された。

「わからない」

俺はシャーペンでノートにグルグル巻きの渦を書きなぐっていいた。

「何がわからないのだ?」

「いや、内分とか外分の点座標がわからない。この公式忘れた」

 該当が増えてからの月の存在を忘れた気分だった。

「ふーん。たしかに覚えにくいな」

「こんなややこしい公式覚えられるか!いや、覚えてないからややこしいかどうかもわからないけどな!」

 月にうさぎが餅をついているのかどうかくらいわからなかった。

「たしかに一理ある」

「な?そうだろ?そもそも暗記科目かって話だろ?社会じゃあるまいし」

「そっか。では、証明したらどうだ?」

「……はい?」

俺は問題集から彼女の顔へ目線を移した。

「公式を証明したらいいではないか?」

「何言っているの?」

「だから、忘れた公式を作ればいいだろ?」

何を言っているんだ?俺は創造主じゃねぇぞ。

「どうやってつくればいいんだよ?」

「あんた、そんなことも知らないのか」

「そ、そんなこと?」

 三日月が頭に刺さったかのように傷ついた。

「こんなのベクトル使えば終わりだ」

「ベクトル?」

「そうだ。習ってないのか?」

「一応習ったけど、ここはベクトルの問題ではないが?」

「あぁ、なるほど。その程度の頭か」

カチン。

「はぁ、どういうことだ?」

「見てろ」

そういうと、彼女は俺のシャーペンを勝手に奪ってノートに黒鉛を滑らしていた。スラスラとアイススケートのように動くシャーペンに魅了されながら、ノートに刻まれるものを眺めていた。

「はい、終わり」

彼女の持つシャーペンは公演時間を終えて倒れた。

「ベクトルのマークですね」

「だから言っただろ、ベクトルで解けるって。ほら、答えも合っているはず」

俺は別冊の答えを確認した。正解だ。

「正解です」

「だろ?この手の問題はベクトルで解けるんだ」

「知らなかったです」

「教えてやろう」

いや、別に教えてとは一言も……


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