表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

2-1:月曜日1

2:月曜日



彼女は橙色のミディアムに、白のニットと赤いフレアスカート、丸顔にふくよかな体型、太陽のような雰囲気の女性だった。

しかし、たまに見せる影のある表情は月のようだった。

「おっす。あんたがポンコツさんか」

「あなたは?」

「おっす。僕はあんたに興味を持ってもらいたいんだ」

快活。

「興味をですか?」

「そうだ。あんた、物事に興味がないんだろ?」

「そうですね。あなたにも興味がない」

「え?ぼく?」

彼女は真顔になった。

顔が太陽のように真っ赤になった。

「違う。断じて違う」

熱烈に否定してきた。

「何が違うのです?」

「ぼ、僕は君に好かれようとしているのではないのだ」

「それは残念だ」

俺はニヤリとした。

「あ、あんた、からかったな」

「ああ、そうだ。一泡吹かせたくなってな」

「そうか。あんたにも欲望があって嬉しいぞ」

 彼女は月夜のような笑み。

「どういうことだ?」

「僕はいろいろなものが欲しい。それをあんたにもわかってほしいのだ」

彼女は月を引き込むかのごとく両手を広げて言う。

「何を言っているのだ?」

「僕はなんでも欲しい。周りからは物欲の塊と言われているが、知ったことか。女性はもっとおしとやかである時代は終わったんだ」

ハイカラさんじゃあるまいし。

「意外とがめついのですね」

「そうだ。物欲は大切だ。強欲なくらいがちょうどいい。それが人の生きる活力だ」

 夜中に光る月のように輝いていた。

「そんなものですかね?」

「どういうことだ?」

「俺は思うのです。『1つの物欲は多くの苦労によって帳消しされる』と」

彼女は、ほー、という顔。

「それは面白い考え方だ。ぜひご教授おねがいしたい」

彼女は知識欲で目を月光のようにキラキラさせた。

「俺の考えに興味があるのか?」

「なんでもほしい性分なのだ」

「それは珍しい人だ」

「珍しいものはなんでも欲しいのだ」

 かつての月の石も欲しいのかな?

「それはすごいと思うが、俺の考え方は別に珍しくもないしすごくもない」

「珍しいかどうかは僕が決める。あんたは話せばいいのだ」

知識欲がぐいっとくる。

「モノが欲しいという欲望を持ったら、それを手に入れるためにいろいろとする必要がある。お金や人や技術が必要だ。一方で我慢するにも大変だ。むしろ、我慢することの方が大変かも知れない。それだけだ」

「つまらぬ」

バッサリとナタで切られた気分だ。

「え?」

「取るに足らぬ考え方だ。よくそんな考え方を僕の前で言おうとしたな」

「いや、あなたが言えと言ったのだろ?」

「人のせいにするな」

こいつ、なんだよ。

「そもそも、そんなこと当たり前だろ」

「当たり前と言われても」

「そういうものは、今まで努力してこなかった者が言うことだ」

俺は耳が痛かった。

「自分なりにはしてきたつもりだが」

「そう言うやつに限って大した努力はしていない」

心が痛かった。

「あんたは努力してきたのか?」

「してきたが、それがどうした」

「では、なにをどう努力したのか見せてもらってもいいですか?」

「では、高校の勉強を教えよう」

あいたたた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ