1-4:日曜日4
「あーし、すごいっしょ」
「すごいよ。すごいけど」
「すごいけど?」
「すごいところが違うー!」
彼女はゴリラのようなウニのような全身毛むくじゃらの何かになっていた。なぜ?そんなにゴミはなかったと思うが。
「ちょー、なにが違うのー?運動すごかったっしょ」
「それよりも、全身のゴミは……」
「あー、オシャレっしょ」
気づいていたのかよ!
「オシャレ……ですか」
「あれー、文句ある感じー?」
威圧。
「文句はないけど……」
「文句はないけどー?何かなー?」
顔を近づけてきた。
「あんた、意外と苦労してそうだなーって」
彼女は太陽のように目を丸くした。
「……ぷっ。くくく、なーに言ってるの?」
「いやな、普通、そんなにゴミついていたら、怒るとかあると思うけど、そうじゃなくて前向きだなー、と思って」
そう、太陽のように明るかった。
「そーよ。あーし、前向きっしょ」
「それに、運動ができるなんて、真面目だなーっと」
「そーっしょ、そーっしょ、すごいっしょ」
「それで自分を傲慢というんだから、すごいなー」
「んー?どゆこと?」
「傲慢であることを説得させるために、心身ともに努力しているなぁー、と思って」
「なにそれー。うけるー」
笑うが。
「そうやって、苦労していることを見せないところはなぜですか?」
「はははー。何言っているんだか」
「何って」
「まぁ、傲慢に生きることも大変だよーたしかに」
「……」
「まっ、あーし程ではなくても、少しは傲慢になったほうがいいよ、あーたは」
そう言って、ゴミクズだらけのまま去っていった。
少しかっこよく見えた。
『1つの傲慢は多くの苦労によって帳消しされる』のは事実だが、そういう生き方もありかなぁ、と思った。