表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/40

8-5:ある木曜日

〇ある木曜日


 木曜日、それは奴が来る日だ。

 見てくれはいいが、それ以外がとにかく残念なやつ。第一印象が悪いが接しているうちに印象が良くなるとは別に、第一印象がいいが接しているうちに印象が悪くなる奴だ。千年の恋も冷める出来事か。

「俺、お前にまっとうな恋愛感を持って欲しいんだぜ」

 意地悪な笑顔。

「そうは言っても、恋愛に関してはピンと来ないです」

「そんなかなしいこと言うなよ。俺はお前のことが心配なんだぜ」

「そうかもしれないですけど」

「なんなら、俺と恋愛してみるか?」

「それは結構です」

「ひゃーははは。振られてしまった」

 相変わらず馬鹿笑い。

「というか、あんた」

「なんだ?」

「どうして髪型や服装が変わっているのだ?」

髪は下に下ろして、服装もゆるふわ系になっていた。

「なーによ。お前みたいな童貞はこういう格好の方が好きなんだろ?」

「知らないよ。なんの情報だよ」

「へへ、照れない照れない」

「照れてねえよ。というか、お前が照れてないか?」

「なっ?どこが?」

 彼女は根元から切られたようによろめいていた。

「いや、今のリアクションがそうだろ?」

「て、ててて、照れてねぇよ」

「いや、無理するなよ。慣れないことをするからだ」

「う、うっさい」

「そもそも、どうしてそんな格好で来るんだ?いつもどおりでいいだろ?」

「そ、それは」

「それともあれか?いつもイメチェンするのか」

「そ、そそそ、それ。いつものことだ」

「ふーん。色々と大変なんだな」

「へへ」

 祝い時の花束のように嬉しそうな顔しているが。

「って、そんなわけないだろ!」

 薪割りのような鋭い勢いになった。

「なっ。急にどうした?」

「お前、誰かに恋しているだろ?」

「はひ?」

 草笛のような高い声を出していた。

「だから、イメチェンして、その人に好かれようとする。そうだろ」

「お、おおお、おい」

「それは別にいいけど、それに俺を巻き込むな。俺はそういうことはわからないのだ」

「お、おう、わかった」

「じゃあ、今度からいつもの格好な。無理するな。似合わないぞ」

「おう」

彼女もただの恋する乙女か。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ