表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/40

8-3:ある火曜日

・ある火曜日


火曜日の人は、来ていた。

嫉妬深い動画配信者は、あれからも動画配信をしていたらしい。

「そちらは上達したのか?」

「なぜ俺も動画配信をすることになっている?」

 燃え移る炎のように巻き添えを食らっていた。

「この前一緒にしただろ?」

「だからといって、俺は続けるとは言っていないぞ」

「そちらの都合は聞いていない。こちらの事情を聴いて欲しいのだ」

「いや、あんたが動画配信するのは別にいいけど、それに俺を巻きこむな。自分1人でどうにかしろよ」

「巻き込んでいない。天才の力を借りたいのだ」

「まだ天才というか」

 燃えかすが残っている感じの長いやりとり。

「しかし、実際の話、動画配信に関してはそちらのほうが才能が有るぞ」

「いや、お前のほうがヒドすぎるだけだろ。なんだよこの動画、ピンボケしているし文字と音楽がタイミングがバラバラだぞ」

「いやー面目ない」

「というか、動画配信2日前に止まっていない?」

「いやー、1日止めたら、やる気がなくなって」

 燃え尽き症候群?

「毎日するのが大切と言っていたのに?」

「ほんと、毎日する動画配信者はすごいね」

「いや、あんたは再開しないのか?」

「うーん、やっぱり、こちらは動画配信の才能がないみたいだ」

 てへへっと笑顔で諦めた表情。

「ちょっと待てよ、あんた」

「?」

「あんた、ここで諦めていいのかよ?」

「でも、才能がないのがわかったんだし」

「いや、あんた、これは才能というよりは努力がないでしょ」

「そんなことは……」

「ある!」

「?」

 彼女の目に火花をつけた。

「あんた、嫉妬するのはいいけど、たぶんいつも諦めるのが早いでしょ?」

「そんなことはないと思うぞ」

「いや、諦めるのが早い。色々と表面的なところをかじってすぐに辞めるのは、諦めぐせがある人の特徴だ」

 俺の感情が熱くなってきた。

「そうなのか?」

「あんた、天才に嫉妬しているのだはなく、努力できる人に嫉妬しているのではないのか?」

「努力?」

「そうだ。実際、俺がすぐに動画編集などを上手にしていることとかにあまり嫉妬しているようには見えなかった」

「……」

「だから、とりあえず努力してみたら?才能がなくても続けてみたら。それがあんたにとって大切なことじゃないのか?」

 俺は勝手に燃え上がっていた。

「本当にそう思うか?」

「そう思う」

「そうか。わかった。そちらの言うとおり、続けてみようと思う」

彼女の切り替えの速さは、切り替えが遅い俺からしたら嫉妬するに値する。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ