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7-5:土曜日5


ゲームが起動した。

「このゲームの面白いところはな」

「練習モードを1人で楽しむのか」

「そうや。そしてアイテム置いて」

「緑甲羅4つか」

「そして、連続技で」

画面では、連続技を無限に打ち込むサンドバック状態。

「なにこれ?」

「おもろいやろ。バグ技や」

彼女は子供のようにニーっと無邪気に笑う。

「たしかに面白いな」

「やろ?やろ?!」

俺の食いつきに彼女は食いついた。

「こんなの初めて知った」

「じきにカンストするでー」

ダメージがカンストした。

「すごいな」

「そうなるとな、軽い攻撃でも結構吹っ飛ぶで」

キャラクターは軽いパンチでふわーっと飛んでいった。乾燥した砂埃みたいに軽く飛んでいった。

「でも、ギリギリ落ないんだね」

「そうやで。だから」

「?」

キャラクターは強力な技でロケットのように吹き飛んだ。

「一・撃・必・殺」

「無慈悲!」

彼女はケラケラ笑っていた。

「よう飛ぶやろ?」

「やり過ぎだろ」

「でも、いたぶるよりは相手も楽やろ?」

「そうかもしれないけど」

「それだけちゃうで」

と、今度は赤甲羅4つを置く。

「今度は赤甲羅?」

「今度は、強力な単発技を」

キャラクターが吹っ飛んだ。

「はい??」

俺は意味がわからなかった。

「すごいやろ!」

「なにかすごいことが起きたことだけは分かりました。が、何が起きたのですか?」

「すごいやろ。これもバグ技や」

「さっきと同じですか?」

「緑甲羅の時は1ダメージの連続技でのバグ。赤甲羅の時は大ダメージの単発技でのバグ。どっちもすごいやろ」

 彼女はゲラゲラ笑った。

「たしかにすごいですね」

「それから、こっちのゲームは」

「まだあるのか?」

ソフトを変える彼女の背中に向かって言った。

「まだあるでー。最初にしたレースゲーム」

「あぁ、ショートカットだろ。それくらい俺でも知っている」


「――おぉー、すっげー!そんなショートカットあるのか!」

「すごいやろ!ほな、このショートカットはどうや?」

「すげー。そんなこともできるのか!」

「さらに、ほら」

「おいー。まじかー、やっべー!」

俺は見たことのないプレー。

「やろー?ユーチューブにも無いプレーやで」

「だったら動画をあげたらいいんじゃないか?」

「いややわー」

「なぜですか?」

「めんどくさいからや」

 そっか、こいつ、自分で言っていたな。

「怠け者ですね」

「だから、そうやと言ったやんか」

「そういえば言っていましたね」

「そやでー。代わりにやっといてー」

「いや、俺も面倒くさいから」

「そっかー。兄ちゃんも怠け者やからな」


俺が言うのもなんだが、この2人の前では『1つの努力は多くの苦労で帳消しされる』かどうかはわからなかった。


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