1-2:日曜日2
「ちょー、ごめんって言ってんじゃん」
あぐらをかきながら謝っているようには見えない彼女を、俺は目の充血と内ももの内出血を感じながら睨んだ。
「ってめぇ、加減というものを知らないのかっ」
「んー知らないしー、ぶっちゃけあーしのせい?」
不遜な態度。
「お前のせい以外何があるんだよ!」
「ぶっちゃけ、あーたが硬いからっしょ。それくらいで痛めるなんて。普通、頭つくっしょ、普通」
ぶっちゃけるなよ。
「だーかーら、できないんだって」
「ふーん。できない子かー」
言い方よ。
「――それで、いつになったら離してくれるの?」
「はぁー、離すわけないっしょ」
そういうと、俺の足を三角座りの形にして両手両足でロックしてきた。
「なっ、なにを?」
「腹筋っしょ。ほれほれ」
彼女は俺のデコを力いっぱいツッパリをかましてきた。俺は後頭部強打。
「がっ!」
「ほれほれ、早く」
「何するんだ!?」
「はい、いーち」
俺が上体を起こして凄むとカウント。
「なにが、いーち、だ。カウントするな」
「はいはい」
再び額にツッパリ。後頭部強打。
「っ!」
「……」
「だから、何するんだよ」
「にー」
マイペースにカウント。
「無視するな。カウントするな。腹筋させ……」
再度後頭部強打。
「いいかげんにしろ!」
「さーん」
聞く耳持たない。
なんだこのやりとりは?
「さんじゅうー」
そう言い終わると、足のロックは緩んだ。
「終わりか?」
俺は腹筋を震わせながら聞いた。
「次は背筋」
聞くんじゃなかった。
「――さんじゅうー」
直ぐに終わった。腹筋に比べたら、背筋は楽だった。
「もういいだろ?」
「次は体幹」
「はっ?」
俺は陽の下に長く居たように汗だくだった。
「ほれほれ、背筋の一番高いところで1分止まる」
「少しは休憩させ……」
「はいやるー」
「いだだだだだ!」
髪の毛を引っ張られた。
「ハゲるか体幹かどっち?」
「たいかんたいかんたいかん!」
髪の毛が痛くなくなった。