3-2:火曜日2
俺たちは、スマホをいじっていた。
「編集はどうするんだ?」
「動画はさっきのでよかったのですか?」
「わからんよ。とりあえず、そちらはすごかったよ。まさかあんな才能があったなんてこちらは驚きだよ」
俺は恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
「そ、そんなことより編集は?」
「このアプリかな?」
何かしらのアプリをインストールしたらしかった。
「俺、アプリのこともよくわからないので任せます」
「任されます。こちらもわからないですけど、やってみます、どうぞ」
「それって、任せても大丈夫なのですか?」
「こちらは任せてください、そちらはそちらのできることをしてくれたらOKです、どうぞ」
なんか無線の話し方みたいになっている。
「俺も一応は見てみる」
「どうぞ」
とはいっても、編集作業を見てもわからない。やっている本人も分かっていないから、何が何だかわからない状況だとは思う。
「これはなんだ?」
「押してみるよ」
そう言いながら彼女の指が画面をタップすると、文字入力画面が出た。
「……何を書くんだ?」
「たぶん、ユーチューブとかで見るあの文字だろ」
「あぁ、文字あったなぁ」
なんか文字を書いている。なになに?『ポンコツは……
ゴツン!
「いったー。なぜブツのだ?」
「ポンコツ書くな!」
頭にたんこぶを腫らしたかあの所と、手を赤く腫らした俺。
「わかった。でもなにを書こう?」
「ちょっと貸して」
違う文字を入力。
「ほえー」
「なんだよ」
「いや、いい文章だなーと」
彼女はこちらに視線を移しながら言った。
「そんなすごくは」
俺は頬が熱くなった。
「この方面にも才能があるのか」
「そんなにいいか?」
「うん、いいよ。うん」
彼女は冷静に頷いた。
「それよりほかの機能は?」
「次はこれ」
ボタンを押すと音楽が。
「びっくりした!」
俺たちは炎の中で飛び散ったもののようにリアクションした。
「そういえば、ユーチューブって音楽あったような気がする」
「そういえばそうだなぁ」
と俺は同意してみたが、よく見るゲーム攻略やアニメ視聴ではなかった気がする。……まぁいっか。
「それで音楽だけど、この4パターンしかないらしい」
4通り聞いたが、音楽に疎い俺には、違うなぁー、と思うくらいだった。
「たしかに4パターンだね」
「で、どれにするのだ?」
「……え?なぜ聞く」
「だって、そちらは才能あるだろ」
熱い嫉妬の目。
「なにを勝手に」
「先程から、何をやっても才能があるから」
「いやいや、そんなことはないでしょ」
「いーからいーから、早く」
「……」
俺は適当に音楽を編集した。




