曜日のはじめに
〇初めに
曜日の感覚を忘れた。
今、世の中ではウイルスが流行っており、外出自粛の要請がなされている。
外に出られない俺はユーチューブを見ているばかりだ。
まぁ、ウイルスによる外出自粛が起こる前から同じ生活を送っているわけだがな。高校を出たのはいいものも就活に失敗してからひきこもりをしている。それまではひきこもりであることに周りの目が少し痛かったが、ウイルスによる外出自粛という大義名分によって多少は気楽になった。
昔から外に出るのが嫌で、学校が長期休暇に入ると嬉しいものだった。朝から晩までテレビを見すぎて、知恵熱が出て幻覚が見えるくらいだった。それ以降、テレビを見すぎることは控えている。テレビではなくユーチューブを見ているのだ。テレビなら何曜日に何の番組があるのか分かっているので、曜日感覚は磨かれる。しかし、ユーチューブにはそれがないから、曜日なんかわかるわけがない。
高校の時の赤いジャージを常に着て暮らしている俺だが、俺はこのまま死んでしまうのだろうか?小さい時に漫画を読んで馬鹿にしていたようなひきこもりとして死んでしまうのだろうか?そういえば、キリスト教では7つの死に至る罪というものがあるらしいが、俺がこのまま死んだら何の罪に問われるのだろうか?傲慢・物欲・嫉妬・怒り・色欲・暴食・怠惰、選り取りみどりだ。
そんなことを考えながらホコリで汚れた窓を開けると、虹が架かっているのが見えた。昨日に雨が降っていたことも記憶になかった。俺はいよいよ頭がクラクラしてきた。これはウイルスのせいだろうか?
すると、窓から7つの光が蛍のように入ってきた。俺は虫のように追い出そうと手で煽ったが、それをすり抜けて凱旋した。俺はもう一度手で定めをつけた。今度は綺麗に手のひらに北斗七星のように一網打尽にした。
すると、目の前に大きな煙が沸き起こった。
そこには、7つの影が見えた。
煙が晴れた。
そこには7人が一同に並んでいた。
赤色
橙色
黄色
緑色
青色
藍色
紫色
これは夢か幻か?後から聞いた話だが、彼女たちはウイルスが擬人化したものであり、曜日ごとに俺の症状を悪化させてくるようだ。ウイルスが人間の体調を悪化させるように、こいつらは俺の悪いところを悪化させるようである。まぁ、簡単に言うと、ダメ人間教育プログラムのようなものである。