33話 装備を整えて ◆オンライン◆
一気に100万Gを手に入れた俺。
これをこのままリアルで使いたい所だけれど……。
その前に、更なる稼ぎの為の装備を整えておきたい。
そもそも装備品を買う為に、お金を貯め始めたのだし。
という訳で、その足で俺とユーノは町の武器屋に向かった。
ディニスの武器屋は町の中央広場近くにあった。
多くのプレイヤーが出入りしているので、すぐに分かる。
中は結構、広々としていて、ありとあらゆる職業に対応した装備品が陳列されていた。
さすが首都の武器屋だけあって充実しているようだ。
俺は早速、並んでいる商品の中から魔法使い用の装備品を物色する。
とはいえ、レベル制限のある装備もあるので、それを踏まえた上で一番防御力の高い防具と、一番攻撃力の高い武器を選ぶ。
そうなってくると必然的に選択すべき装備の種類は大体、決まってくる。
とういう訳で、購入したのはこれだ。
[装備]
右手武器:アイアンロッド
左手武器:なし
頭:風切りの帽子
胴:旅人のローブ
手:ソリッドグローブ
脚:ウールボトム
足:ウイングブーツ
どうしてもレベルが低いうちは個性の無い装備になってしまう。
周囲を見回すと同じような組み合わせで着ている魔法使いを良く見かける。
それでも初期装備よりは大分、マシになったと思う。
ようやく魔法使いらしくなってきた。
これで占めて10万Gちょい。
まずまずの買い物だ。
左手武器は両手武器や盾が持てない魔法使いにとっては空きになっている。
代わりに特殊効果が付与されているアクセサリー類が装備出来るらしいが、それは追々、探そうと思う。
俺の買い物はそんな所だが……。
ユーノの方はどうだろう?
彼女も一緒に、装備品を探していたはずだが……。
そう思って、その姿を見つけようと振り向いた直後だった。
「ユウト、どう? これ。いいでしょ?」
目の前でそう言ってきたのはユーノだった。
彼女は買った装備を身に付けて、俺に披露しにきたのだ。
だが、その装備というのが……ちょっと普通じゃなかった。
「な……何、それ?」
「ふふふふ、誰でも猫獣人族になれちゃう、ウェアキャット装備だにゃん」
そう言ってきた彼女の格好は、まさに猫獣人だった。
頭には猫耳、両手両足には肉球グローブとブーツ、体の装備はモコモコの毛皮がふんだんに使われ、お尻には尻尾まで生えている。
「だにゃん……て。まさかそれ……」
「買っちゃった」
「……」
俺は目が点になった。
てっきり今のレベルで最良の装備を揃えてくると思っていたから。
ウェアキャットというのは、このノインヴェルトオンラインで設定されている九つの種族の内の一つだ。
そのウェアキャット装備を身に付けると、他の種族でも猫獣人族の気分が味わえるというコスプレ装備のようなもの。
コスプレだから防御力はほぼ無いに等しく、戦闘向けと言うよりは町中で来て楽しむ装備になっている。
彼女はそれを買ってしまったらしい。
しかも、全身フルセットで。
「それって、見た目重視装備の割に結構高かった気がするけど……」
「うん、所持金、全部使っちゃった!」
「……」
なんと豪快な……。
「でも、どうするんだ? 装備を新調しないと、これから先の冒険で困るんじゃ……? やっぱ、俺の金を少し分けて……」
「いいの、いいの」
「?」
彼女は猫手を振りながら言った。
「私、ちょっと前まではゲームはやり込んでこそ正義で、極めるのが楽しみだったったんだけど、最近は少し変わったんだー」
「変わった?」
「ユウトとプレイし始めてから、この世界を一緒に楽しむことの方が大切に思えてきて……。なんか上手く言えないけど……そんな感じで……」
彼女は照れ臭そうにしている。
「それにユウトって、こういうの好きでしょ?」
「え……」
ユーノは改めてポーズを決めてみせた。
確かに俺は猫耳少女に目がない。
でも、なんで俺の趣向を知ってんだ??
そうでなくても微妙に露出度が高い装備なので、目のやり場に困ってしまう。
「ま、まあ……確かに」
「ふふ」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ユウトも新しい装備、似合ってるよ」
「お、おう」
そう言われると、俺も妙に照れ臭くなった。
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