32話 換金しよう ◆オンライン◆
ネームドモンスターの前で陣取っていた迷惑プレイヤーを撃退したら、見慣れぬアイテムが手に入った。
「ダイヤモンド鉱石……? いかにも高価そうなアイテムだけど、これって……」
すると傍にいたユーノが目を見張るのが分かった。
「それだよ! 私が言ってたレアアイテムってやつ」
「なるほど」
これがネームドモンスターが落とすっていうアイテムか。
聞くところによると、グリッターゴーレムってのは鉱石の塊みたいな体をしているみたいだから、こういうアイテムなのかもな。
「ってことは……あいつらが所持していたものを奪ったって感じか。しかも十個」
「じゅっ……じゅじゅ、十個!?」
ユーノは驚嘆の声を上げた。
「一個でも相当価値があるのに……それが十個!?」
「ああ、十個だな。それだけ、あいつらがしこたま貯め込んでいたってことだろ」
「ほへー……」
これはこのまま貰っちゃっても平気だよな。
俺がPvPで勝ち取ったわけだし。
それにあそこでモンスターの湧き待ちをしているパーティの皆さんは、このアイテムが目的な訳じゃなくて、討伐そのものが目的らしいから問題無いだろう。
「ていうか、俺達ってパーティ組んでる状態だから、ユーノもドロップアイテムを貰えてるんじゃないか?」
そこで彼女は首を横に振った。
「ううん……私の方には何も入ってないよ……」
「え……」
なんで俺だけ?
まあ、それなら後で彼女にもお裾分けしよう。
さて、このPvPで得たものはそれだけじゃない。
お金もそこそこ手に入ったが、経験値もかなり入った。
そのお陰でレベルアップしたのだ。
ちなみにユーノは現状維持。
恐らく俺の方がレベルが低いので、必要経験値の上げ幅が少ない為だろう。
というわけで、自分のステータスを確認してみた。
[ステータス]
名前:ユウト 種族:ヒューマン
LV:9 職業:魔法使い
HP:531/531 MP:729/729
物理攻撃:348 物理防御:399
魔法攻撃:603 魔法防御:587
敏捷:391 器用:404
知識:452
[魔法]
ファイア〈火属性〉 Lv.6
クロスファイア〈火属性 全体攻撃〉LV.3
ヘルファイア〈火属性 グループ全体攻撃〉Lv.2
アイススピア〈氷属性〉Lv.3
サンダー〈雷属性〉Lv.3
ロックバイト〈土属性〉Lv.3
アースクエイク〈土属性 全体攻撃〉Lv.2
プロテクト〈土属性 付与〉Lv.1
ダークマター・アブゾーブ〈闇属性〉Lv.1
[スキル]
鈍化 Lv.4
駿足 Lv.3
不可視 Lv.2
隠密 Lv.2
絶対詠唱〈パッシブ〉 Lv.1
ファストスペル〈パッシブ〉 Lv.3
オートヒール〈パッシブ〉 LV.2
オートマジックヒール〈パッシブ〉 LV.2
いつものように基本ステータスが全体的にアップした模様。
魔法やスキルのレベルについては全てがアップしたわけではない。
多分、使用頻度の高いものがレベルアップするようだ。
やたらとファイアだけが上がり続けているのもそのせいだろう
新しい魔法はダークマター・アブゾーブが増えた。
闇属性魔法らしい。
これって暗黒魔導師にジョブチェンジしないと覚えられない魔法じゃなかったっけ……?
[ダークマター・アブゾーブ]
空間にブラックホールを生成し、ありとあらゆるものを異空間へと葬り去る。
説明を見るとそれしか書いていない。
非常にシンプルで分かり易いが、いまいち詳細が不明。
とにかく、レベル9で覚えるような魔法じゃないことは確かだ。
他に増えたのは絶対詠唱のスキル。
これもあんまり聞き慣れないスキルだが……。
[絶対詠唱]
魔法詠唱中に攻撃されても詠唱をキャンセルされない。
全ての中断攻撃を無効にする。但し、自身でのキャンセルは可。
唱えた魔法は絶対に発動するってことか。
なるほど、これは便利そうだ。
後はいつの間にかファストスペルがパッシブスキルに変わってる。
進化したのだろうか?
何はともあれ、これでスロットが一つ空いた。
代わりに隠密スキルを入れておこう。
という訳で、今回も順調に育っているようだった。
「ともかく目的のものは手に入ったし、帰ろうか」
「そうだね」
「町へ戻ったら、早速このアイテムを道具屋に売って換金しよう。そうしたら、半分ユーノに渡せるし」
「えっ、それは悪いよ。私、何もしてないし」
「パーティなんだから、やっぱり均等に山分けかな……なんて思ったんだけど。この場所を教えてくれたのもユーノだしさ」
「じゃあ、アレで貰おうっかな……」
ユーノは急に頬を染めて、モジモジとし始めた。
「アレって……?」
「リアルでデートして」
「え……」
俺の人生には全く無縁の単語だったので、何のことだか一瞬理解が遅れた。
「デートって、あのデートのこと?」
「そう、そのデート」
「それは構わないけど……」
「やったー!」
ユーノは子供のように、はしゃいで飛び跳ねた。
「そんなんでいいのか?」
「うん」
俺からしたら、ここの所、毎日一緒に下校してたから、それがデートっぽくもあると勝手に思っていたが……。
どうやらそれはデートとは言わないようだ。
「でも……実際に何をするんだ?」
「一緒に遊んだり、ショッピングしたり、ご飯食べたりとか、そんな感じ」
「ほう……」
デート経験が皆無なので良く分からないが、ラブコメ漫画やアニメに出てくるようなデートシーンを参考にすればいいのだろうか?
「じゃあ今度の日曜日でいい?」
「ああ」
「楽しみだね」
「うむ……」
という訳で――、
デートに関してはそれで決まり。
俺達は、その場にいたプレイヤー達から感謝の言葉を受けながらダンジョンを後にした。
◇
――一時間後。
俺とユーノはディニスの町へ戻って来ていた。
町に到着するや否や、すぐに道具屋に駆け込む。
ダイヤモンド鉱石×10を換金する為だ。
すると道具屋の主人が刮目しながら、
「こいつを一度にこんなに持ってきた奴は初めてだ」
みたいな事を言って、金貨の入った革袋をカウンターの上に山積みにしてきた。
そしてこう付け加える。
「全部で100万Gだ」
「……」
俺は即座に頭の中で、リアルの財布が札束でパンパンに膨れ上がっている姿を想像してしまった。
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