28話 ドデカい獲物 ◆オンライン◆
その日の夜、ノインヴェルトにログインした途端――、
『パラッパッパッパー』
レベルアップした!
恐らく、昼間に不良達を痛めつけて屈服させたことで、ある程度の経験値が入ったらしい。
しかし、前は鳴らなかったファンファーレが、今度はなんで鳴った??
ともあれ、些細な事だ。今は置いておこう。
とりあえず、ステータスのチェックだ。
[ステータス]
名前:ユウト 種族:ヒューマン
LV:8 職業:魔法使い
HP:450/450 MP:680/680
物理攻撃:285 物理防御:305
魔法攻撃:550 魔法防御:527
敏捷:327 器用:339
知識:408
[魔法]
ファイア〈火属性〉 Lv.5
クロスファイア〈火属性 全体攻撃〉LV.3
ヘルファイア〈火属性 グループ全体攻撃〉Lv.2
アイススピア〈氷属性〉Lv.3
サンダー〈雷属性〉Lv.3
ロックバイト〈土属性〉Lv.2
アースクエイク〈土属性 全体攻撃〉Lv.2
プロテクト〈土属性 付与〉Lv.1
[スキル]
鈍化 Lv.4
駿足 Lv.3
不可視 Lv.2
隠密 Lv.2
ファストスペル Lv.3
オートヒール〈パッシブ〉 LV.1
オートマジックヒール〈パッシブ〉 LV.1
なんかまた色々増えてるぞ……。
総じて魔法&スキルレベルも上がってる。
オートヒールとオートマジックヒールは、あると便利な定番スキルだ。
戦闘中でも、時間と共に少量のHPとMPが回復する。
それに常時発動なのでスキルスロットを消費しなくても済む。
それと初めての付与魔法が増えてる。
プロテクトって、確か物理防御力をアップさせる魔法だ。
俺は通常の状態で防御力が高いから、あんまり出番は無いけど、ユーノにかけてやったら、難しいクエストに挑戦する時に安心かもしれない。
ステータスはこんな感じだが……今回気になるのは所持金だ。
記憶では10万Gちょっとあったはずだが……。
[所持金]
74190G
「うお、やっぱり減ってる!」
予想通りというかなんというか……やはり現実で金を消費すると、ゲームでも消費したことになるらしい。
装備を買おうと思って貯めていた金だけど、微妙な感じになってしまったぞ……。
所持金はリアルでも使うことも考えて貯めた方がよさそうだ。
来月、欲しい本とかゲームがあるんだよなー。
今のうちに稼いでおいた方がいいかもしれないな。
俺はディニスの町から出ると、目の前にある森に入り、その辺を歩いているデスハウンドに魔法をぶっ放す。
デスハウンドは凶暴な犬のゾンビみたいなモンスターだ。
俺がそいつにファイアの魔法を放つと、一瞬で燃えかすのようになって消えた。
[15ptの経験値を獲得しました]
[100Gを手にした!]
「デスハウンド一匹で100円かあ」
こんな簡単に100円が手に入るのだから、すごい。
十匹なんてすぐに倒せそうだし、それだけで千円だ。
時給にしたら、いくらくらいまで稼げるんだろ……。
だけど、
そうやってコツコツ貯めて行くのもいいかもしれないが……もっとドデカい獲物を狙いたくなるのも人の性ってもんだ。
この前の買い物で減ってしまった分もあるし、どかーんと一気に稼げるようなモンスターはいないものか……。
そんな事を考えていた時だった。
「何してんの?」
「うおっ」
急に背後から言われてビックリした。
その声の主はユーノだった。
彼女はエルフの長い耳をピコピコさせて微笑んでいた。
「よくここにいるのが分かったな」
「ユウトの行きそうな場所は大体分かるよー」
フレンド登録していれば、そのプレイヤーがどのエリアに居るか大体把握出来る。
それでもチャット機能を使わずに探すのは大変だと思うんだが……。
「それに、そんなに驚かなくてもログイン通知は出てたでしょ?」
「まあ、そうなんだけど」
「それで、こんな所で何をしてるの?」
「いや……昨日、リアルで結構、金を使ってしまったから、装備を買う金が足らなくなってしまってな……」
「それでデスハウンドを?」
「まあ、そんなとこ。でも結構な労力だから、もっと効率良く稼げるモンスターがいないかなあと思ってさ」
「それなら一つ、良さそうなモンスターを知ってるよ」
「ほんとか!」
さすが、廃ゲーマー。
このエリアに配置されてるモンスターは、ほとんど把握しているらしい。
「ディニスの東にある古代遺跡にゴーレムがたくさん出るところがあるの。そのゴーレムの中に高価なアイテムを落とす個体がいるんだって」
「おお、いいね」
「ユウトなら行けるんじゃないかな?」
ユーノによると、古代遺跡の推奨攻略レベルは20前後らしい。
俺の現在のレベルは8。
ステータスだけ見れば、とうにレベル20は超えてそうな数値だけど……行けるのか?
「試してみる価値はありそうだな」
「じゃあ、近くまで案内するね」
「うん、頼むよ」
そんな訳で俺達は古代遺跡に向かうことにした。
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