オオカミ少女
……うーん(-_-;)
めっちゃ短いうえにひねりがない 某行商する賢狼さんに引っ張られた。
俺の幼馴染には不思議なことがある。
俺と幼馴染は懇意にしていて、家族ぐるみの付き合いだった。家もお隣で、幼稚園で結婚しよう、なんていう関係性だ。
七五三やら誕生会やらクリスマス会やら、ちょっとしたイベントでも家族ぐるみで行うような中で、高校に進学した今日には、毎日勝手に俺の部屋まで俺を起こしに来るような関係性だ。
だが、そんな環境であるにも関わらず、俺たちが経験したことがないことがある。それが、お泊りというやつだ。
キャンプや外泊、旅行と言った予定もあったにも関わらず、しかも、俺と彼女の家が同時期にキャンプや外泊の予定が被った時でも、決して同じキャンプ場やホテルに泊まることにはならなかった。
もちろん、学校での修学旅行等も全て欠席している。
そんな彼女が、今、目を潤ませて俺の目の前にいた。
「ヒロト!違うの!これは……そうじゃないの?」
目の前にいる彼女は、そうして頭をいやいやと振りながら頭とお尻を必死に隠そうとしている。その場に見える茶色い物を隠そうとしているように。
「真奈美……」
「いや、まって」
「いや、なんで耳とシッポ隠してるんだ?」
「……ふぇ?」
その場に沈黙が広がった。
「え?なんでヒロ君知って……?」
「いや、だって、幼稚園の時に見たことあるし。前にキャンプした時に内緒で夜こっちのキャンプ場に来たりしてただろう」
俺が不思議だと思う事。それは、彼女の秘密が俺の家族に完全にばれているのに、今でもかたくなにお泊りを拒むことだ。
「……」
「……」
沈黙が続く中、耐えきれなくなった真奈美がふっと目を逸らす。
「……怖くないの?私のこと」
「なんで?」
「だって、私は狼女なんだよ?この姿になったら、ヒロ君でも組み伏せてがぶって食べちゃうかもしれないんだよ?」
そう言う彼女に、俺はフッと笑いかけた。
「いやいや、あり得ないね。絶対にない」
それを聞いて、不満そうに頬を膨らませた彼女は、次の瞬間、俺に覆いかぶさってきた。
「今なら、私、ヒロ君を自由にできるんだよ?狼女は、変身したら力が数十倍になるの。人間なんて目じゃない力になるんだよ?」
「それで?」
彼女に押し倒されても何の動揺も見せない俺に、さらにカチンと来たのか、彼女は更に顔を近づける。気が付けば獣のような部分は尻尾と耳だけでなく、腕や足にもふさふさとした毛が生えそろい始めていた。
「それに、狼女になったら、性格も変わっちゃうんだよ?もしかしたら本当の狼になっちゃって、ヒロ君を食べちゃうかも……」
それを聞いても、俺に動揺はない。
「それが?真奈美は真奈美だろう?」
もはや顔のすべてが狼のそれに置き換わり、完全に人狼と言った見た目になった真奈美はよだれを垂らして俺の首筋に顔を寄せる。
俺はそれを抱き寄せた。
「……ナンデ?」
「理由が必要か?」
そうして、俺は彼女と抱き合って眠ったのだった。
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目が覚めると、そこには狼耳をした真奈美が寝息を立てている姿があった。
「俺がお前を嫌うなんて、あり得ないよな」
そう言って、俺は彼女の顔を優しくなでた。俺と彼女の隠し事のない真の関係は、これからもずっと続いていくだろう。
お題
夜 狼 真の関係
執筆時間 30分
今考えれば、狼王ロボ的な奴と少年が狩人によって引き裂かれるけど最後には再開する的な話でもよかったかもしれない。