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26話 犯人

 星院祭前日。 今日は朝から発表と報告の連発だった。


 「今年の模擬店対抗バトルは、体育祭要素も含めた競技に決定! か 」


 廊下のいたるところにある掲示板に貼られた、生徒会発信のポスターを藍と眺める。 体育祭要素ということは、100走とか障害物競争とかなのか? 代表者は3名で、競技内容は毎年当日にならないと分からない。 二ノ宮会長の事だから無理難題はないだろうけど、なんだか嫌な予感がする。


 「アンタ足遅いじゃん。 今からでも変えてもらう? 」


 「いや、名簿はもう提出しちゃってるし、皆だって明日の為に準備とか練習してきたんだ。 頑張るさ 」


 俺の運動能力は中の下。 いや、人並みには出来るんだけど、ウチのクラスのレベルが他のクラスに対して高い。 特に藍は球技から水泳までそつなくこなす運動神経の持ち主だ。


 「んじゃ頑張ってよ? ウチも出来るだけフォローするから 」


 他の2名は、俺の独断で藍とクラストップの頭脳を持つ遠藤に頼んだ。 去年がクイズ大会だったので今年もと思ったけど、そう甘くはなかったようだ。


 「燈馬君、ちょっと来てくれる? 」


 ふと背中から吹石副会長に呼ばれた。 さっき俺のスマホに、俺の衣装が見つかったと吹石副会長からメールが届いていたのだ。 隣にはゴミ袋を手にした風紀委員会の腕章をつけた3年生が立っていた。


 「彼女は…… いいのかしら? 」


 人目のつかない所に行きましょう、ということらしい。 きっとゴミ袋の中身は俺の衣装で、人様に見せられる状態ではないのだろう。


 「はい。 藍は俺の保護者みたいなものですから 」


 「保護者って、アンタねぇ 」


 そう言いながらも藍は吹石副会長に頭を下げる。 俺達は副会長の後に続いて生徒会室を訪れた。


 「昨日、校舎裏のゴミ捨て場から見つけたわ。 君ので間違いない? 」


 長テーブルの上に広げられた布切れは、バラバラに切り裂かれて正直俺の衣装かどうかは分からない。 だけどこの生地は、執事服のベストやスラックスと同じものだった。


 「ひどい…… 」


 証拠を隠滅しようとしたんだろう…… 鋭利な刃物で切った後に、切れなかった部分を引きちぎったほつれ跡がある。


 「イタズラにしては悪質過ぎるわ。 何か恨みを買うようなことでもしたの? 」


 「知りませんよ。 身に覚えはないです 」


 犯人を探す気はない。 だけど切り刻まれた衣装を見ると腹が立たない訳がない。 他のクラスメイトがターゲットにならずに良かったと思う反面、なんで俺がターゲットにされなきゃとも思う。 ん? 俺か?


 「あ…… 」


 「やっぱりそう思い付くのね。 私もそうなんじゃないかとは薄々考えていたの 」


 吹石副会長は腕を組んでソファに沈み込んだ。


 「どういう事? 勿体ぶらないで教えてよ 」


 ジト目の藍は、バラバラになった布切れを元の形に戻そうとパズルのように組み合わせている。


 「クラスを狙ったんじゃなくて、俺個人を狙ったのかも……って思ったんだよ。 二ノ宮親衛隊には恨まれてるだろうからなぁ 」


 「恨まれるって…… 二ノ宮先輩に壁ドンしたこと? 」


 「茜が暴走してやらかしたことだけどな。 周りから見れば俺がやったことだし、俺を袋叩きにするのは会長に止められてる。 熱狂的な二ノ宮ファンなら殺意も抱くんだろ 」


 悔しくて堪らない…… その気持ちを俺の衣装にぶつけたんじゃないかと推測する。


 「意外に冷静なのね、もっと熱血漢だと思っていたけれど。 このタキシードを見せようかどうしようか迷ったのだけれど、そんな心配は無用だったわ 」


 柔らかく笑う吹石副会長には苦笑いで返しておく。


 「いやムカついてますよ、この衣装は仲間が一生懸命作ってくれたものですから。 でもここで俺が怒りまくるのはなんか違うと思うんです 」


 「そう…… 指宿(いぶすき)君、連れてきてくれる? 」


 「うぇ? 」


 吹石副会長は傍らに控えていた指宿という風紀委員に指示を出すと、指宿先輩は一度生徒会室の外に出ていく。 やがて戻ってきた指宿先輩に続いて入ってきたのは、菜のはとあまり変わらないくらいの二人の女子生徒だった。





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